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「Brand New World」
「綺麗なマルコムだよね。」
Malcolm Mask McLarenの元メンバーにして現在はアンスリュームで活躍する伊藤詩乃さんは、5人体制を一言でこう評していました。つい先日のことです。
彼女が在籍していた頃にはなかったメンバーカラー、フロアに灯るたくさんのペンライト、そして(同じく元メンバーだった渥美かなさんのような)ワントップを置かずに5人の同期や連携を特徴とするパフォーマンスを映像で観て(※)、そう感じたのかもしれません。
※ 彼女はマルコムのライブを肉眼で目撃したことがまだないそうです。(2024年11月20日現在)
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2024年11月19日はMalcolm Mask McLarenの新体制お披露目公演「Brand New World」で恵比寿CreAtoへ行ってきました。マルコムは2日前の11月17日に高田ゆめか卒業LIVEで5人体制を終えたばかり。余韻冷めやらぬ2日後に早くも6人体制のお披露目公演を挙行するとは、凄まじいスピード感です。
新体制は高田ゆめかさんを除いた4人に、元エウレカの瀬名せなさんと元Chick-flickの兎乃あゆさんを加えた6人。約9年に渡るマルコムの歴史の中で最も人数が多いメンバー構成となりました。
定刻より10分遅れの開場、10分遅れの開演となった当日のライブは、最新配信シングルにしてこの夏のほぼすべてのライブでセトリ入りしていた「Ascension」からのスタート。イントロではフロアの最前列が一斉にマサイで呼応し、一気に会場のボルテージが高まりました。
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「(綺麗を通り越して)キラキラなマルコムだ。」
これが新体制初日のパフォーマンスを観て、真っ先に私の脳裏をよぎった感想です。前日に「X」で公開された青と白をベースとした新衣装は、実際に着て動く姿を目にすると、要所に差し込まれたゴールドの色味が目を惹いてキラキラと輝いて見えました。特に青野みうなさんのポニーテールの髪型との相性が抜群に素敵でした。戦いに臨む光の勇者のように見えて。
同じく前日に「X」で公開された新アー写は初めて美波れいさんをセンターに据えた一枚でした(先のフライヤーの中央にある画像)。今回の新衣装と新アー写を見て直感的に頭に浮かんだのは「リブランディング」というキーワード。
新体制開始のタイミングでブランドイメージや提供価値を少し変えて、iLiFE!やFRUITS ZIPPERのようなトレンドにしてアイドルの基本でもある王道系に寄せるのかな?とも思いました。実際に新衣装から受けるイメージや新メンバーのあゆせなの存在感は、王道系の雰囲気を漂わせているように思えました。
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一方で、新体制のタイミングで王道系の必須アイテムであるメンバーカラーがひっそりと非公式設定に格下げされたのは面白かったです(非公式ながら瀬名さんは紫、兎乃さんはピンク、高田さんの黄色は欠番になるようです/同時に各メンバーの「X」のbioからはメンバーカラーの表記が外れました)。
れいさんによると、応援グッズであるペンライトは本格的に「振っても振らなくてもよい」扱いになったとのことです。王道系の衣装を着てゴリゴリした骨太の楽曲を披露するというギャップを梃子に、認知度の拡大を狙っているのかもしれません。
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肝心のパフォーマンスですが、歌割りやフォーメーションがリニューアルされていました。根強い人気を誇る「Darlin'」をはじめとして、新メンバーにもしっかりと印象的なソロパートが割り当てられ、「The Idiot's Song」ではれいさんからそらさんへソロパートが引き継がれるなど、既存メンバー同士の歌割りの変更もありました。一貫して各メンバーの声質に応じて丁寧にパートを割り振っている印象を受けましたが、、、同時に従来の比較的フラットだった歌唱陣形を改め、各メンバーのソロパートのリレーを経て歌唱表現力に優れたみうなさんに繋げる方程式が確立しつつあるようにも見えました。
また、5人体制の特徴でもあった横一線で並んで歌うユニゾンは6人体制になってビジュアル的にも音の厚み的にも進化していて、この先さらに練度が高まれば長所の一つになるだろうという期待感を抱かせるのに十分なインパクトでした。
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新メンバー2人のパフォーマンスは歌もダンスも初々しかったです。ただ、事前に2人の前世の映像を見てイメージしていたよりも、マルコムにフィットしていたように感じました。また、2人ともビジュアルが整っているので、ステージ上の彩りは確実に増しました。今後のパフォーマンスの熟達にも期待したいと思います。
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人数が増えて歌割りが減った分だけ、既存メンバーはよりパフォーマンスに集中できるようになっていました。
れいさんは各パートをさらに丁寧に歌うようになり、かつ、(特に歌割りがない場面での)ダンスのキレが増し、フロアとのコミュニケーションの総量が増えた気がします。レス祭りを特徴とする「myself」では下手を中心に上手にも移動して、より多くの人にレスを配れるようになっていたのが記憶に残りました。
りこさんとそらさんはアグレッシブなムーヴを見せるようになっていました。りこさんが「オイ!オイ!」と声を出してフロアを煽るシーンを初めて目にしましたし、おしとやかな?そらさんが最前列にいたファンに向かって音に合わせてパンチを繰り出していたのには驚きました。しかも複数回。新メンバーには負けられない、先輩としてグループを引っ張っていく、という気概があったのかもしれません。今後はメンバー間の切磋琢磨もグループの新たな魅力になっていくのでしょうか?
メンバー構成が偶数になってセンターという概念が崩れたので、みうなさんは歌唱直前に(例えば「LaLaLa」では半歩上手寄りから)素早く中央に移動して落ちサビを歌うようになりました。スムーズに動きながら、自らの見せ場に向かって一気に感情を高めていく様子は新たな見所だと思いました。
この日はメンバーの気合いも十二分にみなぎっていて、総じて新体制の新鮮さを感じることができたライブでした。
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マルコムが提供している価値は何か?
もう4年以上このグループに通っていて感じているのは2つです。
一つは、「My Beat」の歌詞にも表現されている「(ファンの)居場所を作る」ということ(その昔、詩乃さんが特典会で似たようなことを言っていました)。
もう一つは、かつて渥美かなさんが「(コロナ禍という逆境の渦中でも)ずっと守り続けてきた」と話していた「楽しい」という感情。この2つを提供すること。
新体制になってメンバーが増えたということは、さらにファンの規模を拡大させ、その象徴として大箱でのワンマンを狙っていると解釈してよいでしょう。一般的に、アイドルグループは成長(=規模拡大)なくして継続はないという特性を有しているので、時代やファンの価値観の変化に合わせてイメージやサービスを変更して成長を追い続けるのは、適切な運営手法であると言えます。
一方で、成長の過程で大事なものを捨て去ってしまってはその選択が逆にグループの仇となるのも事実。企業や団体の経営も個人の生き方も一緒なのかもしれませんが、その塩梅が非常に難しく、投資を含む舵取りを通じて目標に向かって日々調整しながら進んでいくことこそが運営陣の腕の見せ所なのでしょう。
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今回の新体制を契機とした「リブランディング」を受けて、マスコムが今後どのような成長戦略を描いていくのか。それは運営陣の思惑通り機能するのか、そしてその過程でマルコムの提供価値はどのように変化していくのか、期待しながら見守りたいと思います。ファンは一緒に歩むことしかできないのだから。