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アジア6ヵ国から届いた9月の越境ニュースキュレーション!クリエイティブカルチャー、マーケティングの最新情報 ( 2021 )
アジアのクリエイティブカルチャーやマーケティングの最新の動向について、月イチで配信する "ubies Newsletter" より、ubies Alliance Members を中心とした各地のパートナーが自国のニュースを紹介する News Curation のコーナーを、noteでもお届けします。
🇯🇵 日本
👉 みんなの銀行、「Red Dot Design Award」で最優秀賞を受賞。UIやイラストなどが評価
Summary :
ミレニアル世代、Z世代といったデジタルネイティブな思想、発想で銀行のあり方をゼロから再定義し、まったく新しいコンセプトのスマートフォン専業銀行として2021年5月に登場した"みんなの銀行"。初年度の口座開設目標は40万口座を掲げており、7月末時点で8万5千口座が開設された。フレンドリー、フリクションレス(いかに煩わしさをなくすか)、パーソナルなサービスにこだわり、モノクロのシンプルかつミニマルなUIや体験設計、そしてユニークなイラストがブランドツールとして活用されている。そして、世界三大デザイン賞の一つ"Red Dot Design Award"で日本初、金融業界では世界初となる"Brand of the Year"(最優秀賞)を受賞するという快挙を成し遂げた。
Comment :
今までの銀行のあり方を"変えたい、超えたい"という想いに共感したメンバーで構成されたデザインチームを社内に持った。つくり出すものに愛情を持ち、共有した感覚に基づいて、一貫した"みんなの銀行らしさ"でブランドが構築されたことが、今回の受賞にも繋がったのだと思う。外部のクリエイターとしてイラストを担当した世戸ヒロアキさんは「チームの皆さんが、描いたものに愛情を持ち評価してくれて、より頑張らなくてはという気持ちになりました。」と話し、その世戸さんが所属するアーティストエージェンシー、ヴィジョントラックの井手美沙音さんは「条件を相談する際も常にWinWinを考えてくださり、制作している間もずっと私たちを1つのチームとして迎え入れてくれて、一緒につくりあげる喜びがありました。」とコメントしている。いま愛されるブランドは、1人のファインプレーではなく、立ち上げた人たちの想いの強さから生まれる共感によって人を巻き込み、社内カルチャーを確立し共創することでつくられるという、まさに好例と言える。
🇰🇷 韓国
ソウルは今、Vinyl、Vinyl、Vinyl!
Content :
昨年、世界最大の音楽市場であるアメリカでアナログレコード(Vinyl)の需要が急増し、1991年以降で過去最高の売上記録を達成した。しかし、ソウルではニューヨーク以上の爆発的な成長が見られ、この2、3年間で新しいレコードショップが次々に誕生。ソウルの20〜30代の若者たちの人気を一身に集めている。弘大と東大門、梨泰院を中心に、様々なコンセプトのレコードショップが立ち上がり、既存店とは全く異なる雰囲気を放っている。若い世代にとって、音楽と文化の聖地と化しているレコードショップ9選のInstagramを紹介する。
弘大 :
👉 GIMBAB RECORDS
👉 Dope Records
👉 SOUNDS GOOD STORE
東大門 :
👉 MOSAIC
👉 JUNCTION
👉 Dive Records
👉 MIO RECORDS
梨泰院 :
👉 Mmm Records
👉 DIVE (Website)
🇹🇭 タイ
Summary :
Latthapon Korkiatarkul(ラッタポン・コーキアタークン)は、素材に情熱を注ぐタイのアーティストだ。彼の作品は、物の美的感覚やアイデンティティの定義を変える。例えば、紙幣を削って色褪せさせたり、卵を磨いて大理石のような光沢を出したりすることが挙げられる。最新の"カンバセーション・ピース"展では、物質的な行動へのこだわりをアート作品に昇華させていて、それらの作品は、ラッタポン氏の作品と鑑賞者間の対話へと変わって行く。この展覧会は昨年の7月末で終了しているが、今もなお、皆様にご紹介する価値があると考えている。
Comment :
私が尊敬し、信奉し続けているアーティストの一人であるラッタポン氏の最新の展覧会は、コロナの影響で予約が必要だったが、私は幸運にもその機会を得ることができた。ラッタポン氏の作品は様々な大きさで長方形の平面で制作され、シンプルに壁に設置されていたり、床に自由に置かれているものもあった。素材の性質が解き放たれていることで、私は作品が紙なのかキャンバスなのかが気になり、さらにはこれは絵画なのかはたまた彫刻なのか?と自らに問いかけることとなった。このように、"カンバセーション・ピース"展では、ラッタポン氏の素材への考え方をレベルアップさせている。紙やキャンバスは、驚異的に三次元や四次元へと変化する。この記事は、マニパー・ジャイヤワン氏の執筆であり、"カンバセーション・ピース"展を非常に魅力的かつ詳細にレビューしたものである。
