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あん肝を蒸していたら船酔いが治りました。美味しんぼ学1-2
【あらすじ】
東西新聞社の新人社員 栗田ゆう子(22歳)はひょんな事から文化部の先輩 土岡と社主(社長)命令で究極のメニューを考える事になってしまった!
【ミリしらの美食家が『美味しんぼ』を ツッコミながら全巻読破してみた】って企画の第2話です。どうぞよろしくお願いします。
前回は水と豆腐についてのお話でした。
水はさておき 豆腐に関してはあれから結構調べてて なかなか面白い情報も手に入ったので どこかで放出できればとも思ってますが、
気になってスーパーでいろんな豆腐買って食べましたね。僕は意外と無骨な味の『男前豆腐店』の豆腐が好きですね。豆腐って味がダイレクトで 薬味、調味料の味がマッチしてて凄い好き。
なぜかさっきまで 納豆とかも食べてて 大豆加工食品の虜になってます。
ってか 1話でこんなに影響力あるのは凄いね。さすが希代の食通漫画『美味しんぼ』だけあるなって感じです。
皆さんちゃんとついてきてますか?全然 おいてくよ今回も!是非ともよろしくお願いします。
でわ早速 第2話いってみよー
【第2話 味で勝負!】
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早速メインヒロイン 栗たん登場!なんか1話より可愛いのは気のせいですか!?
せっかく 創業100周年プロジェクトを任された二人ですが会議があるのに どうやら先輩 山岡の姿が全くありません。最寄りの地下鉄まで探しに行くのですが 競馬に行く様子…
あれ?東西出版って銀座にあるの?
なんか 日比谷とか有楽町とかだと思ってた。朝日新聞って銀座が最寄りだっけ?
ごめん あんまり東京詳しくないわ
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うわ、山岡最低。
栗たん無視して「料理の記事なんか知ったこっちゃないッッ」とか腕引っ張って マジ 人間のクズだわ。
栗たんにこんな顔させるとかマジサイテー
土壇場で上着をひったくることで 財布を追いかけて無理やり会議に参加する山岡。栗たん 犯罪だぞ☆
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そして 会議室である。いや 会議室なのか?新聞社ってこんな応接間あるんやー
ホテルの一角みたいだよ?
各界の大御所 揃い組で会議に参加。
食味エッセイスト、小説家、芸能評論家、料理学校校長、作曲家、レストラン評論家。3人以外特に用ないぞ!もっと文化人類学者とか 料理研究科とかそう言うの集めろ!
バズレシピ リュウジを入れろ!
ここで究極のメニューの案として取り上げられているのは
黒海のキャビア
タイの雀の巣
パリの仔羊の喉肉パイ包
子羊の脳のソテー
フォア・グラ
ワイン
シャトー・ムンド・ロチンド(シャトー・ムートン・ロスチャイルド)
ロマネ・コンティ
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なんかだいぶ偉そうに残虐な事を若い女の子に語るこの芸能評論家なんやねん。絶対 性格歪んでるじゃん。こんな変な癖のやつ呼ぶなよ。
俺の栗たんにクソマウントとんな!
フォアグラは主にガチョウにガバージュ(強制飼養)させて肝臓を屠殺の4ヶ月前くらいから12倍ほどに膨れ上がらせます。鳥は嘔吐反応がないのでスムーズにチューブから餌を強制摂取させ 肥大化した肝臓を調理した世界3大珍味の一つです。
世界的に見て 批判的な意見が多い。
それよりも 子羊の脳のソテーってなんやねん。
怖すぎるやろ? おまいら一体どんなもん食ってきてんだよ?
もっと普通の旨い料理で良いだよ。
一応 ネパール料理でギディフライっていう羊の脳みそを炒めた料理は聞いた事ある。ネパールは羊の脳を食べる文化がある。
調べたけど、イタリア料理であるっぽい。味は白子のソテーみたいだそうだ…
まったりと滑らかな舌触りの優しい味。鉄分、ビタミン豊富で、フランスでは離乳食でもあるらしい。コロッケにして食べると良いっぽい…
ハンニバル・レクターっぽい
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おぉ どうした山岡。さっきまで 財布擦られて半べそかいてたのに急に威勢よく怒鳴りはじめた。情緒どうなってんだお前?
