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2020年のゲーム業界を振り返る

 ゲーム業界に身を置くものとして (ゲームを作っているわけではないのですが)、今年のゲーム業界を振り返ってみようと思います。個々のゲームについて言及することもありますが、基本的には広い観点から振り返りたいと思います。


新型コロナとゲーム業界

 ゲーム業界においてもコロナの影響は当然無視できないものです。といっても、言い方があまり良くないですが、コロナによって余儀なくされた新しい生活スタイルである Stay Home は、ゲーム業界にとって追い風になるものでした。

 しかし、一方でゲーム制作におけるスタイルは大きく変化しました。勤務スタイルはリモートに変化し、コミュニケーション方法が変化したことで、様々なゲームが発売の延期を決断しました。実際に思った以上に今年発売の AAA タイトルのゲームは少なかったはずです。また、スクウェア・エニックスが在宅勤務を恒久的に制度化することが決まり、今後も制作においては模索する期間が続くことになると思われます。

 また、フィットネスタイトルであるリングフィット アドベンチャーがゲーム本体と共に非常にヒットしたことも大きな印象に残りました。Stay Home の中で体を動かすための手段の一つとしてゲームが選択されたのは、ゲームと生活が強く結びついていることの証拠だと思います。


ゲーム業界における配慮

 今年は Black Lives Matter をはじめとする各種差別問題や、マイノリティーへの配慮がゲームに非常に多くのゲームに対して見られました。

 たとえば、あつまれどうぶつの森では、日本語の場合は、性別についての選択を行う画面があるのですが、英語版においては性別ではなく「あなたのスタイル」を選択するようになっています。このようなジェンダーの問題への配慮は昨今のゲームでは一般的なレベルです。

 今年ゲーム・オブ・ザ・イヤーを取得した The Last of Us Part II における表現についても今年を象徴した問題に思えます。複雑な人間関係をゲームに持ち込むことは非常に挑戦的である一方で、一部のユーザーからはポリコレをゲームに持ち込むべきではない、という意見も見られました。プレイヤーにとって娯楽となるべきゲームに対し、何が求められるものなのか、それが多様性を意識すべきものなのか? という問については暫く葛藤が続くように思われます。


サイバーパンク2077の返金問題

 まだ記憶に新しい話ですが、サイバーパンク 2077 において、ゲームコンソール向けのデジタル版について公式に返金対応が行われました。正直かなりの異例対応だと思って間違いないでしょう。サイバーパンク 2077 については、おそらく PC 版を主体で開発が進んでおり、コンソールの移植が後付けで行われたのだと想定されます。そのためパフォーマンスが出ない状態で発売せざるを得ない状態になってしまい、かつそれを十分に説明できておらず炎上してしまったのだと想定されます。

 また少し異なる話ですが、サイバーパンク 2077 はゲームの発売一年以上前から予約を受け付けていて、そのタイミングで PlayStation Store 等では決済が行われ、予約キャンセルもできない状態でした。サイバーパンク 2077 はそのようなゲームとして完成の目処が立っていない状態での予約をかなりの期間受け付けていたと考えられ、その状態で発売前に 800万予約を大々的にアピールしていました。明らかに期待値でゲームを販売していたと見られても仕方のない状態で、それもユーザーからの反感を買った要因になったのだろうと思います。

 ユーザーはゲームに非常に高いレベルを求めています。Ghost of Tsushima などは、期待と実態が非常に噛み合った良いタイトルだったのではないでしょうか。


ゲーム配信 とゲームトレンド

 今年のゲームトレンドは、ゲーム配信と共にあったことは、かなり人が納得してくれるのではないでしょうか? Apex Legends は言うまでもなく、Fall Guys や Amoung Us 等、様々なゲームが配信者界隈で広まった後にユーザーに大きく広がりました。日本では VTuber がプレイしたゲームは非常にインパクトとなってユーザーに広がります。それに伴い、ゲーム会社もゲーム配信のガイドラインの策定など、時勢に合わせた対応を行ってきました。

 年末に発売された桃鉄は記録的な大ヒットになりました。コロナの影響も理由としてはありますが、今作の桃鉄はゲーム配信がほぼ全面的に解禁されており、ユーザーが楽しいのを分かって買えるという状態が作れたのが一因なんじゃないかと想像しています。


PS5とサクナヒメ

 PS5 の発売日とコンソール版の天穂のサクナヒメの発売日は同じ日でした。Twitter を見ると、ゲームの話題としては PS5 よりもサクナヒメの話題が非常に活発だった印象がありました。もちろんサクナヒメは非常に完成度も話題性も高いゲームだったと思いますが、PS5 に話題性で買ったように感じたのはすごく意外でした。改めてゲーム業界はゲーム本体ではなく、ゲームそのものに非常に意味があるということを感じました。(まだ PS5 買えてません、辛い)


スマホゲームの高クオリティ化と日本の会社の限界

 今年のスマホゲームにおける象徴的なゲームは 原神 です。初めてお目見えした際にはゼルダのパクリ等言われていましたが、実際にリリースされて触ってみると、非常に作り込まれ冒険する楽しみを教えてくれる地形に、単純ながらにも考えさせられる戦闘システムと、コンソールゲームと遜色ない圧倒的なクオリティーなゲームでした。

 今スマホゲーム界隈は、国産のゲームがかなり厳しい立場にあります。国産スマホゲームで元気があるのは、すでにユーザーを獲得し終えた老舗なゲームばかりで、原神をはじめ、中国・韓国資本のスマホゲームが非常に存在感を放っています。理由は 3D ゲームをはじめとするゲーム制作の高度化と、ゲーム開発にかけられる資本力です。原神はそれこそ 400 人規模で3年をかけて作られたゲームです。今の日本のスマホゲームメーカーにここまで資本を投じてゲームを作れるところがあるでしょうか? 有名 IP を使えばゲームがどうであれ売れると思っていませんか? スマホゲームメーカーはどこまで真摯に「ゲーム」を作れるかが求められている時代になっています。


VRとAR

 今年は VR と AR において、象徴的な商品が登場した。

 VR については、 Oculus Quest 2 です。前世代の Oculus Quest の使い勝手の良さをそのままに、性能や解像度を向上させ、値段を抑えたこの商品は VR 機器の中でも飛び抜けて良い製品です。Oculus、Steam 両方のゲームを遊ぶことが可能で、かつコミュニティーも活発で、エコシステムが非常に発達しています。VR を買った後に言われる「遊ぶものが無い問題」が徐々に解決されていっているような気がします。(その分 Facebook アカウントの問題が非常に悲しく感じます)

 AR については、マリオカート ライブ ホームサーキットです。マリオカートをカートに積んだカメラで AR 的に楽しむことができる商品です。家の中でカートをまるでラジコンのように動かして、なおかつゲームとしてはマリオカートとして纏まっているという不思議な体験ができます。AR ゲームは技術的な部分が先行してしまい、どうしても遊びとしては微妙、みたいない事が多いのですが、そこが体験としてマリオカートに寄せることで纏まっているのが感動的でした。

 VR、AR については結局実際に手に取ってみて遊んでみないとわからないので、ぜひ体験してみてもらえると嬉しいです。


まとめ

ここまで読んでいただいてありがとうございます。ゲームは娯楽ですが、すくなくとも自分はそれ以上の可能性を感じる一年でした。きっとみなさんも色々なゲームとの付き合い方があったと思います。ぜひそれを教えていただけると嬉しいです。 2021年も良いゲームライフを!

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