夏のツーマン10本勝負!!
2024年9月17日はMalcolm Mask McLarenの夏のツーマン10本勝負!! -第十戦-でMilkywayへ行ってきました。7月12日の第一戦から9月19日の第十戦まで、夏のど真ん中を駆け抜けたツーマン企画の最終戦でした。
この10本勝負!!は、(第二戦、第六戦を除き)概ね平日夜の19時半開演で場所は渋谷。各組40分尺のライブというお仕事帰りのビジネスマンが参加しやすい企画でした。出演組数が少なくライブの時間が長いと、それぞれのグループのライブを集中してじっくり観ようというモチベーションが生まれるので、私はツーマンが好きです。
一方、(例えば4組が出演するイベント等に比べると)一般的に集客力が落ちるのでイベンター的にはあまり美味しくないはずです。
それにも関わらず、マルコムはみうな生誕(2024年9月15日/3組出演)を含めて、この期間に合計11本もの骨太の企画を主催していて地力の強さを伺わせます。歴史ある事務所の長所でしょう。
10本勝負!!の中でも個人的に最も印象深かった対戦相手は、松田えな率いるTohkei(第五戦)でした。
えなさんは前体制のマルコム4人のメンバーのうちのひとり。前マルコムからは3人が別のグループに転生して今でもアイドル活動を続けていますが、最も多くのファンを転生先に引き連れて行ったのがえなさんです。そんな背景もあって、Tohkei戦は全10戦の中でも最もフロアが混んでいて、新旧のマルコムファンが入り混じる同窓会のような一戦となりました。
Tohkei戦が印象深かったのはもう一つ理由があります。リフトありの主催公演だったからです。
思えばこのライブから、マルコムのフロアは少しずつ形を変えていきました。推しメンのパートになるとファンが交代で前に出てくるような、大きなサークルが遠慮なくできるような、「わちゃわちゃした」団体芸のようなフロアへと明確に変化しました。おそらく初戦と最終戦の映像を比べて見ると、もはや別物と思うほどフロアが変貌していると思います。その転換点となったのが新旧のマルコムファンが集ったリフトありのこのライブだった気がします。
10本勝負!!を通じて最も変化したのは、もしかしたらフロアなのかもしれません。それが運営の意図する(=より多くのファンを惹きつけるための)方向性なのかは分かりませんが、「マルコム楽しかった」という声が頻繁に聞かれるようになったのもこの頃から。これらがノイジー・マイノリティの尖った意見でないことを願って止みません。
立花菜波を擁するPayrin's(第十戦)も印象に残りました。2024年11月3日に現体制最後のライブを開催する彼女たちは、3人で30分の締まったライブを魅せてくれました。この日はリフトなし公演だったこともあったと思いますが、ファンをその場に釘付けにする円熟しつつも切れ味鋭いライブで、菜波さんの心地良い歌声が胸に沁みてきました。
今春に三原海さんがグループを脱退して以降、菜波さんは歌割りが増えたせいか、以前のがなるような派手な歌唱が減って落ち着いたトーンで琴線を刺激する歌を聴かせてくれるようになりました。皮肉なことにダンスのキレも増し、チャーミングなレスのバリエーションも増えました。総じてスキルアップしていて、私は今のスタイルの方が好みです。この日は特に「Alexithymia」が良かった。歴戦のキャリアを感じさせる、さすがのパフォーマンスでした。
Payrin’sの抜き身の刀のようなパフォーマンスに気圧されたのか、後攻のマルコムのフロアはいつもより少し大人しめだった気がします。仮に観た人の投票でライブの勝敗を決めるシステムが採用されていたら、どっちが勝っていたのかな?と。そんなことを考えました。通常は後攻が有利なのですが。
マルコムのメンバーも10本勝負!!を通じて成長したと思います。ポニテがトレードマークのみうなさんは、LADYBABY戦(第七戦)で復活した「LaLaLa」の落ちサビで、前体制のかなさんを彷彿とさせる優れた歌唱力を披露するようになりました。
推しメンのれいさんはダンスの精度を上げたと感じています。
昨年春、現体制のお披露目ライブで初めて彼女を観た時から、美波れいには華を感じていました。どことなく人を惹きつけるステージパフォーマンスをする人だな、、、と。
せっかくなので、この機会にこの夏の撮可ライブの映像を見直して、彼女の華の源泉を自分なりに探してみました。そして、おそらくビジュアルを含むダンスがそう感じさせるのだろうという結論に達しました。
まず163センチと身長が高くツインテでしかも姿勢が良いので、5人のメンバーの中でシンプルに目立ちます。
次に、彼女特有のダンスの技術。動きの止めがしっかりしている(=余白を伴いつつも毎回同じ地点でビシッと止まる)ので、メリハリが効いているように見えます。かつ、アジリティに優れていて、止めた状態でギリギリまで次の音を待ってそこから俊敏に動くので、彼女独特のグルーヴ感を生み出すことができます。何より、キーとなる音に所作がジャストにハマっているのが彼女の美点だと思います。
主にこのビジュアルとダンスの2点がステージで目立つ理由だと考えました。加えて、目がいいので、ステージから遠い位置にいるファンを認識して、長距離レスを送ることができる点も見逃せません。
マルコムのステージを観て否応なしに目に留まるのが彼女だと思います。だからなのか、れいさんの特典会列には毎回のように新規のファンが並んでいます。
どこまでが運営の計算で、どこまでが自然な流れだったのかは分かりませんが、この「夏のツーマン10本勝負!!」は2024年5月28日にeggmanで開催された1周年ワンマンライブでの敗戦(=ソールドアウトできなかった)を受けての企画でした。
7月は22本、8月は18本(うち2本中止)、9月は26本とマルコムはライブ本数が多く集客が分散されているので何となくでしか分かりませんが、この10本勝負!!(とRoad to TIF 2024での惜敗)を通じて、熱心なファンが増えた気がしています。
10本勝負!!最終戦のMCでは、2024年10月15日に初戦の会場であったDESEOで番外編(単独公演)を開催することが発表されました。
グループが運営の目論み通りの速度で成長しているのであれば、その次の展開は新譜のリリースからのワンマンもしくは東名阪ツアーの開催でしょう。
物価高騰に伴う人々の遊興費の節約傾向も反映しているのか、最近は老舗のアイドルグループでさえ次々と歩みを止めています。そんな中、現体制のマルコムは次のステップへと一歩を踏み出すことができるのでしょうか?
その答えはこの茹だるような暑さが和らいで、様々な穀物や果物が大いなる実りを迎える頃、すなわち10月15日の番外編開催の夜には明らかになっていることでしょう。私たちファンが10本勝負!!の本当の「結果」を知るのは、その時なのかもしれません。