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眠れぬ夜に-7-

第7夜

 彼らは男の子2人と女の子1人の、くしゃくしゃの短い髪の毛に白いシャツを着た、よく似た見た目のバンドのような三人組である。彼らはゲルボールペンの線描きにコピック塗りの、モノトーンのマンガのようなイラストを丁寧に描きながら、何かをデザインをしている。

 速くもなく遅くもないタッチで、楽しそうに描く彼らの横で、私は何か別の、メカメカしいモノのデザインをしていた。しかし筆ペンで描き出されるのは、ただ真っ黒いだけの多角形や、どこかで見たことのあるふざけたキャラクターたちだ。ずいぶんと年下と思われる彼らの描き出すものに比して、私のそれは拙くて何も宿していなかった。

 手を止めて見回すと、そこは私の生まれた家の二階の仏間である。ああそうか、私は夢を見ているのだな、彼らはあの頃の友だちだろうか。

 男の子のひとりがよくしゃべり、時々女の子が言葉を挟んでいる。よく喋る彼の言葉がやみくもに好きな対象物をならべていく。マンガと食べ物が大好きなんだそうだ。マンガはあるだけで幸せで、むしろ読まなくてもいいのだと。それは食べ物も似ている、と横道にそれる。食べなきゃダメでしょ、と女の子が口を挟む。いわれてニコニコしている彼、黙って描くもう1人の男の子。彼らの顔や話に気持ちを向けても思い出すものは何もなかったが、並んでめいめい描く楽しさは伝わってきた。

 夢の中は自由である。そう思いたい。六畳の仏間よりもどんどん大きくなっていく机を囲んで、私たちは描き続けた。会話は聞こえなくなったが、午後の暖かく明るい空気に包まれている。これを幸せというのかもしれない。あいかわらず筆は進まなかったが、今やっと引いた一つの線に、心臓がとくりと反応した。

第6夜

 ノンアルで晩酌のまね事をするようになって久しい。その日の事を手のひらの上に出して見たりクズカゴに入れて見たりもするし、考えても仕方のない事を取り出してきて結局は「仕方ないか」としまい込んだりもする。何も解決しないけれどそれがまたよい。相手がいればたわいもない話で時間を潰し、頃合いで引き上げる。飲んでる時にこれが出来たなら、なんて後悔も案外悪くない。
 それでももうちちょっとだけ、と感じた時は小さな物語を読む。小説でもエッセイでも漫画でも。最近は昔書いた自分のテキストを眺めるのも好きだ。私自身、驚くほど忘れていて新鮮である。アル中の利得と言う事にしよう。
 暫く、その雑文をここに披露させて頂く事にします。眠れぬ夜の暇つぶしにでもして頂けたら幸甚です。

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草史
アル中になるようなポンコツですがサポートして頂けると本当に心から嬉しいです。飲んだくれてしくじった事も酒をやめて勘違いした事も多々ございますが、それでも人生は捨てたもんじゃないと思いたい、、。どうぞよろしくお願い申し上げます。