「異能例外少女イレギュラー稀ッ!!」
超次元主観性アドバルーンが上空(つまり地上に最も近い)を飛び回り視界の左へ抜けて右から出てきた。
「ようこそ!ここはアブノーマルシティ。超常能力が蔓延して異常であることが常態化した飛空都市さ!さぁ君も普通市民登録をしよう!!」
「だから、僕は登録を弾かれたんだってば」
ぼくがそう応える前に感情察知によってアドバルーンは実在性を希薄化させて他の新入りの視界へ移動していた。この都市へ出向となってはや2年。異能を持たないぼくはいまだにヒヨッ子のニュービー扱いだ。
1年前にアブノーマルシティ以外の文明は市長の主観認識外抹消爆弾によって因果の彼方へ消し飛んだ。ノア市長がぼくを認識してくれていたのが幸福なのか不幸なのかまだよくわからない。街路の思想誘導花壇がぼくの感情を先読みして涙を流し始めた。やめてくれ、悲しくなるじゃないか。
ぼくは唯はじめ。この地上に残された最後のふつうだ。
【「来訪者」へ続く】
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