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美しいステンドグラスを求めて
ヨーロッパの旅で出会った、美しいステンドグラスをレポートします。
1.エギスハイムの「聖レオン9世の礼拝堂」(フランス アルザス地方)
見出しのこのステンドグラスは、フランス、アルザス地方の小さい街エギスハイムの教会チャペル 聖レオン9世(Chapelle Saint-Léon IX)のものです。
フランスで最も美しい村に認定されているエギスハイムの街の中心に建つ、小さなチャペルです。
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2.ミラノの大聖堂 ドゥオーモ (北イタリア)
イタリア第2の大都市ミラノを代表するドゥオーモはイタリア最大の教会です。最初、聖母マリア様の誕生に捧げるために建設された教会です。
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ドゥオーモには55枚のステンドグラスがあり、制作は14世紀から1980年代までと、幅広いですが、最初がミラノ公ビスコンティ家の依頼のため、上部の丸いバラ窓の中心部には、大きな太陽と蛇というヴィンスコンティ家の紋章があしらわれています。
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3.ユトレヒトのドム教会 (オランダ)
ゴシック建築では13世紀から16世紀にかけて建設された、オランダ最古の教会です。ユトレヒトはオランダの水陸交通の要所であり、商工業の中心地の一つです。またオランダの宗教の中心地でもあります。
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ドム教会の歴史は7世紀頃にカトリック教会として始まり、16世紀半ばの宗教改革のため、1580年にカトリックから脱退しプロテスタントのものとなったそうです。
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ドム教会のカフェは、美しい中庭を見ながら、ゆっくりお茶を楽しむことができます。
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4.アムステルダム国立美術館(オランダ)
ステンドグラスは教会にあるものとは限りませんね。美術館は芸術作品として価値のあるものであれば、美術作品はもとよりステンドグラスでも美術館そのものでも、美術館に展示されます。
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日本にもこんなに美しいステンドグラスがあります。国立科学博物館の建物を見るだけでも、大いに価値があります。
ステンドグラスの始まりは、字の読めない人々に神の教えや聖書の物語を教え導くために教会の建物に取り入れられたと一般に言われていますが、私は教会を訪れた人に神聖さや神への畏敬の念を感じてもらい、素直な気持ちになってさらに信仰に励んで欲しいという意図があるのではないかと、思っています。
だからステンドグラスを、心穏やかに過ごすべき場所である図書館・学校・病院などにもっと設置してもいいのではないかと思ったりします。
5.デルフト新教会(オランダ)
画家フェルメールの作品に「デルフトの眺望」という有名な絵があります、そのデルフトはフェルメールの生まれ故郷です。次の写真はデルフトにある「新教会」のステンドグラスです。オランダの歴代の王室の方々が葬られています。
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デルフト新教会(Nieuwe Kerk Delft)はマルクト広場にあります。 高さは 108.75 メートルで、オランダで 2 番目に高い教会の塔です。
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デルフトには、新教会があるからもちろん旧教会もあります。旧教会は建設途中ですでに傾いていることがわかったけれど補強工事を施しそのまま建設してしまったそうです。
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フェルメールは、この旧教会に葬られた記録はあるのですが、具体的な場所はわからず、この墓跡は没後300年の1975年に作られたとのことです。
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6. ウィーン ヴォティーフ教会 (オーストリア)
ここで一般に芸術的な価値はそれほどではないとの記述が散見されるステンドグラスを見てみましょう。美術が素人の私には、他の教会の有名なステンドグラスと全く遜色ないと思います。
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ヴォティーフ教会は1879年に完成したネオゴシック様式の教会です。数多くの美しいステンドグラスがあります。ステンドグラスの芸術的価値はそれほど高くないと言われていますが、その美しさ、色の鮮やかさは秀逸だと思います。
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教会が広告主ではないはずです
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7. プラハ 聖ヴィート大聖堂 (チェコ)
では有名画家によるステンドグラスを見てみましょう。
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中央ヨーロッパで最も美しい都市と問われれば、私は迷わずにチェコのプラハです。聖ヴィート大聖堂はプラハ城の中にあり、チェコで最も重要なゴシック建築の教会です。
このステンドグラスは、チェコを代表する画家アルフォンス・ミュシャによるものです。
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8.最後に ステンドグラスとティファニー
ティファニーと言えば、世界超一流のジュエリーブランドですが、ガラスとガラスをハンダ付けするというティファニーテクニックを生み出したのは、創業者の長男ルイス・コンフォート・ティファニーです。
彼の製法は、ステンドグラスのその後の歴史に革命を起こしたといってもいいほどのものでした。平板の2次元芸術であるステンドグラスから、ティファニーランプという立体の芸術作品へと昇華させ、さらに大きなビジネスに発展させたわけですね。
教会のステンドグラスにしても、ティファニーランプにしても、光がガラスを通ることに違いはないわけです。その光による美を信仰に、あるいはビジネスに、さらには芸術へとつながっていったわけです。
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