このシェアハウスが、私たちの帰る場所です。#14

…

梅:「私。○○さんに、恋しちゃいました」

○:「…」

○:「えっ…」

梅:「○○さん…私と、お付き合いしてくれませんか？」

○:「…っ」

梅:「…」

○:「ご、ごめん、こう言う場合、どうしていいか…」

梅:「…」

○:「そもそも、俺と美波ちゃんじゃ…」

○:「年齢が違いすぎるって言うか…」

梅:「…私は、本気です」

○:「…」

○:「美波ちゃんのことは、好きだよ」

○:「でも…」

○:「今はまだそういうこと、考えられない」

梅:「…」

○:「真夏のことも、まだあるし…」

梅:「年齢が原因なら…
2年、待ってくれますか？」

○:「…」

○:「それまで、運命の人が、現れなければ…」

梅:「…わかりました」

○:「…」

…

…

桃:「ただいまぁ……」

与:「ただいまぁ…」

2人は疲弊した顔で帰ってくる…

梅:「2人とも、おかえりっ」

美波ちゃんは、さっきの不憫な空気をぶった切って、2人に笑顔でそういう…

○:「…」

○:「…おかえりっ」

与:「○○さん！おなかすいた〜！」

桃:「みなみん、おむらいす…？」

梅:「あ、バイトのオムライス、練習しててっ
でも私じゃダメみたい…」

○:「そんなこと…ないけどね」

梅:「…っ」

与:「みなみんのオムライス、食べたいっ！」

桃:「桃子も！」

梅:「もぉ、2人とも…
○○さんの方がおいしいよ？」

与:「みなみんのが食べたいのに…」

桃:「みなみんのも、おいしそうだよ？」

桃ちゃんは食べかけの美波ちゃんのオムライスに目線を合わせる…

梅:「もぅ、しょうがないなぁ
○○さん、手伝ってくださいっ」

○:「ふふっ、いいよっ」

…

…

梅:「はいっ、どーぞ」

与:「わぁ〜っっ！」

桃:「おいしそう…」

"いっただっきま〜す！"