ちなみに 食通ってのは 料理について詳しい人の事を言います。グルメとかとも言うけど 最近はフーディーって言い方をしますね。
SNSとかが出てきた結果 食べログなどのフォロワーの多い食のインフルエンサーとか フードアナリストとかを総称して言うみたいです。
少なくとも 食の産業に関わってなくても食通ってのは名乗れるみたいなので 今回の会合に作曲家が居てもなんら問題ない
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味わわ‼︎
なぜか情緒がおかしくなった山岡。谷村部長もびっくりですよ。
激昂する食通たちは売り言葉に買い言葉
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さてさて 1週間でフォアグラより美味しいものを用意することになった 山岡。
んー
まぁ 別にフォアグラよりもうまいもんなんていっぱいあると思うよ。例えば ビックマックとか。
三代珍味はトリュフ以外は結構がっかり食品な気がするんだけどなー
ちゃんとフランスでちゃんとしたフォアグラ食ったけど あんまり覚えてない(10数年前の記憶なので曖昧)
そんなこんなで 1週間後にフォアグラを超える料理を提供することになった山岡ですが、大ミエを切って1週間新聞社を無断欠勤。
やばいやつ。せめて連絡入れたり上司に相談せえよ。
現在地 海!フォアグラより美味い食材は 海にあるらしい!
ビックマックじゃないのか‼︎
いや、一瞬だけ フィリピンで海上マックが存在してたはず!ワンチャン あり得る!これ公式のマックのCMだからね
いやいや そんな話はさておき。
海鮮でフォアグラよりも美味しい物かー
正直 おいしさなんて 個人差があると言うか 個々の人間の特有の概念だからなー フランスに被れた日本人に対してぶつけるとしたら何をチョイスするか…
まずは対になるフォアグラについてどう言う食材なのかを軽くおさらいしていきます。
フォアグラは上記でも少し話しましたが
アヒルやガチョウの肝臓を肥大化させてパテとかソテーにして食べる フランスの祝い事の時の伝統料理です。
作中でフォア・グラと分けて言ってるのは 意味として「肝臓」・「脂肪」って単語なので中点を入れて表現することもあるみたいです。今は普通にフォアグラって言う事が普通かな?
歴史は古く
紀元前の古代エジプトくらいから家畜としてガチョウの飼育が始まりました。当時 肝臓を食べたかは諸説ありますが、史実としては古代ローマの大プリニウスが書いた博物学(77年)に 豚の肝臓でやってたのと同じ調理法をガチョウでもやってたみたいな記述があって、ガチョウに干しイチジクを食べさせて強制肥大させて蜂蜜酒を飲ませて屠殺した後に調理するって書いてあるみたいです。
鶏の肝って聞くと砂肝かと思うかも知れないんですが 砂肝はレバーの横についてる組織で 食べた物を濾す(潰す)筋繊維の器官なので ちょっと別物かなってニュアンスです。
砂肝はザリザラのコリコリ食感で少し生臭い風味ですが 鶏レバーは いわゆる ちゃんとレバーっぽい風味というか味をしてます。味は砂肝よりも鳥ハツの味に近い気がします。
フォアグラはそんなレバーっぽい風味が感じにくく コッテリとした脂の旨さと鶏の香りが楽しめるので人気になったのではないかと思われます。
フランス革命前まではアヒルがメイン、革命後はアメリカからコーンの伝来が比較的容易になったことでガチョウがメインの食材として使われてきました。現在は飼育の安定やコストの関係でアヒルの方がメインですね。
アヒルのフォアグラをフォアグラ・カナール、ガチョウのフォアグラをフォアグラ・オアっていいます。
現在は90%以上カナールが主流ですが、調理の内容によってつかい分けるそうです。価格はオアの方が1.5倍くらい高いイメージです。
味は 食べ比べた事ないからわかんないけど ガチョウのオアの方がサッパリで繊細って聞きます。比較的ガチョウの方が飼育が難しいんですよね。病気になりやすいし 飼育期間が長いしコストだけかかるっぽいので 今はカナールの方がメインで使われてます。
日本で唯一 青森で生産されてたフォアグラもカナールだった気がします。(バルバリー種)ちなみにオスはカナール、メスはキャネット。あんまりメスのフォアグラはあんまり聞いた事ないなー
フランスでは伝統的な料理だから、みんなクリスマスにゲン担ぎみたいな感じでフォアグラを食べる傾向にあります。消費の8割はクリスマスに集中するらしいです。
全然関係ないけど フォアグラの鮮度を保つために真空調理器具が進化した歴史があるので フォアグラの存在は調理文化学的にも重要なファクターではあると思ってます。
今はアニマルウェアフェルの観点から議論が出てますが今回は言及しません。一個言えるのは アニマルウェアフェルって科学的知見なので感情で語らないところが好きです。
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はい。んでわ なぜか海にいる無断欠勤中の山岡さんの動向を見てみましょう。
「茨城県 那珂湊冲」
アクアワールドの近くかな?
