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念願のフェルメールの絵に対面 英国滞在8日目 午前の部

今日はメニューが豊富です。エディンバラの最終日なので、回れるだけ回ろうと思っています。

1  早朝のカールトン・ヒル

早起きしてカールトンヒルに行きました。早朝ランニングをしている人が2、3人いるだけです。

公園の掲示板によると、1724年にエディンバラ市がこの土地を買い取って、公立の公園として整備したとのことで、英国では先進的な取り組みだったようです。中世にはお祭りや戦いの場にもなり、また1600年代には公開処刑の場にもなったと書かれています。

詩人のロバート・バーンズや画家のターナーが訪れ、芸術活動へのインスピレーションを提供したのが、このカールトン・ヒルだそうです。

The Dugald Stewart Monument
スコットランドの哲学者、デュガルド・スチュワートの記念碑

うまくすれば、夜明けが見られるかと思って早起きした甲斐がありました。

National Monumentとフォース湾(北海)
19世紀初頭のナポレオン戦争で亡くなったスコットランド兵の記念のモニュメント

ギリシャ・アテネのパルテノン神殿を模したナショナル・モニュメントはどう見ても未完成だと思って調べてみると、1822年に着工したが予算不足で1829年に建設途中で工事中止となり、それ以降はそのままだそうです。エディンバラも予算厳しいのでしょう。

映画「チャーチル ノルマンディーの決断」の中で、チャーチルが連合国総司令官のアイゼンハワーとノルマンディー作戦ついて話し合うシーンで、このナショナル・モニュメントが登場します
ネルソン記念塔(Nelson Monument)

海軍の提督ネルソンが1805年のトラファルガー沖の海戦の勝利した記念塔です。

£5.00で塔に登ることができます

だんだん明るくなってきました。

左側:市立天文台(City Observatory)  右側:ドーム(City Dome)

ホルスタイン牛のようなこの建物は、Gothic Towerと呼ばれ、天文台の施設の一部です。

Gothic Tower
似ていないです

ゴシック・タワーは1776年にJames Craigの設計で建てられ、その後しばらく放置されて危険な建物とされたのですが、現在では補修されて、芸術家たちの拠点として使われています。ひとつ一つの建物に歴史がありますね。

2  聖マリア大聖堂

英語では、St. Mary’s Episcopal Cathedralと呼ばれ、聖マリア聖公会大聖堂と訳されることもあります。ガイドブックには載っていないですが、教会建築物としてはかなり見応えがあります。9時半ぐらいに到着したのですが、誰もいませんでした。

St. Mary’s Episcopal Cathedral

8:00am-6:00pm   Monday-Friday
8:00am-5:00pm   Saturday and Sunday  
free to enter
エディンバラ・トラムのウエスト・エンドで降りて、徒歩5、6分です。このトラムはエディンバラ空港へつながっています。ただ乗車してからコンタクトレス(タッチ決済)で支払いはできないので、乗る前に停留所にある券売機で乗車券を買う必要があります。券売機はコンタクトレスが使えます。

Edinburgh TramのWest End駅から、徒歩5、6分
3つの尖塔が印象的です
90mの尖塔はエディンバラ市内で最も高いそうです

疲れと気分を休めて、心を落ち着かせることができました。次に、歩いて美術館に向かいます。


3  スコットランド国立美術館

是非、見てみたかった絵があります。フェルメールです。

National Galleries of Scotland

時間もたっぷりあり、それほど混んでいない、落ち着いた雰囲気で鑑賞できました。

マリアとマルタの家のキリスト
寸法:158.50 x 141.50 cm

パンを差し出しているのがマルタで、赤い服を着て熱心にキリストの話を聴こうとしているのがマリアです。両者は、俗世と聖なる世界を表していると言われています。さらにキリストの左手は、マリアを指しています。新約聖書ルカ伝の一場面を描いたものです。

現存するフェルメールの作品で、最古で最大の大きさで、聖書を題材にした唯一の宗教画でもあります。フェルメールがこの絵を描いたのは20歳代です。彼が描いている時、この絵が何百年も残り、後世の人々に見てもらえるなどと考えていたでしょうか。おそらく、教会関係者か誰かに制作を依頼されたものでしょう。

フェルメールのそばにある解説ラベル

フェルメールがオランダのデルフトで描いたこの絵が、どうしてエディンバラのナショナル・ギャラリーにあるのでしょうか。彼の死後、この絵はおそらく、美術品に関心がある貴族か富豪かコレクターに売却されたのでしょう。記録として残っているのは、19世紀末にイギリス人銀行家のヘンリー・ダウンズがこのナショナル・ギャラリーに寄贈したということです。

オランダも、元々オランダのものだから返還してくれとは言わなかったわけです。広く人々が鑑賞できるように展示するのであれば、いいですよ、という寛容な心があったわけです。もし、強奪などで持ち込まれた美術品だと、話は違ってきますが、世の中の美術館・博物館の展示品の多くは、そのような経過をたどったものが数多くありますね。

印象に残った絵は他にもたくさんあるのですが、もう一つだけ載せておきます。ゴッホ(Vincent van Gogh)の「アルルのアプリコットの咲く果樹園」です。

Orchard with Apricot Trees in Blossom, Arles

ゴッホが、フランス南部のアルルに住んだ最初の春に、10作以上のアプリコットの花の絵を描いているそうで、少しピンクがかった白い花とアルルの青空のコントラストに、ゴッホが魅了されたと言われています。天気が悪くて描けない日には、天気に文句を言ったそうです。

ゴッホといえば、ひまわりや糸杉の絵が有名ですが、アプリコットの花は、なんとなく桜の花に似ていませんか。浮世絵に強く惹かれたゴッホだがら、桜と似た花に魅了されるのもわかるような気がします。

お昼の時間なので、美術館のカフェでサンドイッチを食べて、ひと休みです。美術館の前には、プリンシズ・ストリート・ガーデンズという公園が広がっていて、周囲の眺めが最高です。

右下が、美術館のカフェの外テーブル
公園を眺めながら食事ができます
エディンバラ城を見上げられます
すごい所に建っていますね
左側がOld Town,  公園はPrinces Street Gardens
美術館の上の方に、Edinburgh Castle

午後は、世界文化遺産のフォース鉄橋の真下の町に行きます。別の記事にします。


前日、エディンバラへの移動の記事はこちらです。

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