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365日、彼女が毎日野菜スティックを出してくるのですが。

野菜スティックって知ってますか?

きゅうりとかニンジンとか、野菜を細長くしたアレです。マヨネーズやドレッシングにつけて食べたり、最近ではバーニャカウダ?とかいうやつにする人もいますよね。

そう、その野菜スティックです。

箸休めには丁度いいし、健康について考えていると言い訳しながら飲みたい時にも、まぁまぁ合う感じですね。

そう、そんな野菜スティックです。

奴、野菜スティックってほら、あくまで付け合わせじゃないですか。

なのに、俺の家では365日毎日野菜スティックが出るんですよ。メインとして。しかも、朝食、昼食、夕食全部。お弁当の時も、レトロな銀色のお弁当箱を見て、塩むすびと卵焼きとか、そういうのを期待しても持ったら軽くて、開けたら野菜スティック。

この生活がもう1年位続いているんですよ。

同棲中の彼女の料理を褒めた時から!

「おいしい?」って俺の目を見て聞くから、満面の笑みで『美味しい』って返したら、その日からずっと野菜スティックばっかり。彼女が、買い物から帰ってきたら、エコバッグから野菜が出てくるんですよ。

半透明のレジ袋の頃は、透けて見えてたから『また今日も野菜スティックか』って思ってたけど、レジ袋有料化になって彼女がエコバッグを使うようになってから、袋の中身はトップシークレット。どうせ野菜だろうって思いながらも、どこか心の隅っこで期待するじゃないですか。たまには違うものが出てくるんじゃないかって。

そして、今日も彼女は台所でニンジンを細く切っている訳ですよ。今日も野菜スティックな訳ですよ。連続野菜スティック生活記録更新って訳ですよ。

「できたよー」

彼女が嬉しそうに近づいてきます。手にはいつもの野菜スティックを持って。『自信作なの!』と言わんばかりの満面の笑みで近づいてくるから、今日も高速で尻尾をふってしまったじゃないですか。


たまのお散歩にも、お弁当箱に俺の分の野菜スティックを詰めてちょこちょこ歩く可愛い彼女。最初は自慢の前歯を酷使しなければ食べれないほど野菜そのものの形状だったけれど、最近では子ども用包丁で器用にスティック状にしてくれる可愛い彼女。


人間と比べると、ほんの一瞬で終わる命。俺は多分、その時になったら野菜スティックのことを思い浮かべるのでしょう。


時間が流れ、彼女が誰かのために野菜を切る時、俺のことを思い出してくれたらいいなと思いながら。


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ところで、野菜スティックって、これのことですかね?

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