20年前のタイムカプセル
先日、実家に行った時。母から「いいかげんにソレ、持って帰りなさい」と小さな段ボール箱が差し出された。結婚するまでは実家にいたので、その頃に置いていったものだ。かれこれ20年近く放置していたのだ。
中を開けてみると、当時あつめていたおもちゃ、身につけていたネックレスや指輪などのアクセサリ、ダーツなどがぐちゃぐちゃにつっこまれていた。探していたおもちゃがあり「ここにあったか!」と嬉しくなる。
その中に、ナイトメア・ビフォア・クリスマス柄の封筒があった。
手紙が入っている。(もしかしたらカミさんに見せられない昔の恋人からの手紙かも)と真っ先に思ったのだが、ちがった。手紙の冒頭にこう書かれていたんだ。
「40歳の自分へ~21歳のあなたより」
……なんと。過去の自分からの手紙だ。
書いたことをまったく覚えていない。覚えていないから40歳を既に大幅オーバーしてしまっている。
興味津々でワクワクして手紙を読んでみた。
「やぁ。ぼくだけど。(元ネタおぼえてる?)」
ドラえもんコミックス第1巻第1話「未来の国からはるばると」だな。ドラえもんが未来から来たのに、どうして過去の私がこのネタを?逆だろ。
「覚えているようでなにより。忘れていたら、童心を思い出せ!」
過去の私が試してくる。20歳だもんなぁ。
「40歳のおれは何をしているんだろう」
ドラクエ3。
「さすがにドラクエとかはやっていないだろうなあ」
……。
「まだ独り身?もしかして結婚して子どもがいてる?」
あぁ、この手紙をなぜ書いたのか思い出した。
「おれは今、恋人にフラれた直後にこれを書いている」
そうだ。そうだった。なんとなく思い出してきた。ということは、20年前にこれを書いててバックに流れている音楽は……。
「ある曲を聞きながらこれを書いている。
20年後のおれも聴いているだろうか。
イメージの詩を」
イメージの詩。
吉田拓郎が恋人にフラれたときに作った曲で、デビュー曲なんだよね。これこそはと信じれるものがこの世にあるだろうか~。
「もう、味噌汁さえ胃にもたれるくらい辛い」
その表現、20歳のときから使っていたのか、私よ。
「おれの未来は輝いているだろうか」
だいじょうぶだよ。
まぁ、20年前の私が想像しないようなことをしてるけど。その失恋経験が本になったし、物書きコミュニティをしてたりするしさ。
「でも、おじいちゃん、おばあちゃんはさすがにもういないだろうな」
そうだよ。ほんと、いっぱい話しておいてよ。残されている時間は自分が想像するより少ないんだからさ。
「20年後のおれがおれにアドバイスしたら何を言ってくれるだろう。どうせおれのことだから、理屈っぽく上から目線で何か言いたいんだろう」
そうでもないぞ?
アドバイスはね、何もない。
何を言っても今の人生につながってこない気がするし。
まわりの人を大事にしてね、くらいだ。
(ビットコインは買っておいてほしいかも)
「20年後のおれが、笑ってこれを読んでくれますように」
ありがとう、私。
今、笑顔だよ。
[画像協力:さちわ]
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