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イギリス王室の宮殿、2カ所を訪れた の巻


1つは、ヴィクトリア女王の離宮、オズボーン・ハウス。これは、すでに王室の手を離れて、イングリッシュ・ヘリテッジの所有となっています。

下の記事に、オズボーン・ハウスにたどり着くまでのてん末を書いております。よろしかったら、お読みください。


もう1つは、ロンドンの観光名所 バッキンガム宮殿です。

このガーデン側は、下の写真が正面だとすると裏正面のような位置関係です

観光パンフレットなどで見かけるバッキンガム宮殿とは、違う建物のようですが、これは、バッキンガム宮殿の見学コースを終わって外に出たところです。

パッキンガム宮殿の正面の道「ザ・マル」の始まり地点
この塔が、「ヴィクトリア記念塔」 ヴィクトリア女王を讃えている


1.オズボーン・ハウス(Osbourne House)ワイト島


正門から、10分近く歩いてやっと入場料を支払う窓口(お土産物ショップの建物の中)に来ました。大人£20、65歳以上 £18です。

「子どもたちをしっかりと監督してください」とあります。私はこの注意書きは珍しいと思いました。これと同じことを聞いたのは、韓国の急行列車に乗った時の車内アナウンスで「親・保護者は子どもを監督してくだい」といっていました。日本でもあまり聞かないことだと思います。

オズボーン・ハウスの建物の前に立つと、海が遠くに見えました。ここから徒歩20分ぐらいで、王室プライベートビーチに行くことができます。

ヴィクトリア女王には、子どもが9人いました。当然子どもたちを連れて、オズボーン・ハウスで多くの時間を過ごしました。とても気に入っていたそうです。だから、ここのどこかに女王が座り、子どもたちが芝生で遊び回ったり、「海に行きましょうよ」というような会話もあっただろうと、想像します。

ちなみに、彼女は王女たちをヨーロッパ中の王室に嫁がせて、英国王室とのコネを強めたそうです。

こんな広々としたところでは、子どもたちを監督するというよりは、自由に遊ばせていたのではないでしょうか。当然、お付きの方もいたでしょう。

大階段の踊り場には、巨大なフレスコ画がありました。

最も豪華な部屋を見てみましょう。19世紀後半に人気だったという、インディアン・スタイルのthe Durbar Roomというダイニングです。この部屋に、屋敷で初めて電気ランプが付けられたとのこと。最初は、眩しいと感じたでしょうね。

インドにある寺院をイメージして作られています
ヴィクトリア女王はインド皇帝でもありました

ヴィクトリア女王は、1945年にオズボーン・ハウスを購入しています。小さい頃にもワイト島に避暑で来たことがあり、当時の首相に紹介されたオズボーン・ハウスを見て気に入ったようです。当時は、レンガと石造リの小さな館だったそうですが、夫のアルバート公は、建築や内装にも関心があり、彼の好みや考えが随所に反映されているそうです。

ヴィトリア女王夫妻がこのオズボーン・ハウスを取得した当時は、実は王室の財政は火の車状態だったそうで、前の王ジョージ4世がブライトンに建てたロイヤル・パビリオンを売却したりして、徹底的に倹約に務めたそうです。

ですから、実はオズボーン・ハウスも贅の限りを尽くしたように見えますが、ちょっと見ただけては分からないように工夫した建築をしてあります。例えば大理石だと見えるところが表面だけだったり、というような具合です。

ヴィクトリア女王がオズボーンを利用していたのは55年間で、その後は国へ譲渡されました。ですから、女王夫妻の好み、特に夫アルバート公の意向が大きく反映されています。ドイツ出身のアルバート公ですから、ヴェルサイユ宮殿のようなきらびやかな華やかさではなく、ノイシュヴァンシュタイン城の近くにある、ホーエンシュヴァンガウ城に似ていて、ドイツ的な豪華さがあることは素人にも感じ取ることができました。

アルバート公は1861年に亡くなり、その後数年にわたって女王は喪の生活を送っていました。映画「ヴィクトリア女王 最後の秘密」でも気難しい女王のシーンが多く登場しますが、オズボーン・ハウスでの子どもたちと過ごす時間や、女王の世話をするスタッフたちとの交流を通して、次第に笑顔を取り戻しました。

ヴィトリア女王は1901年1月に、オズボーン・ハウスで最期を迎えます。

百数十年前は、王室の方が実際に生活していた空間ですから、自分がここで生活を送るとすれば、どうするだろうかとも考えながら見学しましたが、1つ気になることがあるのです。

