『失敗を約束されたプロジェクト』
ある有名メーカーに20年以上勤めた友人曰く、失敗するプロジェクトにはある共通点が存在するそうだ。
共通しているのは
「ユーザーが絶対に譲れない価値基準をクリアできていない」
という点らしい。この基準を業界用語では『顧客インサイト』と言うそうだ。
どのプロジェクトも顧客インタビューや市場調査は当然しているだろうし、ユーザーの要望は可能な限り反映しているのだろう。でもそれだけでは不十分なのだそうだ。
友人曰く、『顧客インサイト』とは「顧客自身が普段説明できない(していない)根源的な欲求」のことなんだそう。
例として、既婚者の人に好みの異性の具体的な特徴をいくつか挙げてもらうと分かりやすい。
その人の好みを列挙した後で、実際に結婚した方の写真を見せてもらい、性格や特徴などを説明してもらう。するとどうなるか。
不思議なことに、先ほど自分が挙げた好みに当てはまらない特徴を持った人と結婚しているケースが実に多いらしい。
一体どういうことなのか。
人は絶対に譲れない本質的な価値基準を持っているが、それはその人にとっては当たり前過ぎて意識の表層には現れないことが多い。しかし、そこを外してしまうと他がそれだけ好みに合っていても本人的には絶対に許容することができない。逆にそこさえクリアしていれば、多少の好みの違いはオッケーできるということでもある。そして、厄介なことにその絶対的な価値基準は多くは数値化しにくい抽象的なものだったりするのだとか。
営業担当者はカタログスペックを非常に重視する。価格や機能が数値化されていることで競合他社と比較することが容易になり、ユーザーに対しても、社内的にも説明がしやすいためらしい。でも、カタログスペックだけでは「顧客インサイト」が満足していないケースがあって、むしろ重要視されていないことが多いんだとか。その場合でも社内的にはOKになってしまうらしい。そうなるともうそのプロジェクトは
『失敗を約束されたプロジェクト』
になってしまうんだとか。
アレ?今担当しているプロジェクトってカタログスペックだけで勝負しようとしているような、、、