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野音闘人祭
最も印象に残った楽曲は「WORLD PARADE」だった。
通常Ver.とも特殊イントロ付きのこの曲とも異なり、メンバー5人がステージ上に組まれた仮設ステージ(2階相当)に移動して、スタンドマイクを使って披露された。推しメンの朝倉あいさんは、1曲ほぼ全てをセンターの位置で歌っていた。初めてのことだと思う。
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聴いている間、威風闘々ツアー・福岡公演(2021年9月19日@福岡DRUM Be-1)のことを思い出していた。特殊イントロ付きの「WORLD PARADE」が初披露された時のことだ。
当時派手髪だった朝倉さんが一人でステージに立って、イントロの間中、見えない何かを追い求めるように左右に移動した後、センターで丁寧に1Aを歌い始める。初めて目にした時に感動に包まれたこの演出は、その後折に触れて披露され、「彼女と言えばコレ」と認知されるほど代表的な演出となった。
今回の「WORLD PARADE」はそこからまた変化して、朝倉さんを中心にほぼ静止したまま1曲をじっくり聴かせるような形で披露された。
約5年前、現体制の1stワンマン(2020年1月26日 @dues新宿/キャパ60人)で初めて彼女を観た時、小さな体で大きく踊る姿が面白いと思ったものの、同時に歌はあまり期待できないとも感じた。
それがこの5年の間に歌唱に関しても驚異的なスピードで成長を続け、今や約3,000人を前にしてソロで堂々と歌を聴かせるまでに進化を遂げていた。聴いていて、この曲とともに彼女が歩んできた軌跡がフラッシュバックし、何目線かは分からないが胸が熱くなって涙が溜まってきた。残念ながら誰かが(※)歌詞を飛ばして思考がクールになったので、寸でのところで涙が零れることはなく涙活は次回以降に持ち越しとなったが、野音闘人祭で最も心に残る1曲となった。
※ 翌日の特典会で、この誰かは福田さんだということが判明した。朝倉さんがこの涙活失敗のエピソードを福田さんに話して、二人して笑ったようだ。
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2024年12月14日(土)はNEO JAPONISM(以下「ネオジャポ」)の野音闘人祭で日比谷公園大音楽堂(以下「日比谷野音」)に行ってきた。
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開演2分前。突如として和太鼓と三味線による演奏がはじまり、尺八がそれに続いた。そして17時30分。開演時刻ぴったりに場内にSEが鳴り響くと、不敵な表情でアニメーションのように動くダンサーたちによる殺陣を挟んで、5人のメンバーが登場。「Buster Buster」を皮切りにライブ本編がスタートした。
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日比谷野音でアイドルのワンマンライブを観るのは3回目だった。今年2月のINUWASI、同3月のクマリデパート、その2つと比べて、この日のネオジャポは格段に音が良かった。初手「Buster Buster」の福田さんのパートにジャストのタイミングでエフェクトがかかっているのを聴いた時、今日は絶対にいい日になると確信したほどに。
野外で厳格なデシベル制限があると知っていたので、開演前は迫力のある音を期待していなかった。
しかし、ライブ全編を通じてどちらかというと低音にフォーカスを当てた音で、加えて一つ一つの楽器の輪郭がクリアに聴こえてくるような、ネオジャポの前衛的な楽曲に適した迫力のあるサウンドが次々と耳朶を打った。この日のために丹念に作り込まれたような音だった。
聴いていて幸福を感じるとともに、この音を作り込んで出しているネオジャポ6人目のメンバー・PAの田川詞也氏のことを考えた。彼がオペレートすると、ネオジャポの卓越したパフォーマンスがさらに輝きを増して目の前に立ち現れる。
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メンバーの集中力も凄まじかった。19曲目の「ゆるゆらオヤシロガール」まで約1時間20分もの間、ステージの端から端までを使ってMCを挟まず連続して楽曲を披露し続けた。
