なにげなく1日が
キッチンのテーブルにノートパソコンを持ってくる。いつもは居間にあるテーブルで仕事をしているけど、今日は〆切が近いため気分を変えることにした。
左側に窓があるから、差し込んでくる光の向きもいつもと違う。やけに明るくなったキーボードを叩いて、なかなか進まない原稿に取りかかる。
修正を繰り返し過ぎて、わたしは何を言いたいのかわからなくなってきた頃に、娘が二階から降りてくる。
娘の休日はいつも昼過ぎまで寝ている。寝ぼけた様子の娘に昼食のリクエストを聞き、手早く袋麺をつくってあげる。
自分でつくらせてもいいのだが、わたしがこうして食事を作るパターンも少なくてレアな機会だと思って、つい甘やかしてしまう。
台所のテーブルを娘に明け渡したので、いつもの居間のテーブルに戻ってきた。カタカタとキーボードを叩いているうちに、娘は食事を終えてまた二階へ上がっていく。
わたしは再び台所のテーブルに移動して原稿の続きに取りかかる。
なにげない1日だった。ちょっとした変化の有り難さがあり、変わらない日常の大切さがあった。
成長していく娘と年老いていくわたしと妻。家族の関わりかたもゆっくりと変わってきた。これからも変わっていくのだろう。
将来のことを考えると不安になってしまうから、今日をしっかりと生きようと思う。