漫才2(カレーのはなし)
どうも、漫才2のスタッフ2です。
「漫才2」という、にぼしいわしさん主催の実験的ネタライブで、匂いの演出がありました。
じわじわカレーの匂いがする
というものです。
我々はお客様に
「カレーの匂いがしてきたぞ。」
「段々強まってきたぞ」
と感じてもらうにはどのようにすればよいか、
それだけを考えて本番に挑みました。
その結果がカレー湯気魔法陣であり、ホンモノカレーパタパタです。
お客さんが黄色い粉に包まれてもよければカレー粉を吹いたり、
カレー溶液スプレーを撒いたかもしれません。
一人一人が紙をこすって匂いを嗅ぐなら嗅覚検査用のフィルムを渡したかもしれません。
ただこれではネタに集中できません。
お客さんの席の前に風が出る噴射口があればその手前にカレー粉の層を作って匂いを届けたかもしれません。
会場に大きな口のパイプがあればそこからカレーの湯気を放出したかもしれません。
そんな特殊効果に特化した設備が、いちお笑いライブの客席にあるわけがありません。
実はカレーの匂い付き線香というものがあるんですが、当日調達しづらいというのと、私が偽物を使うのに抵抗があったのでそれは案から外しました。
というのも、
私は前々からテーマパークや4DXで使われる匂いについて、
香料が「香料の匂い」として確立しすぎていると思っていて、
私が匂いを出すなら
そんな「うその匂い」でごまかしたくはないね!
と思っていました。
バナナの匂いと言われて出てくる匂いは「バナナっぽいかもしれない」匂いにすぎないし、周りの色や「バナナの匂いだ!」みたいな言葉に惑わされているだけで、その正体は全然知らない化合物だったりします。
実際、言われたら言葉につられてその匂いがしてるように感じるみたいな論文はあった気がします。(断定しません)
匂いの認知が視覚や聴覚に影響を受けることは確かです。
大きな部屋で充満させて、即消臭する必要があって、何度も繰り返し行う必要があるなら、効率的で低予算の香料(≒うその香り)を使用すべきでしょう。
本物の匂いは複雑な化合物の集合体で、それを本物を使わずに気体で表現することはそれなりに難しいです。
※カレーに関しては主な構成要素が香辛料なので、似た匂いの香料も本物らしい匂いだと思います。嗅覚検査に用いる匂いとしても優秀です。
話を戻すと、せっかく一回きりで、人手を使ってよいのだから
「こすったらカレーの匂いがします」
のカレーではなく、
帰路で嗅ぐ
「あれ?この家今日カレーじゃない?」
のカレーの匂いをさせたいと思いました。
熱を持ったカレーの匂いにしたかったのです。
その結果、
カレーメシを仰ぐという案が生まれ、
4つだけでは周りに広がらないという気づきを経て、
匂いの強さより風こそが匂いを届けるという知見に繋がり、
固形物の限界を知ってカレーヌードルの湯気に頼り、
ヌードル臭がカレー臭を鈍らせている可能性を考慮して、本物のルーも用意する
という
全てを注ぎ込む形で一発勝負に出ました。
本当は匂いの強弱の制御もできればよかったのですが、
ひとまず匂いを届けるという使命は果たせたのでよかったです。
そりゃ4DX施設は香料使うよな。。。
お客様、ご来場ありがとうございました。カレーの口になっていたら幸いです。
にぼいわさん、なかなかできない経験をさせていただいてありがとうございました。夢が一つ叶いました。
関係者の皆様、目的に向かって思考を巡らせて動いて、刺激的で楽しかったです。ありがとうございました。
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