特筆すべきは、曲間のインターバルもなかったこと。曲のアウトロで次の曲の立ち位置に移動し、一瞬の休憩も挟まずに、そのままシームレスに次の曲を披露する。これを繰り返し続けた。しかも、歌唱もダンスも一切テンションが落ちることなく、初のMCのタイミングでもわりとケロリと話していた。直前2週間ほどライブ活動を休んで準備に集中していたとは言え、素晴らしい情熱に持続力だと思った。
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先に紹介した「WORLD PARADE」以外に個別の楽曲で印象に残った曲をいくつか挙げる。
最新アルバム『EGOIST』から初披露となった「Show Case」は、楽曲の世界観を余すところなく表現したアンティークドールを連想させる振り付けと各メンバーの表情が良かった。後日、朝倉さんに聞いたのだが、この楽曲の振り付けを作ったのは辰巳さんの盟友のAzさんとのことだった。その際に、「辰巳さんの振り付けと似ているよね」と感想を述べると、朝倉さんは「考え方が似ている」と話していた。
また、この曲は2Aの瀬戸さんのベイビーでコケティッシュな声と抑揚が楽曲にジャストフィットして素敵だったのと、落ちサビ直前のピカリと光るような朝倉さんのチャーミングな動作と表情も印象的だった。
スタンドマイクを使ってロック調のリミックスバージョンが披露された「SNIPER」では、その朝倉さんの歌唱が良かった。最新アルバム『EGOIST』を聴いて、多彩な歌い方を特徴とする彼女の声に芯のようなものが育ってきたと思ったが、この日の「SNIPER」ではリズム感も非常に良くなったと感じた。オケのリズムと彼女の歌とのかみ合わせが完璧に整合していて素晴らしかった。
加えて、この曲では、ライブ前半を通じて出されていた低音との対比で、エレキギターの音色が鮮やかに胸に響いてきた。
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こちらも新譜から初披露となった「All of us」は、アンコールの最初の曲として披露された。
通常のネオジャポのイメージカラー(赤黒)とは異なり、柔らかなオレンジ色がステージ背景のスクリーンを彩り、楽曲の歌詞が全て表示される中で、曲の最後にメンバー5人がユニゾンしながら向き合って微笑みを交わし合うシーンが記憶に残った。
2022年8月に開催されたワンマンライブ『一闘両断』(@Zepp DiverCity)で「幸せなんだ」が初披露された時のアウトロのダンスでも感じたが、ワンマンでメンバーが向き合って輪を作るあの瞬間の、何人たりとも踏み込めない5人の絆が生み出す閉じた世界を垣間見ることができた。とても美しい光景だった。
以上が特に良かった楽曲だ。
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アンコールのMCで各メンバーが6年目のさらなる飛躍を宣言した後、オーラスに周年イベントでお馴染みの「トゥ・ザ・フューチャー」が披露された。
実を言うと、ライブ前は解散を含むネガティブな発表があることを懸念していたが、その懸念はメンバーのMCとこの曲で吹き飛んだ。最新アルバム『EGOIST』、そしてそれを掲げて開催されたネオジャポ約1年ぶりのワンマンライブ・野音闘人祭は、現体制5周年の集大成に相応しい数多の華に彩られた煌びやかなライブだった。
そして、ライブ直後に「X」に公開されたムービーで瀬戸さんが「全員幸せにして帰す」と語っていた通りの、幸福で満ち足りた感情を抱えて家路に着くことができた。何よりも6年目の活動が楽しみになった。
2024年12月15日(日)21時00分
野音闘人祭アフター特典会を終えたばかりのネオジャポの公式「X」から、翌年1月に東名阪ツアー(“FIVE+U”)を開催すること。及び、1月31日に予定されているツアーファイナルをもって、新メンバーを迎えるためにライブ活動を休止することが発表された。
現在のところ、活動再開の目処は明らかにされていない。
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