2人は元気にそう言って、1口目を頬張る…

与:「おいひぃ…」

桃:「うん、おいしい」

梅:「えへへっ、よかった」

与:「みなみんの隠し味は…なぁに？」

桃:「桃子わかんない…」

梅:「あっ、そういうの、入れてない…」

梅:「普通の、オムライスだよ」

与:「ふふっ、そっか
じゃあ分かんないのが正解だ！」

桃:「やったぁ〜！」

○:「…ふふっ」

梅:「いつも元気でいいねぇ」

梅:「○○さんっ」

○:「ん？」

梅:「史緒里と、麻衣さんの分も作っていいですか？」

○:「あぁ、もちろん」

桃:「みなみん、ごちそうさまっ」

梅:「はーい」

○:「洗い物は、俺がやっとくよ」

桃:「いいんですか？じゃあお願いします」

桃:「桃子、お風呂入ってきます」

桃ちゃんは食器を片付けて、お風呂場へと向かう…

与:「みなみん、ごちそうさま」

祐希ちゃんは、食器をシンクまで持ってきた…

梅:「うん、ありがとう」

○:「じゃあ貰っちゃうよ」

与:「…」

祐希ちゃんは、食器を離そうとしない…

梅:「…？」

○:「祐希ちゃん、どうしたの？」

与:「み、みなみん…」

梅:「…ん？」

与:「つ、翼くんと、今日何かあった？」

与:「祐希、急に今日LINE来たから…」

○:「…」

俺は少し、洗い物の手が止まる…

与:「…付き合ったの？」

梅:「あぁ…」

梅:「昨日は、返事はちょっと考えていい？って言ったんだけど…」

梅:「今日、また呼び出されてね…」

与:「…」

…

－－－－－－－－－－－－－－－－－－－ーー

…

…

…

翼:「み、美波ちゃん…
昨日の、返事聞かせてくれないかな…」

梅:「…」

梅:「あの…」

梅:「私、好きな人がいるんだ」

翼:「…っ」

梅:「それも、ちょー大人っぽくて」

梅:「私の恩人」

梅:「もちろん、私だけにじゃない優しさもあるけど…私には、特別優しくしてくれてる感覚がある…」

梅:「私、その優しさに、いつからか心躍っちゃってるんだ…」

翼:「…」

梅:「私は、すーんごい大人っぽくて優しい人が好きなの」

梅:「翼よりも、もっと…」

翼:「…っ」

梅:「祐希に、告白されたんでしょ？」

翼:「…知ってたんだ」

梅:「子供っぽいからって、振ったんだよね…？」

翼:「…うん」

梅:「翼が祐希のこと、好きじゃないのは、しょうがないと思う」

梅:「でも、そんな振り方する翼って…
人のこと言えるくらい大人かな…？」

翼:「いや、それは…」

梅:「私は、翼が祐希にいった言葉、そっくりそのままお返しするよ」

梅:「…ごめんね」

翼:「…」

翼:「…んっ…………ぐっ………ｸﾞｽﾞｯ……」

翼:「…ご、ごめん……」

梅:「じゃあね、またバイト被ってたら…」

梅:「…」

梅:「…」

私は1人、背中を向けて帰路を歩き出した…

…

…

…

－－－－－－－－－－－－－－－－－－－ーー

…

…

与:「…」

梅:「…」

○:「…」

美波ちゃんが話したものが終わった時…

誰の口からも声が、出なかった…

与:「…」

梅:「…」

○:「…」

与:「…みなみん」

梅:「…ん？」

与:「祐希のために、そんなことまで言ってくれて…」

与:「ありがとう…」

梅:「い、いや…私がさ…
その話聞いて、ちょっとむかついちゃったから…」

与:「でも、翼くんもみなみんの言葉で、反省してたと思うよ」

与:「翼くんから、あんなこと言ってごめんっていきなりきたから…」

梅:「…そっか」

梅:「よかった」

与:「…よかった？」

梅:「この話、祐希にしていいのかなって、考えてたんだ」

与:「…」

与:「…実は、LINEの返し方が、分からなくて」

与:「この返信、どうしたらいいんだろうって、みなみんに聞こうと思ってたから…」

梅:「うん、それは全然いいよっ
オムライス、できるまで待ってくれる？」

与:「うんっ！」

○:「…」

美波ちゃんは、祐希ちゃんのことを撫でる…

もう、俺や麻衣が、何も言わなくても、自分達で解決が出来るんだ…

俺が思っているよりずっと…

みんな大人なんだ…

…

…

…

白:「うん、おいしい！」

梅:「ほんとですか！？」

白:「○○のオムライスみたいだよ！
言われなきゃ分からなかったよね！史緒里ちゃん」

久:「ほんとにそうです！」

久:「美波、上手になったねっ」

梅:「いやぁ…まだまだだよ」

美波ちゃんはそう言って頭を掻く…

