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愛なんて、錯覚なんだ#0

毎度、同じ時間にアラームが鳴り、体を起こす。

寂しさが止まらない。

そんな俺の寂しさを消してくれるのは、妹の存在と、ベーコンを焼く音…

深い谷底にいるような、そんないつもの日常

朝ごはんが出来上がり、また、俺を孤独へと連れていく…

…ピビッッ!!

洗濯機をも、止まってしまった。


○:「はるか、朝ごはんできたよ!」



俺は妹の部屋に声をかけに行く…




…返事がない

○:「はるか?」

遥:「分かってるから」

妹にも、突っぱねられてしまった…


妹は目を合わせずに1階に降りていく…


○:「あっ、洗濯物…」

洗濯物を干す俺と、無言で朝ごはんを食べる妹…

…これも、いつもの日常。


○:「お弁当、出来てるから忘れないでね!」

遥:「…」

○:「…」

また、返事がない

○:「あ、住民票書かないと…」

遥:「…」

朝ごはんを食べ終わった妹は、無言で学校へ行く…


○:「…はぁ」

○:「俺も、そろそろ着替えないと…」

○:「制服…どこだどこだ…」

ピンポーン…

無機質で生意気な音が家中を響かせる…


○:「あっ、しおりおはよう」

久:「おはよっ」

○:「ごめん…もうちょっとまってて!」

久:「また〜?」

久:「しょうがないなぁ…」

いつも彼女のしおりを待たせてしまう…

これも…"日常"

○:「あっ…」

○:「はるかお弁当忘れちゃってる…」

机の上には、巾着にしまっていた妹用のお弁当が残っていた…


「好き」


よく、彼氏彼女が言い合ったり、気になる子のことを、この言葉で表したりする…

決してこれは数値で可視化出来るわけでもなく、その言葉が本当かどうかを証明する要素もない…

だから、自分自身でも気づかないのだろう…

目の前にある、日常に潜んでいる「好き」に…




長編第4作






『愛なんて、錯覚なんだ』



to be continued…

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