見出し画像

初めてムラづくりをやってみて思うこと①(いきなり総括2023【反省編】)

ムラづくりプロジェクト「コミューン」概要

2022年秋から構想をはじめてWEBサイトを立ち上げ、2023年1〜2月には参加者募集とオンライン面談、4月からいよいよスタートした「我が家から始めるムラ・コミュニティ」、その名も「うちみるコミューン」。
(”うちみる”というのは我が家の屋号、詳しくはコチラを参照)

小難しいことはさておいて、自給自足的な暮らしを家族の枠を超えて協力してやってみよう。端的に言えば「世の中いろいろあるけどまぁ一緒に協力して生きていこうよ」っていうコミュニティ。
ルールなどの決まりは最低限にとどめ、とにかく自由に、豊かな暮らしを作っていくのを第一目的にして、暮らしに必要なスキルや道具、食べ物などもできる限りシェアしていこうっていうパーマカルチャー的な理念のもと、持続可能で人にも環境にも低負荷に自給自足的に暮らしていく…そんなことを夢見てみたわけだ。

なんせ初めてやるもんだから、我が家も参加者もテンヤワンヤ。楽しいこともあったけど、ムズイこともあった。作ったものもあったけど、壊れたものもあった。
う〜ん、色々あったねぇ(シミジミ)。

第1ムラビト:ダン・シャーリーとの初DIY
我先にと来てくれた わがやムラビト:ダンさんと縁側の床を張った

おのずとタイプが2つに分かれたムラビト

今回、10組ちょっと集まってくれたコミューンに参加する人々。
みんなを「ムラビト」と呼ぶことにした。
その半数は我が家周辺の市町村に住まいや生業を持ちながら、時間に余裕があればコミューンに関わる「かよいムラビト」というタイプ。
もう半数は遠地から移住するカタチで参加する人たちだったけど、結局のところ行動に移した人はわずか3名にとどまった。ほかの行動に移さなかった、もしくはフェードアウトしていった人たちについては「来るもの拒まず、去る者追わず、動かざる者ムリに動かさず」なスタンスの僕。その後、まったくもって追及していないのでその真意というのは知るよしもない。それぞれお達者に暮らしているのお祈りします。
一方で行動に移した3名は我が家にテントや車中泊で居候し、基本的に毎日朝から晩までコミューン(&我が家)に関わるという「わがやムラビト」というタイプとなった。

春の春の始めの苗箱づくりづくり(稲作)
センノリくん(八戸市から) と ヒロさん(岩手県二戸市から)

「かよいムラビト」の性質

このコミューン企画が始まる以前に我が家周辺の市町村に住み、それぞれ生業を持ち、経済的にも自立している個人または家族たち。元々知り合いだった人も数多くいる。
かよいムラビトの強みはなんと言っても「すでに自立している」ことだろう。多少なりどこかの団体や会社にご厄介になっている人もいるとはいえ、自分の生活をひとまず自分でやりくりできている。コミューンに関わるのはおそらくさらに豊かに、さらに楽しく、さらに低負荷に、さらにスキルアップしたいなど、暮らしを90〜180度変えるつもりはないけど何か「もうちょっと」な変化を求めたんだと思う。
農家さんや職人さんなど、一芸に秀でたスキルフルな人が多くて頼り甲斐がある人が多かった。実際、一堂に会してみると「わお、こんな人たちが揃ったら何でもできそう!」と感じた。
しかしながら、すでに自立しているということはイコール、それぞれ日常的にやるべきこと=仕事があるということ。季節にもよるが、基本的に世の中、忙しい人が多いわけで必然的にコミューンに関わることができる時間はごく限られてしまう。
また、すでに生活の基盤をそれぞれ築いているので仕事の合間や休みをわざわざ返上して交通コストをかけてまで、うちに来てほぼ無償でトンテンカンテンするっていうのはよほど何か”旨味”でもなければなかなかにやってられないだろう。

