息子と私の「おやすみなさい」の合言葉『たんころ』
息子が生まれてから、夜に寝るときの合言葉が決まっている。
「たんころ~」とお互いが言う。
どちらかが、「たんころ~」と言うと
言われた方も「たんころ~」と挨拶を交わす。
いわゆる「おやすみなさい」だ。
「おやすみたんころ」の時もある。
もう12年この合言葉が続いて、反抗期真っ只中だが、さっきも「たんころ~!!」と私に言ってくれた。
そもそも、どうしてこんな挨拶を交わすかと言うと、
私の実家で、父がいつも寝るときに「おやすみ」と言わずに「たんころ」と言うのだ。数年前に他界したが、私が大人になっても家族に交わす「おやすみなさい」が「たんころ」なのだ。
どうしてかは、わからないが父が必ず寝る前に、この合言葉を言って眠りにつく。どうしてかを考えずに今まできた。
でも世間で「たんころ」とは言わないのは何となくわかる。
愛着がわくこの表現を、私は息子にも自然と使っていた。
そして息子は、私にだけ使う合言葉。
おそらく旦那には通じないのを生まれてから何となくわかっている。
世間で使わないのも何となくわかっている。
そう。なんとなくなのだ。
父から娘の私へ、そして孫の世代へ、
この訳のわからない合言葉が引き継がれていってほしい。
『たんころ』