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クリストファー・ノーラン&エマ・トーマス Empire誌独占インタビュー(抄訳)

Empire誌ノーラン特集(2024年5月)掲載のクリストファー・ノーラン&エマ・トーマスの独占インタビューの部分抄訳です。全文は本誌を購入してください。

Q. ワークライフバランスを保つために、家庭で決めてるルールはありますか?

トーマス「決まったルールはないね」
ノーラン「君は昔ルール作ろうとしたことあったよね」
トーマス「そう。でもあなたも作ろうとしたことあったよね」
ノーラン「だって子供と話したくて出先から君に電話したら、君が仕事のこと話し始めるから…」

Q. 次の映画がどんなものになるかは聞かないけれど…

ノーラン「聞いてくれていいよ。答えないから!」

Q. でも『オッペンハイマー』の諸々が終わって新しいものを始めるのはどんな感じ?

ノーラン「とてもミステリアス」
トーマス「可能性が無限にあって楽しみ。『オッペンハイマー』があり得ないほど成功したから今はチャンスの時と感じる」
ノーラン「質問を工夫してくれてありがとう。だけど答えません」

Q. 集大成ともいえる『オッペンハイマー』は、これまで以上にこれまでのキャリアを振り返る機会になったのでは?

ノーラン「それはすごくそう。プロモの期間が長かったし、過去を振り返る機会が多かった。そのことでいいこともあったけど、仕事に集中しにくい面もあった」

Q. 昔の映画製作を懐かしむことはある?

ノーラン「昔のことは良い思い出。若い映画製作者には、今やっている映画製作の瞬間を大事にするように言っている。映画製作は映画製作自体を楽しむもので、目的を達成する手段と考えるべきじゃない」
ノーラン「作る映画の規模が大きくなっても、自発性が失われないようなクリエイティブな環境を保つことを重視している。その点『オッペンハイマー』はとてもうまくいった」

Q. 25年前のあなたは、その後どういう映画を作っていくか想像できていた?

ノーラン「若い時は、この先どんな映画を作るか具体的に考えていたけど、結局どれも実現していない。考え方も環境も変わるから。変わるからこそ楽しい。考えていた通りにやっていたらとてもつまらなかったと思う」

Q. 成功を収めるにつれ、何でもやりたいことをやれる、クリエイティブな自由があると感じますか?

ノーラン「『ダークナイト』の成功があったから『インセプション』を作れたわけだけど、それがクリエイティブな自由とは思わない。スタジオは我々の実績を見て信頼してくれるからこそ、リスクを取ってくれる。『オッペンハイマー』はとてもリスキーな企画だったけれど、ユニバーサルは我々の過去の実績を知ってるからやらせてくれた」
トーマス「クリスはスタジオにとってすごく仕事のしやすい監督だと思う。コミュニケーションやコラボを大事にしているから。それに、我々はスタジオに無駄なお金を使わせないように配慮もしてる」
ノーラン「『ダンケルク』撮影中、エマが「予算を増やす必要があるかも」と言ってきたとき、「いや、予算は十分あるから増額の必要はない」と言って、いろいろ工夫して予算内に収めた。楽しかったね」
ノーラン「最初に『ダンケルク』を見た時、エマが「メインストリーム映画のふりをした実験的な映画」といったけれど、僕はむしろ実験的な映画のふりをしたメインストリーム映画と考えていた。その時は意見の相違があった。だけど何年かたって振り返ってみると、エマの方が正しかったね」
トーマス「今の発言、書いておこう!」

Q. あなたの映画は、芸術性の高い実験映画を大衆映画に忍ばせたようなものですか?

ノーラン「「忍ばせる」という考え方は好きじゃない。ピーナツバターに薬忍ばせてるみたいな感覚があるけど、ピーナツバターも栄養だから。スタジオの重役が、「自分たちはこっちの映画が好きだけど、観客はあっちの映画が好きだろう」と話すのに似てる。僕はそういうアプローチには強く反対してきた。なぜなら僕たちも映画を見に行く観客なんだから。みな見たいものは同じ」

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