会話
子どもの頃から感情を言葉にして伝えるのが苦手だった。あの時、ああ言えばよかったと後から後悔する。
学校からひとりで帰っている時に、頭の中で言葉にできなかった思いを相手にぶつけて、そこから始まる会話を繰り広げていたことが、何度もあった。
いつしか、文章に書けば言葉に出せなかった感情も表現できることに気づいた。ゆっくりと時間をかけて言葉を選ぶことができることが気に入っていた。
けれど、近頃は書きたい思いがうまく言葉にならない。巧みな文章をたくさん読み過ぎたためだろうか。自分の書いていることがつまらない文章に思える。そして、そんな自分がつまらない人間に思えてしまう。