わがやムラビト3人衆
個性豊かな わがやムラビト

「わがやムラビト」の性質

その「かよいムラビト」に対して全く別の性質を持つのが「わがやムラビト」である。先述の通り、遠方から我が家に飛び込み、朝から晩まで我が家(コミューン)に関わる、いわば”ムキ出し・捨て身のチャレンジャー”。好奇心旺盛で時間にゆとりがある、独身の若い人が集まった。若きゆえに自給自足に関しては全く知識もスキルもないんだけど、そこは色々順々に覚えてもらいながら、若さでカバーしてもらう。基本的には何をするにも我が家に厄介になるという、自立的生活はしないメンバーである。コミュニティ活動にも多少興味はあるけど、それ以上にまずは自分自身の自給自足スキルの会得が第一の目的。一通りの知識や技術を学んだあとは、残念ながら我が家を飛び出して各々の新天地へ旅立っていくという、今シーズンのみの期間限定メンバーである。
基本的に半日(1日4時間)以上、我が家の仕事を手伝ってくれれば夕飯が提供される。

うちの子の落書き
うちの子がiPadで描いた落書き

やってみると色々とあるジレンマ

生活のあれこれ

ここからは、同じ敷地内で24時間毎日共有した「わがやムラビト」3人との暮らしのことになる。
もともと我が家は大人2人と子1人が暮らす3人家族。そこに大人3人が加わるわけだから、食べる量も排泄する量も倍以上。お米は毎日1升近く炊き、畑の野菜で間に合わない分や肉類は例年とは比べ物にならないほど購入することになってしまったのだけど、毎日半日以上も我が家の仕事を手伝ってくれているムラビト3人に食費を請求するのは忍びない。コストを気にせず「今日もオツカレサマ!」と腹一杯食べてほしいという気持ちが勝り、食費をはじめ家賃や光熱費なども、とにかくうちでの生活にかかるものはすべてゼロ円にした。これは我が家が負担する金銭・資源コスト以上の効果があるだろうと見越した設定ではあったが、当然ながら現実として家計は圧迫されることになった(笑) 

これまでなら1〜2週間で満タンになるコンポストトイレは3〜4日でいっぱいになった。みなさん、快便でした。
洗濯のタイミングがかち合うと、貯水タンクの水が足りなくなってしまうこともあった。
スマホやモバイルバッテリーの充電ラッシュになると、うちのポータブルバッテリーの充電ポートが足りなくなった。

結論としては大人3人を家族同然で迎え入れるには、単純に我が家の豊さが足りていなかった。かといって、耕作面積を増やすとか、トイレや貯水タンクを新たに増設するとか、ポータブルバッテリーやソーラーパネルを買い足すようなことはしたくなかった。コストも勿論だけど、3人が卒業したあとに残る無用の長物を想像すると、目先の快適さを優先することができなかった。
おそらく3人のわがやムラビトそれぞれに思うところはあっただろう。

お金のあれこれ

個人差はあれども、今の時代では何かと必要になるお金。かよいムラビトは先述の通り、それぞれで何かしらの生業を持ち、生活基盤を持っているので基本的に心配は無用だが、わがやムラビトは身一つで我が家に移住してきた人々。ローンなどの借金返済があるのか、預貯金は十分にあるのか、不動産収入などの不労所得はあるのか、そういったプライベートにはツッコんで聞いてはいないが、それぞれ個人的な金銭事情はあったかと思う。ズバリ「滞在中、1ヶ月いくらあれば大丈夫?」と3人に聞いてみたところ…

Aさんは、「1万円もあれば余裕です、ゼロでも問題ないです」。
Bさんは、「3万円あれば大丈夫です」。
Cさんは、「6万円くらいです」

…!
我が家の核家族3人の生活費がおよそ4万円なのに対して、なかなかの金額が飛び出してしまった(笑)