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船酔いの栗たん。可哀想。
なんで2人は漁船に乗ってんだ?山岡さん何故か船員にキレてるし。この人の情緒は相変わらず どうなってんだ?
栗たんを気遣う山岡。港で待ってろと言っておきながら 本当に辛そうなら引き返すなんて さっきの船員との扱いが違い過ぎてやはりどうかしてる。山岡も栗たんの魅力に気がついてきたのか?
んで取れたら魚は
アンコウ!
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めっちゃ絵が怖い! アンコウ怖い!
フォアグラに対抗する食材はアンコウなのか?アンコウって鍋くらいしか聞かないぞ。あ、あん肝とかかな?
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アンコウを吊るして捌き出す山岡。三徳包丁で上手に切っていく。
船の上で即座に解体できるのはマジで凄い。アンコウの捌き方なんてどこで覚えるんだ?
ってか 蒸し器もすでに準備してるし 手際良すぎる。
んー 釣られて早々 皮を剥がれて肝をひっぱり出される感じ フォアグラと負けず劣らずの残虐性ではある。
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酒は白波で良いのか?芋焼酎ですよね? もっと清酒とかの方が良いのでは?
すっかり日が落ちて 街へ
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アンコウって言うか僕は魚介類に関しては専門外なので一応調べた事を共有できればと思います。
「アンコウ」とは、アンコウ目アンコウ科に属する深海魚のこと。世界中には300種ほどのアンコウがいますが、日本で食用とされているのは「クツアンコウ」と「キアンコウ」の2種類のみです。市場では流通量の多いクツアンコウを「アンコウ」、希少なキアンコウを「ホンアンコウ」と呼んで区別しています。また、アンコウのメスは体長1mほどに成長しますが、オスは10〜20cmほどと小さいので、食用にされるのは全てメスになります。
へー
ちなみに水揚げ1位は山口県下関市!
近くに住んでるのに 専門外すぎて魚に興味なくてすみません。
「西のフグ、東の鮟鱇」って言われる高級魚なのに 西も東も山口県ってのがウケる。
まぁ フグの漁獲量は現在、北海道が水揚げ1位なので むしろ逆にしてもらっても良いかも知れない。
アングラーって種類のヨーロッパ産アンコウは2mくらいらしい…ほとんどサメじゃん。アンコウ顔も怖いし大きいし パニック映画向けなフォルムですね。
調べてみた感じで簡単にまとめると
山岡がアンコウを茨城に摂りに行ったのは あんこう鍋で有名らしく
「食べられない所がない」と言われるくらい身はもちろん、皮や内臓、エラなど、骨以外は全て食べることが出来る無駄のない魚で部位を「7つ道具」と呼ぶらしいです。 豚は鳴き声以外は食べれるから 豚の方が無駄がないね。河豚ってい書くフグは白子以外の内臓は食べれないので 無駄のある魚です。
あんこう鍋はその7つの部位を鍋にぶち込んで 味噌や醤油で味付けする茨城の郷土料理らしいです。
「どぶ汁」って名前のあん肝を味噌で溶かした料理もあるとか…
ネーミングセンス終わってるけど 美味しそう。(実際に後日作ってみましたが めちゃめちゃ美味かった。一瞬にして てっちり鍋の出汁が出来上がるような貴重な体験だった。)
https://www.ibarakiguide.jp/data/doc/1715946085_doc_6_0.pdf
ネットの情報を見る限り 季節外れの時期は 北海道とか岩手、石川とか 寒い地域の日本海側で取れる印象があるみたいなので1週間粘ったとしても取れるかどうかわからなかったぽい。
11月とかがアンコウの肝が肥大化して旬の時期だそうです。
山岡 これ 鮮度抜群のあん肝用意できたの 結構たまたまじゃない?
