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「新・餓狼伝 巻ノ四 闘人市場編」

「あとがき」
この作品はそろそろ面白くなるのではないか。そう念じながら何冊待ったであろう。ようやく一つの長い物語に決着をつけることができた。名作の条件は完結をしないことだとも言うが、あと五年の間に現在の連載を全て完結させて新しい構想に取り掛かるつもりだ。次の巻はすぐにお届けできるはずだ。小田原にて。


よく来たな。お望月さんです。
俺はグラップラー刃牙の最大トーナメントのことを1日30時間考えているが餓狼伝の北辰トーナメントのことも同じくらい考えているし誰にもトーナメントツリーの振り分けをみせるつもりはない。

今日は忘れたころに最新刊が発売されて、さすがにもういいだろうと思いつつもついつい読んじゃって、えヒィ!!とか ぬわわわっっとなってしまう格闘小説の金字塔「餓狼伝」の最新刊の話をする。

どんな小説?

「餓狼伝」はリアルな格闘描写とリアルタイムな格闘技トレンドを取り入れた格闘小説のアルファにしてオメガとされる。現代の宮本武蔵とされる主人公丹波文七が様々な暴力の現場でリアルな格闘を行う。

作者の夢枕獏は日本で最も早くグレイシー柔術や総合格闘技の気配を察知して作品へ取り入れ、試合の模様(通称「裏ビデオ」)を格闘創作関係者(板垣先生等)と共有したりして現在まで続く格闘ムーブメントを築き上げた第一人者である。餓狼伝シリーズは発刊ペースが数年間隔であり忘れたころに発売されているが獏先生の著作はものすごい勢いで発表されている。ほれぼれするような速筆であった。

もっとちゃんとした説明がほしければこの辺へお願いします。
※このWikipediaは概要というには詳細すぎて一覧性が損なわれています。

近刊の主要登場人物

丹波文七
カラテを中心にあらゆる格闘技に精通する現代の宮本武蔵。オヤジ受けがよく作中の大人物のことごとくにかわいがりを受けスターダムを駆け上る格闘シンデレラ。必殺技は竹宮流柔術の秘伝「虎王」。姫川勉との対戦時に恐怖のあまり脱糞したことがあり逆にファンを獲得した。

松尾象山
世界最大のカラテ組織「北辰館」の首領。類まれなるカラテで世界中を荒らしまわり世界の暴力関係者からも恐れられる愉快なおっさん。武勇伝が多すぎてシナリオ進行を止めるバグがある。

姫川勉
眉目秀麗な松尾象山の側近。あくまで穏やかで控え目に徹しているが作中屈指の実力者で常に松尾象山の首を狙っている。その正体は製薬会社東製薬の血縁であり「秘伝菊式」のひみつを握っているとされる。

姫川源三
姫川勉の父。脱糞失踪中の文七を助けるなど何かと縁がある。「秘伝菊式」の使い手であり今巻では「闘人市場」で磯村露風と対戦することになる。

磯村露風
世界征服を趣味とする謎の男。この人物が出てくると話が長くなりストーリーが全く進行しなくなるバグが搭載されており出てくるたびに読者がざわつく。大東流(ヤマト流)の使い手。

磯村軍団
世界征服の手先。

グレート巽
猪木。堤城平と対戦し心停止まで追い込む。

カイザー武藤
馬場。丹波文七と対戦するが丹波流完全復活の狼煙にされる。

各章のあらすじ

異種格闘技のシンデレラ編
さすらいの道場破り丹波文七はプロレス道場で鼻っ柱を折られて復讐を誓い打撃と格闘技のハイブリット戦士となる。文七の出現に呼応するかのように数々の猛者(餓狼)達が出現して異種格闘技黄金時代が到来、丹波文七はシンデレラ坂を駆け上っていく。

※コミックス(谷口ジロー版)は1巻分。(板垣版)はトーナメント終了まで。グレート巽のアメリカ修行編や藤巻、長田、梶原の三角関係編が含まれる。

総合格闘技の芽生え編
ブラジルからガルーシア柔術がやってきた。異種格闘技経験のあるカラテ家やレスラーが次々と駆逐されていく中、米国に疎開していた江戸徳川の乙女流「葵流」までもが合流して総合格闘技を意識した格闘ムーブメントが巻き起こる。丹波文七は葵流を撃破するが姫川勉に恐怖して脱糞王の称号を得る。

※PS2ゲーム版はここまで。ここから先の文七敗北から復活までの道のりが長くストーリーが横道にそれまくるのでここで脱落した読者も多いようだ。(アンケート調べ)

