短歌連作 「号泣」

笑いながら靴に菫が咲くほどの未来をきみと案じるだろう

だって植物園の緑が前髪を羨んで帰れなくなるもの

眠りましょう 影絵の星の王子へと影絵の鳥を贈る八月

いくら檸檬を盗んできても髪の毛の生えない人形と暮らすだけ

劇場があなたに甘い顔をするずっといてほしいってことかな

日記にはとても書けないことばかりしてきた歯車の輝きよ

趣味といえば埋めたラジオが音楽のように聴かせてくれる泣き言

読み慣れない文字にみえても蜂の巣を飛びだした蜂 私のどこが?

シャワー室まで届くしつこい新聞のお悔やみ欄に誰もいないの

どうみても善意じゃないねトンネルが親友になるまで続くのは

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