見出し画像

遊園地が嫌いになっちゃった

 これは近畿地方で一番大きい遊園地の話。名前は伏せます。このバイトの話を、いつかどこかに書き残しておきたいと思っていた。
 この遊園地でのアルバイトは2回目だった。最初に働いたときは、とても楽しかった。あのときの職場は明るく、雰囲気も良くて、まさに遊園地らしい夢のような空間だった。でも、次に働いたときに配属されたのは、まるで別世界のような場所。仕事は同じセキュリティ部門だったけれど、職場の雰囲気は驚くほどストレスフルで、次第に私を追い詰めていった。

ロッカーから始まったストレスの連鎖


2回目の初日、早速私はロッカーの暗証番号を忘れるという失敗をしてしまった。何度も試してみたけど開かず、焦りと不安で手が震えた。ほかのアルバイトの人に助けを求めると、「私もやったことあるよ」と優しく声をかけてくれたものの、結局上司に連絡しないと解決しない状況になった。
 その場に来た上司は明らかにイライラしていて、「だからって覚えないでいいわけじゃないからね」と冷たい口調で言い放った。その言葉に、私は自分がひどくダメな人間のように思えて、胸が締め付けられた。

毎日積み重なるミス


 持ち込み禁止物を確認する作業は、セキュリティ部門の重要な仕事だった。禁止物のリストは教科書のように分厚く、OJTで3日間かけて覚えるのがルール。だけど現場ではマニュアル通りにいかないことが多く、トラブルが頻発した。
 ある日、私はお客さんに禁止物の説明がうまくできず、対応が滞ってしまった。その場は上司に助けを求めて解決したが、あとで呼び出されて注意を受けた。「何かミスをすればすぐ怒られる」というプレッシャーが、日々の中でどんどん積み重なっていった。
 さらに、列が渋滞しているお客さんを急いでさばこうと、カバンチェックを身を乗り出して行ったことも注意の対象になった。裏に呼ばれて「テーブルに手をついて身を乗り出していたよね」と指摘されたけれど、なぜそれが悪いのか分からなかった。「分かりません」と答えると、「そっか、分かんないか」と上司に見下されるような態度で言われた。小さな出来事だったけれど、それが積もり積もって心に深い溝を残した。

笑顔での圧力

 極めつけは、オープニング作業の声かけ指導だった。「今からカバンの中を見るので協力をお願いします」といった定型文を覚えるのが必須だったが、その指導中に上司は満面の笑みで、「次覚えてないと怒るからね」と低い声で言った。その場にはインバウンドのお客さんも多く、和やかな雰囲気を保ちながら仕事をしなければならなかった。でもその「笑顔での圧力」が、私には何よりも不快だった。上司の言葉には、優しさの裏にある威圧感が隠れていて、どうしようもない恐怖を感じた。

適応障害と退職

 この職場での経験は、少しずつ私を追い詰め、最終的には適応障害を引き起こした。毎日のストレスと、上司の厳しい言葉、そして自分の存在価値が失われていく感覚。それらが積み重なった結果、私は職場を辞めることを決断した。
 1回目のバイトがあんなに楽しかっただけに、この経験の苦しさは倍増した。もともと大好きだった遊園地だけれど、今では行くことすら考えられない。かつての楽しい思い出が、全て打ち消されてしまった。
年パスも持っていたが、これ以降更新していない。

いいなと思ったら応援しよう!