グレーゾーン
最近付き合った男性が、発達障害だった。
彼は社会人になってから発達障害の診断を受けた人である。
だから、発達障害についてそれなりに勉強もしたようだ。
そんな彼は私に
「ふみちゃんもそっち系だよね」
「あ、でも、あくびが移るならそうじゃないか。グレーゾーンだ」
と何気なく、何の悪気もなく、そう告げた。
私って、
発達障害なの?
定型発達だと、疑ったこともなかった。
でも、ネット調べた大人のグレーゾーンの特徴と、私の性格はほとんど合致していた。
なんのためらいもなしに、人の輪に入って、
なんの努力もなしに、人と会話して、
なんの苦しみもなく、人間関係を継続する
これができる人は、なんてできた人なんだろうかと思っていた。
でも、これができないほうが異常だった。
なんでぱっと知らない、興味のない話についていけるんだろう、
なんで感覚的に人の気持ちが分かるんだろう
なんで踏み込んでいい線引きがみえるんだろう
全くわからないから、めちゃめちゃ人の顔色を窺って、少しでも表情が陰れば自分の言動が原因かもしれないとおびえて。
これは、すべてわたしの至らなさではなく、そういう障害だとすれば。
たしかに生きにくい。
人間関係だけじゃなくて、
大きな音、感情的な声は苦手だし、
強い香りで具合悪くなるし、
味の濃いものを食べると体調が悪くなるし、
あらかじめ定められた行動しかできないし、
食事の時間に空腹状態が続くと強く不安になったり不機嫌になったりする。
でも、これらの状態はわたしの努力不足じゃない。
定型発達の人より生きていくことが困難な状況に陥るけど、わたしが劣っているせいではないのだ。
ADHD傾向の強い彼とASD傾向の強いわたしが一緒にいると、結構疲れるからこの先うまくやっていけるかわかんないけど。
わたしが発達障害であることを教えてくれた彼は、恩人である。
ありがとう。
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