関係ないけど あん肝ってアニサキス多いみたいだね。
あんこう捌いてるYouTube見たけど
「アニサキスは入ってて当然だから、 焼けば気にならないからしっかり火を通してね」って言ってたので 皆さんあん肝食べる時は生食注意です。
アニサキスもよく噛んで食べれば 貴重なタンパク源。
さてさて 啖呵を切ったので お偉いさんは揃い組。
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かなり偶然の所業で食材を準備できた山岡と違って 芸能評論家勢はフォアグラ・トリュフを準備してる。
フォアグラ・トリュフなんて 珍味2種入りの王道ぶっ込んでくるあたり相当気合い入ってる。
大体は フォアグラをパテにして刻みトリュフを混ぜるとかするけど今回はトリュフをパテで包んで焼いたやつっぽい。
トリュフとフォアグラの相性はとても良い。有名な料理だと 『牛ヒレ肉のロッシーニ風』っていう仔牛のフィレ肉のソテーにフォアグラをサンドしてトリュフのペリグーソースをかけた料理が有名です。
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「まったりとこくのある味が…」
栗たん 食べ方が可愛い。
この「まったり」って表現を味覚で使うのは関西の方言だったけど 美味しんぼで全国的に使われたって水野さんが言ってた(グルメ漫画50年史)
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一方 山岡 あん肝を笑われる
大衆酒場であん肝はあん肝ポン酢っていうメニューで定番化してますね。あん肝をアルミホイルで包んで蒸して ポン酢ともみじおろしで食べる様な料理。最近はあんまり見かけないけど…
あん肝とかカワハギの肝が「海のフォアグラ」て言われるみたいです。英国の新聞社でそういう感じで紹介されたらしく 2009年以降の事なので美味しんぼ発祥ではないみたいです。
さて、あん肝が絶賛される。
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実際どうかわかりにくいのでYouTubeに動画あったので添付しておきます。
あん肝って臭みが全然ないんだよね。臭みがないというか レバー感というか 独特の血生臭さがないので 肝臓の脂っぽい旨味が広がるし フォアグラに比べると 随分とあっさり食べられる。
けど ある程度 独特の肉の臭みも僕は必要な気がするけどね。
ジンギスカンも豚ホルモンも塩辛も “独特の臭み”も味わうべきなんじゃないかなーとも思います。
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まぁ フォアグラ批判はなんとなくわかるけどね。生産者も料理人のことも考えずに一方的な価値観の押し付けは良くないぞ☆
あん肝の鮮度に関しては結構 偶然性が介入してるから天と地を使うには少々傲りがあると思うけどね。
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創業100周年のプロジェクトを推進するのに チームでプレーした方が良いと思うけどね。
しかも 食の業界の重鎮の向けて 社主自ら結構辛辣なコメントしちゃってるのもどうかと思う。御社が作りたいのは究極のメニューな訳で そのメニューの購読者の第一号って目の前に座ってる方々だと思うのね。
そう言う方々の意見を聞くのも重要だと愚考します。
そもそも 新しい食の文化を切り開く様な企画内容じゃなくて 後世に残すべき食のメニューの構成だと思ってたけど違うんですかね?
さっきから文句言ってたり啖呵切ってたのって食の権威じゃなくて芸能評論家の食いしん坊おじさんくらいでしょ?(あん肝はみんな笑ってたけど) そいつだけ除外してチームでやってみたらどうですか?
まぁ 気概という評価軸で見るなら 山岡みたいな猪突猛進でも良いと思うけど 昭和的な考え方だね。
日本人が考える日本人のための究極のメニューという観点で言えばフードマイレージも少なく 地産地消の観点からも輸入食品に頼らずに作れるに越した事はないのかも知れない。
そこら辺の判断とか認識は 社主の独断だから あなたがそう言うならそうなんだろうねー
いやー 株を公開してない組織はこれだから…
ワンマン経営って 多様性に欠けるよね。
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なんか 山岡少し悲しい背中だなぁ、最後しっぽり1人バーに行ってるし。
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山岡も そもそもの企画に対して 究極のメニューなんて馬鹿らしいって思ってるのかも知れない。相変わらず野暮ったいからやる気ないだけかも知れないけどねー
【本日の学び】
日本の食通は煽っても平気
さて、1人バーでしっぽりしてる山岡ですが、
今回 無断欠勤5日して 茨城までの出張費 宿泊費 食事代 船のチャーター代 漁業者の人件費 諸所経費等 いろいろすでに経費がかかってますけど 興味ないとか言って逃れられると思ってるんですかね?
栗たん1人に 創業100周年プロジェクトを背負わせるなんて 身勝手な事しませんよね?
今後も楽しみですね。
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