白:「いいお嫁さんになるねっ」

梅:「えぇ〜嬉しいです！」

久:「私にも、今度教えてね？」

梅:「そ、それは私じゃなくて○○さんでいいじゃん…」

久:「お兄ちゃん、お願いっ」

○:「いいけど…史緒里ずぼらだからなぁ…」

久:「ん！なにそれ！」

○:「史緒里はまず、自分の服を洗濯かごに入れるところから始めてっ」

○:「俺が持ってたりするの、やでしょ…」

久:「ん…」

白:「まぁまぁ、○○もそんくらいさ？」

○:「麻衣もだよ！
第一お前だけは自分の家で洗濯しろっ！」

白:「なによ〜！
わたしだってたまには入れます！」

○:「入れてるとこなんて見たことないよ…」

○:「さっき美波ちゃんにお嫁さんとか言ってたけど、麻衣が言うな独身っ！」

白:「はぁ！？」

白:「あんただって最初の結婚生活、全部真夏に託してたって聞いたけど！？」

○:「誰から聞いたんだよ」

○:「真夏はたしかに全部やってくれたけど！俺だってやってた！」

梅:「ふ、2人とも？」

○:「…っ」

白:「あっ…」

梅:「ヒートアップ…しすぎですっ」

久:「お兄ちゃん、みっともない…」

○:「なっ…!!」

白:「ご、ごめんなさい…」

○:「み、みっともない…
い、妹から…みっともない…」

久:「うん」

久:「でも、2人とも…本当に仲良いですねっ」

久:「新婚さん、みたい」

梅:「……!!」

白:「……っ」

○:「麻衣とは、いっつもこんなんだからね
相性は、全然良くないと思うよ笑」

○:「腐れ縁…ってやつ？」

白:「そ、そうだよ…？」

梅:「…」

梅:「…」

…

…

…

白:「はい、レモンサワー…」

○:「うん、ありがとう…
今日、ずっと気になってたんだけど…」

白:「…ん？」

○:「朝のあれ…なに？」

白:「…」

俺は麻衣からもらったレモンサワーを口にする前に、話し始めた…

○:「麻衣のことが…分からない」

○:「最近妙に元気になったり…
…子供っぽくなったりして」

○:「"かわいい麻衣"が見れてる気がするけど…
麻衣の気持ちが、分からない…」

白:「何急にそんなこと…」

○:「急なのはどっちだよ…」

白:「私に聞く前に、何か言うことあるんじゃないの？」

○:「な、なに…？」

白:「おととい、嘘ついてどっか行ったこと
忘れてるわけじゃないよね？」

○:「…」

白:「…」

○:「…」

白:「何で、話そうとしないの？」

○:「…」

白:「…」

白:「…真夏だから？」

○:「…!!」

白:「…やっぱね」

○:「えっ、いや…」

白:「どーせ、そんなとこかなって思ってたよ」

○:「分かってたの？」

白:「私に話しにくいこと、って言ったらそうじゃない？」

白:「真夏以外のことなら大体話すじゃん」

○:「…」

白:「…何話したの？」

○:「…」

○:「…真夏が、より戻せないかって」

白:「…は？」

白:「だいたい真夏は、結婚したんじゃないの？」

○:「それも、色々話して…」

○:「…してないんだ、結婚」

白:「…??」

○:「しかも…子供も…」

○:「…いないんだ」

白:「どういうこと
全然意味がわからないんだけど…」

○:「妊娠したっていうのは、嘘で…
真夏の本心は…俺と結婚したいんだって」

白:「…それ、ほんとに本気にしてるの？」

○:「俺だってわかんなくなって…
その時に麻衣だってあんなこと言うから…」

白:「そ、それはごめん…」

白:「でも、どんな理由があれ、真夏は1回裏切ってるんだよ」

白:「もう、真夏に関わるのはやめなよ」

白:「いつか言ったよね？○○は…この気持ちのまま、真夏のこと忘れるって…」

○:「…」

白:「あれ、どうなったの？」

○:「…」

○:「…だって、あんなこと、言われるなんて」

○:「そんな話だと思ってなくて…」

白:「やっぱり、○○はまだ、きっぱり決めきれないんだね…」

白:「○○のそういうところ…大っ嫌い…」

○:「な、なんだよその言い方…」

好きって言ったり…嫌いって言ったり…

○:「…ほんとにわかんない」

白:「…」

白:「…真夏の詳しい話、本人から聞かせて」

○:「…え？」

○:「だって、会いたくないんじゃ…」

白:「…気が変わったの
真夏は、もっと大っ嫌いだけど…」

○:「…」

○:「分かった、連絡するね…」

白:「…」

…

…

大体、2週間くらい経ったのだろうか…

"いってきま〜す！"