洋の東西を問わず、宮殿や邸宅を訪れてもほとんど公開されていないのが、トイレなのです。たまに日本のお城で、殿様が使用していたトイレを公開しているところがありますが、少数派です。どこかの宮殿のようにトイレはなくて、バケツで窓から捨てる方式ではないと信じますが、オズボーン・ハウスはどうなっていたのでしょう。

2.バッキンガム宮殿の夏の一般公開

バッキンガム宮殿は季節毎に見学ツアーを行なっています。2024年の夏の公開は、7月11日から9月29日までです。WEBサイトで申し込みます。今は、冬のツアーを募集しています。

夏のツアーには、The State RoomsとEast Wing Highlithtの2つがあるのですが、私の希望日は、East Wingのツアーは空きがなかったのですが、East Wingは初公開で、枠が少なかったのかもしれません。

バッキンガム宮殿のHPをまめにチェックするか、ニューズレターを登録すれば、情報を早く手にすることができるでしょう。

指定された入場口は、どこにあるかと言えば、バッキンガム・ゲートという道路沿いに、Gate A, B, Cと3つありました。

当然セキュリティ・チェックは厳しく、空港と同じレベルと思えばいいでしょう。靴を脱ぐ必要まではなかったです。

トイレは、入口と出口にしかなくて、途中宮殿内でトイレに入ることができないとのことで、トイレに行ったら下の木のベンチがあり、イギリス国王の紋章が付いていました。

見学者のためのゲート

残念ながら、宮殿内部の写真撮影は不可なので、HP等で見るしかないのですが、現役の宮殿だけあって、豪華さ・きらびやかさはケタ外れです。1回の入場に20〜30人ぐらいのゆるい集団で、見学する部屋を移動していきます。音声ガイドを聞きながらの移動なので、進むのはかなりゆっくりです。日本語もあります。


実際に他国の賓客を迎える場所ですから当然なのですが、こんなところに毎日いたら、感覚がおかしくなってしまうのではないかと、庶民は思うわけですが、生まれた時から宮殿で生活していれば、当たり前になるのでしょう。だから、人生の途中から王室や皇室に入った方には、どんな苦労があるのだろうと思います。無論、楽しいことも何倍もあるのでしょう。

私にとって、今回の最大の目玉は、ピクチャー・ギャラリーにある、フェルメールの「音楽の稽古」です。英国王室所蔵ですから、門外不出です。

絵との対面は、一期一会です。ある絵を見たいのであの美術館に行こうと思って、実際に行ってみると、他の美術館に貸出中ですとか、展示室を改修中なので公開していません、などということが時々あります。

おそらく「音楽の稽古」はこれで私には見納めだと思うので、至福の時を過ごしますた。

ただ今回、夏の一般公開に入ってみて初めてわかったことですが、実は、1回は行った人は、1年以内にもう一度、無料で入ることができる、ということなのです。

内部の見学を終えて宮殿を出た後に、プリントアウトした入場券にスタンプを押してくれるデスクが出口近くにあり、日付け入りのスタンプを押していただきました。でも、あと1年以内にもう一度、ロンドンに来る可能性はまずないので、この特権は利用できないですね。

このフェルメールの絵には、「音楽の稽古」「音楽のレッスン」「Lady at the Virginals with a Gentleman」などのタイトルが付いています


参加者のみなさん、各見学箇所の音声ガイドの説明が終わるまで熱心に聞きながら進むので、これは見学終わるまで3時間以上かかりそうだと思ったので、体力的に厳しいと思い、私はどうでもいいところは飛ばすなどメリハリをつけて2時間余りで、宮殿のガーデン側の出口に出ました。

ここは、ヴィトリア記念塔がある正面の反対側になります

目の前には広々としたバッキンガム・ガーデンの芝生の緑が、眩しく光っていました。

ここでガーデンパーティをするそうです
映画のロケに使えそうですが、許可は出ないでしょう


ガーデン・カフェ  テント作りなので一般公開されていない期間は撤去するのでしょう
左側のテントが、ガーデン・カフェ
向こうに見えるビルは、「ロンドン・ヒルトン・オン・パークレーン」ホテル
ここに宿泊すれば、バッキンガム宮殿が見下ろせますね

イギリス王室の財政状況がどうなっているのかわかりませんが、国内に膨大な資産を所有しているとのことです。以前は一般公開など一切なかったわけですが、1993年に宮殿の一般公開を始めました。観光業の促進と王室の透明性を高めるためとされています。

王室や皇室については様々な考えがありますが、日本でも世界でも、未公開のところが、少しでも多く公開されるといいなと思います。

英国滞在2日目は、グロスター大聖堂を訪れます。ハリー・ポッターファンなら、一度は訪れてみたい回廊があります。

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