秘伝菊式編
脱糞王となった文七は失踪。何もない海辺のおでん屋で姫川勉の父、源三と出会う。源三が毒物すら扱う皇室御留流「秘伝菊式」の術者であることを知った文七は格闘への興味を再燃させてプロ格闘家へと復帰する。一方でブラジルでの巽と象山の出会いや知られざる力王山の決闘が語られる。

※この辺は何の話をしているのかわからない。どうやら「東天の獅子」と合流させる構想があった(前田光代暗殺を菊式が行ったとされている)ようで時間調整のため展開も刊行ペースも間延びしている。

【2020年9月追記】
「東天の獅子」読みました!傑作柔術小説であるものの、どんどん主題は西郷四郎と武田惣角の二人が織りなす「大東(ヤマト)流」の世界征服の物語へスライドしていく。あれ? 前田光代(コンデコマ)と木村政彦の話は? 
とはいえ、新餓狼伝で暗躍する磯村露風の動向がつかみやすくなりましたね。本気で世界征服を狙っているようだ。武田惣角のように。

現在の焦点は以下の通り。

[磯村軍団の世界征服]
謎の格闘技の使い手が世界征服のためにプロレスやボクシングで暗躍する。果たして彼らの目的とは?

[秘伝菊式を追うガルーシア柔術]
ブラジリアン柔術開祖前田光代を殺害したのは秘伝菊式ではないか? 柔術の最強を確固たるものにするため柔術家が日本国中で秘伝書を探し求める。 フェードアウト気味(飽きた?)と思ったら最新刊でついに決着を迎える。(ガルーシアはあんまり関係してこない)

[バーリトゥードチャレンジ]
東洋プロレスや北辰館が主催する興業で様々な伏線を決着するための舞台となる。丹波文七はカイザー武藤を破り金のとれるカラテカとしての名声を取り戻した。そして新たなる戦いが始まろうとしている。

近刊の展開(新・餓狼伝)

巻の一:バーリトゥード開幕。ロートルレスラーが純プロレスラーらしく柔術家に立ち向かう。
巻の二:文七対武藤!堤対巽!激戦に次ぐ激戦だ!
巻の三:磯村軍団結成秘話。主に曲芸合戦であり意味不明。
巻の四:(最新刊ダヨ!読ンデネ!)

最新刊の展開は?

・菊式の秘伝が炸裂する。
・「闘人市場」で大物対戦が行われ決着する。
・「秘伝菊式」編がまさかの完結!
・バーリトゥードの試合は続く。

最新刊の感想

思ったより早く刊行された最新刊は軽やかな空気で格闘が進行していく。秘伝菊式に掌中を真空にする技術が存在したり久我重明が登場して夢枕オールスターズになりつつあったリ、これまでのグズグズした空気からの開放感にあふれている。 週刊少年チャンピオンで連載している「ゆうえんち」との共通設定も散見されており夢枕先生、快調に飛ばしてるなっという感じになりつつある。

秘伝菊式編が一応の決着を迎えたことにより、最終トーナメントへの道筋もついたのではないか。恐らく過去に漏らしていた最終回(※)に辿り着くことはないだろう。それでも、次の巻も期待できるのではないか。次は2年後か4年後か。その頃には新居の蔵書の整理も完了していることだろう。 この小説は絶対に面白い。小田原にて。

※「餓狼伝最終回」とは夢枕獏がファンブックに寄稿した構想で、松尾象山が待つ山岳の左翼と右翼から丹波とグレート巽が昇ってくる。それを姫川が迎え撃って次々と相打ち。松尾象山の元に辿り着いた文七がコブシを構えたところ、象山が毬のように山を駆け下りて「勝負はお預けだぜ~ガハハー!」となるというもの。

未来へ

いよいよ最終局面へ。
夢枕獏先生の言葉を信じるのであれば、いよいよ最終トーナメントが開催されるだろう。

北辰館の松尾象山、姫川勉。
プロレスからグレート巽、梶原、長田。
ヤマト商店の磯村露風、関根、ボクシングの人。
ガルーシア柔術からヒクソン。
闇の格闘家の丹波文七、久我重明、葵三兄弟。
新キャラのニンジャとか柔道家を動員して最期に出所した藤巻十三が乱入して葵三兄弟から出場権を奪い取れば十六人の最大トーナメントが開催できるのではないか。

絶対に期待してはいけない。人体は「待つことに恐怖する」
それでも期待してしまうではないか。この小説は絶対に面白い。

【2020年9月追記】
なんと新刊がハイペースで発刊されることが判明しました。2020年10月に「新餓狼伝」と「バキ外伝ゆうえんち」が発売されます。近い世界観でクロスオーバーした二作品、いずれは合流も期待したいですね。

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お望月さん
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