滞在中の3人の収入に関しては、僕がやっている御用聞屋(地域のお困りごと解決業=なんでも屋さん)のアルバイトで補填したいと考えていたけど、月6万円というのはなかなかに厳しい金額だ。しかもCさんは仕事経験が浅い若い女性。お願いできる仕事も限られる。

必然的に御用聞き仕事を可能な限りしなければいけない状況となり、普段ならお断りするような作業や対応エリア外の出張もおこなった。外での仕事を優先すれば我が家周りの作業は進まなくなる。よそのおうちの草刈りをしてきて、うちの畑の草はボーボーなんてことにもなった。
御用聞き仕事のアルバイト給料もちょっと悩んだ。うちの御用聞きの基本料金は時給換算で2,000円(一人当たり)。計算が面倒なのでこれに燃料費や機械・道具の使用費もすべて込みにしている。アルバイトは経験者/技術者で且つ僕と同じ条件(車両や機械・燃料の持ち込み)で時給2,000円。通常であれば、未経験/技術浅だと時給1,000〜1,500円にしていて、請求額(2,000円)の差額分を車両費や燃料費、消耗品などの購入に充てて帳尻を合わせていた。しかし、わがやムラビトはいっときとはいえ暮らしを共にする仲間。なかにはお金を多く必要とする人もいる。たとえ経験や技術が浅くても僕と同じ額で対応するのが筋のような気がした。そうすることで経費諸々を負担する僕の手取り額は減ってしまうけど(笑)

結果、そういった試みをもってしてもCさんのアルバイト料が月6万円以上に達したのは滞在中、2ヶ月間にとどまった。うーん、お金を稼ぐというのは大変だ。

本当であれば、自給自足に関するスキル向上のために時間や力を投じたいところではあるけど、背に腹はかえられない。僕もいつの間にか、無給の家周り作業をお願いすることに気が引けてしまい、給料が発生する御用聞き仕事を優先してお願いするようになってしまった。

リンゴを収穫する嫁さん
果樹園でリンゴ収穫する嫁さん

うちの嫁さんのストレス

この共同生活はうちの家族にも影響した。うちの子どもは家族が増えたことでかなり楽しかったみたいだったし、僕も個性豊かなムラビトたちとの暮らしを通じて自分が持っている知識やスキルを伝えられるのは有意義な時間だった。だけど、嫁さんとしては多少なりストレスだったようだ。

うちの嫁さんは比較的オープンなタイプの女性で、プライバシーがどうのこうのと言うことはないけど、人や物事に対する共有範囲が僕や子どもと比べて少し狭かったりする。

具体的には以下のようなことがストレスになるようだった。

・「家族以外のご飯を作る」
・「常に誰かと一緒に作業する」
・「日常的に人に何かを教える」

なんと心が狭いんだろう、と思う人もいるかもしれないが、数日ならまだしも、これがずっと続くとなるとシンドく感じる人は多いだろう。実際、この共同生活を始めて2ヶ月ほど経ったころに嫁さんから上記のようなストレスがあるということを聞いた。
ムラビトたちは食後の食器洗いをしてくれたり、うちの子と遊んでくれたり、畑作業をサポートしてくれたりなど、うちとしてメリットも多いのだけど、それはそれ、これはこれらしく帳尻が合うようなものではないようだった。
改善策として、調理はムラビト3人がそれぞれ1品を作り、畑仕事は嫁さんが独り黙々と作業ができる時間を設けて、その時間帯はムラビトの自由時間とした。
うちの嫁さんはモードがあるというか、スイッチがあるというか、ワークショップや動画やSNSなどでピンポイントに何かを伝える!となると能動的になるのだけど、あたかも小学校の先生のように全科目、日々の暮らしの一挙手一投足を生徒に手ほどきするとなると大変に感じるみたいだ。よほどの世話焼きさんじゃなければ難しい役回りだったろう。