4人は足並みを揃えて、学校に向かう…

○:「…」

白:「…」

○:「…麻衣」

白:「なに？」

○:「明日お休みだよね？」

白:「うん、今日から3日やすみ」

○:「あ、今日もなんだ」

○:「明日の土曜日、午後から…」

○:「真夏と、3人で…」

白:「…うん、分かった
今日、この家いていい？」

○:「うん、いいよ」

白:「ありがと。」

○:「じゃあ、行ってくるね…」

白:「うん、行ってらっしゃい」

…

白:「…」

白:「…はぁ」

…

…

○:「…」

俺は今日は、手だけを動かしながら、頭の中は麻衣と真夏のことでいっぱいだった…

麻衣とは、ふざけた会話がほとんどなくなり

なんだか、よそよそしくなってしまった…

明日、話しようによっては麻衣がブチ切れてもおかしくない…真夏だってそれを耐えれるくらいのメンタルなんてない…

だから。俺は本当はこの2人を合わせたくなかった…

生:「○○くん、大丈夫？」

○:「えっ？」

生:「ほらほら、見て？」

○:「…あっ」

俺のパソコンに映し出されていたのは、変換ミスで全て英語で表記されたものであった…

○:「やっちゃった…」

生:「最近、顔色悪いよ？
ちゃんと、休みなね？」

○:「はい、ありがとうございます」

度々声をかけてきてくれる生田さんは、俺の本当の支えになっている…

生田さんになら、話してもいいかな…

○:「生田さん、」

生:「ん？」

○:「この前、婚約破棄の話、したじゃないですか」

生:「ああ…そうね…」

○:「もし、相手からよりを戻したい、と言われたらどうします…??」

生:「なに、そんなこと言われたの？」

○:「…」

生:「うーん…」

生:「詳しい事情にもよるのかもしれないけどさ
結局、1回結婚の話が、なくなったんでしょ？」

生:「元には戻せないと思うけどな…」

○:「そ、そうですよね」

生:「でも、お互いに心から、大好きならいいんじゃないかな？」

○:「…」

生:「でも、今の○○くんは迷ってる…んだよね？」

○:「…そうですね」

生:「それなら、やっぱりオススメは出来ないかな…」

生:「過去の愛にすがってても…未来は…ね？」

○:「…」

生:「意外と、身近に愛があるかもよっ
恋愛だけが愛じゃないんだから」

○:「…」

○:「…そうですよね、ありがとうございます！」

生:「うん、頑張ってね」

…

…

梅:「ただいま〜」

白:「あっ、美波ちゃんおかえり〜」

梅:「あっ、麻衣さん
いらしてたんですね」

白:「今日は休みなの」

白:「だからずっといた笑」

梅:「そうなんですね、」

白:「美波ちゃんは今日、バイトあるの？」

梅:「そうなんです
みんなより先に帰ってきちゃって」

梅:「最近は、いつもそうなんです」

白:「あら…」

梅:「…」

白:「…」

それだけ言って、急に無言の時間が訪れる…

梅:「…」

梅:「…麻衣さん」

白:「ん？」

梅:「○○さんのこと、どう思ってます？」

白:「え？」

梅:「最近…」

梅:「史緒里とか、祐希に…」

梅:「○○さんと麻衣さんが、カップルみたいとか、新婚さんみたいとか…」

梅:「言われてて…」

白:「あぁ…」

白:「…」

白:「…○○の言う通りだと思うよ」

白:「腐れ縁」

白:「…って、感じかな…」

梅:「…」

梅:「…本当ですか？」

美波ちゃんは真剣な顔で聞いてくる…

白:「えっ？う、うん…」

梅:「○○さんのことを、父親だと思うとともに、麻衣さんのことを、母親だと思ってました」

梅:「でも、いざお二人が付き合う、ような話を聞くと…」

梅:「私は、嫉妬、しました」

白:「… 」

梅:「私この前、○○さんに告白したんです」

梅:「大好きですって…」

白:「…えっ？」

○○からそんな話、聞いてなかった…

梅:「結果は、ダメだったけど…」

白:「そ、そっか…」

私は、ほんの少し、いや強く安堵をした…

梅:「でも私は、諦めたくないんです」

梅:「初めて抱いた恋心で…
好きと尊敬と父性…」

梅:「この三つを同時に感じられるなんて、○○さんだけです…」

白:「…」

白:「…」

美波ちゃんの心からの○○の気持ちを聞いて、驚いた…

…

それは、美波ちゃんがこんなにも○○が好きになっていること、よりも…

…

美波ちゃんの話を聞いて、嫉妬してる私をみて…

真夏が嫌いなのも、それが理由なのかも…と

高校時代の恋心を思い出したわけではなく…

…

…

…

…

…

今の私自身が、○○を好きだという気持ちのことだ…

…

…

…

to be continued…