🇨🇳 中国
👉 「Bàng!」「WE ARE IN THE SAME GAME」アートフェスティバル開催中(-8/15)
Summary :
深センで初の、子供たちのためのアートフェスティバル "2021 Bàng!"が、7/24〜8/16に開催された。私たち、深センフリンジアートセンター(深セン市前沿艺穗艺术中心、FAC:Shenzhen Fringe Art Center)は、深センOCTハーバーで開催された一連のイベントに芸術面でのサポートを行ってきた。2021 Bàng! は、"Bàng!"をスローガンに、子どもの声とみんなの参加を提唱し、対話を促進することで、大人と子どもが共に歩み、共に成長するためのプラットフォームを提供した。
Comment :
子どもたちにとって心地良いことはすべての人にも同様だと考え、私たちは子どもたちの視点に立ち、Bàng Thinker、Bàng Sporter、Bàng Seller、Bàng Performer、Bàng Changer の5セクションを設けた。キュレーションの論理と芸術面での介入を以て、これらのセクションは、展示、創造的なインスタレーション、子供向けの絵本、子供向けのフェア、共有セッション、人形劇、公共教育、アートショップで構成。私たちは、子どもたちの日常生活にポジティブで心強い感情をもたらすことを願っている。
🇮🇩 インドネシア
👉 ‘Lumbung’ for the world: ruangrupa on documenta and the pandemic
Summary :
ジャカルタのアーティストやクリエイターの集団である Ruangrupa(ルアンルパ) が、2022年の6/18〜9/25にドイツのカッセルで開催予定の権威ある美術展Documenta(ドクメンタ)のアーティスティックディレクターに就任。アジア人、そしてアートコレクティブとして初のこととして美術史に名を刻んだ。Ruangrupaは、インドネシア語で共同穀物蔵を意味する"LUMBUNG(ルンブン)"の価値観とアイデアを第15回Documentaの基盤としている。LUMBUNGは共同体のサステナビリティのために、資源を管理する術として支持されており、Documentaでは集団性、共同資源の共有、平等な配分などの原則に根ざす芸術的、経済的モデルとして、コラボレーションや展覧会のあらゆる部分で体現される。
Comment :
1955年の第1回Documenta以来、インドネシアは元より、アジアのアートキュレーターが今回のRuangrupaほどの高みに到達したことはない。Ruangrupaは、ジャカルタを拠点とする現代アートコレクティブだ。2000年に7人のアーティストによって設立され、南ジャカルタで展覧会、イベント、フェスティバルを開催するための土台を作り、出版サービス、ワークショップ、研究なども行っている。また、彼らはインドネシアの都市的・文化的背景の中で現代アートを支援する非営利団体として機能しており、アーティストや、社会科学、政治、テクノロジーなど他分野の実践者も頻繁に参加している。また、研究やドキュメンテーション、2年に1度のビデオアートフェスティバル"OK Video"などを通じて、ビデオアートの発展もサポートする。そう、今は個人ではなく集団で仕事をする時代なのだ。彼らの功績は、同じインドネシア人として誇りに思うべきことである。
🇵🇭 フィリピン
👉 ‘Tumindig’: Artists dare to dissent in online campaign
Summary :
いまフィリピンでは、Red-taggingとテロ対策法によって、表現の自由が脅かされていると考える人が少なくない。Tarantadong Kalbo名義で活動しているアーティストは、私たちが発言することを恐れていないと示すために"たとえ自分だけがやっているように感じても"声を上げ、フィリピン国民に立ち上がるよう呼びかけている。
Comment :
風刺漫画家のTarantadong Kalbo氏によるこの呼びかけは、ここフィリピンのクリエイティブコミュニティに"立ち上がって抗議しよう"と呼びかけるものだった。この漫画は、恭しくお辞儀をしている人々の中で、一人だけが拳を上げているという一つのイラストから始まった。このイラストは、多くのアーティストやクリエイター、市民の共感を得て、急速に拡散された。人々は、Tarantadong Kalbo氏と連帯を示すために、それぞれが自らのイラストのバリエーションを独自につくり始めるに至った。
📩 このコンテンツは、9月9日配信の ubies Newsletter vol.3 に掲載されたものです。