上映会イベント
パーマカルチャー映画の上映会

イベントのあれこれ

自給自足的な暮らしは田植えや稲刈りなど、季節に応じて様々なイベントがある。コミューンでも4月の花見から9月の稲刈りまで、何かしらイベントを企画してみた。わがやムラビトとしては毎日一緒にいるのでその流れで一緒に季節イベントを楽しんだし、予定が合えばかよいムラビトも参加してくれた。
ただ、コミューンの活動、自然のリズムとリンクする自給自足暮らしは日々仕事も趣もグラデーションしていく。わがやムラビトの3人とはそのすべてと言ってもいいほどの時間を共有できたけど、かよいムラビトに関しては、参加したとしても予め企画したイベントにほぼ限定された。わかりやすく表すと、「イベントがあるとやってくる=かよいムラビト」みたいな感じになった。

先述の通り、かよいムラビトはそれぞれに生業がある。当然、日常的にコミューンに関わるのは難しく、イベントとなってなんとかスケジュールを調整してくれる感じの人がほとんどだったかと思う。僕もできる限りイベントを増やして楽しく有意義なものを作りたいと考えていたけど、徐々に忙しくなる御用聞き仕事の日程調整を優先してしまった。また、イベントは天候にも左右されるため、眉間にシワを寄せて天気予報とにらめっこしたり、イベント案内の詳細文言を作ったりするのに疲れてしまった(トホホ)。
結局、最終的にはいつも一緒にいるわがやムラビト3人と一緒に、本来はイベントにしてもいいようなものまでその場のノリや状況でやっていたように思う。

当初、僕が漠然と理想的に考えていたのは、日常の中にムラビトが入れ替わり立ち替わり我が家にやってきて、そこで情報交換、財産資源(道具や食べ物、労働力)の共有、困りごとも遠慮なく言い合う相互扶助(結=ゆい)の関係構築みたいなものだったけど、現実的にはなかなかに厳しいものがあった。時折、何か気にかけてくれたのか不意に訪れてくれる かよいムラビトもいたのだけど、連絡なしだったがゆえに忙しくバタバタなタイミングにあたってしまったり、その日の作業に必要な装備を持ち合わせていなかったりで一緒の時間を共有できなかったこともあった。相互の連絡は大事だなぁと実感した。

月イチの定例会のような「寄り合い」も、関わる人数や時間が少なければ議題や話題も挙がるはずもなく、ただなんとなく食事やお茶をしながら雑談して終わるような内容になり、中盤以降は開催しなかった。こちらも結局のところ、わがやムラビトたちと毎日共にする朝のコーヒー&ティータイムや夕飯の時間の方が実質的な寄り合いとなった。日々何気なく会話ができるのはありがたいことだった。

うちみるフォーラム2023
年に一度の自給自足フォーラムでのランチタイム

2023年のコミューンまとめ

そんなわけで反省・課題だらけでムラづくり元年2023は終了。細かいことを挙げればキリがないので、ここでは割愛させていただいたこともたくさんある。だけど、どれもこれも次へ繋げる貴重な材料となった。この場を借りて、この我が家の初めての取り組みであるムラづくりに関わっていただいたムラビトたちに感謝感謝ですm(_ _)m
特に遠方からはるばるこの未知数のプロジェクトに飛び込んできてくれた わがやムラビト3名の方々、本当にお疲れ様でした! 今後の活動が楽しみであります☆

※ この御三方についてはそれぞれ動画にして後ほど公開予定です。お楽しみに♪

僕は社会動物・人間が形成する最小単位のコミュニティである「家族」というものをちょっと拡大すれば「ムラ」になるような気がしていたけど、どうやらちょっと違うみたいだ。

さて次回はもう少し具体的に2023年を振り返りつつ、改善策を書き連ねてみたいと思います。
(ニーズがあるかはさておきとりあえず書くことでスッキリしたい_笑)

ここまで読んでくれてありがとうございました!

いいなと思ったら応援しよう!