国際交流に思う
子供の時分に比較的早く覚えたことわざは、灯台下暗しであった。
語感といい、今風の言い方をすれば妙に腑に落ちるその意味といい、子供心にとても心に響いた。さらに言えば、当時流行った漫画で主人公がその意味を取り違えて、“東大もっと暮らしいい”と言うことでさらに間違った方向で勉強に向かうシーンがあったが、そんなものも含めて印象に残ることわざである。
しかし、自分の人生までを振り返って、そのことわざの意味を本当に理解し実践しているだろうか?
世界には多くの国があり、しかし不幸なことに多くの国々で諍いが起きている。当たり前ではあるが、そのほとんどは隣国同士だ。
そこまで大きな話ではないとしても、例えばサッカーに関して。ともに大国として知られるドイツとオランダは強烈なライバルとして、ファン同士はほとんどお互いを嫌悪しあっている。しかし、経済的にはかなり結びつきは強いのである。隣国だから。こう言う関係を、最近ではプロレスという。
もっと卑近な話。きょうだいはよく争いをする。それはもはや戦争に近い。お互いへの気持ちを聞いても、憎悪の言葉しか出てこないこともある。ほとんど罵詈雑言である。でもなんだかんだで仲がいい。調子のいい時に聞くと、お互いを認め合う言葉が出てくることもある。完全にプロレスである。
海外旅行というと、なんとなく遠いところに行くイメージがある。いや、私にはあったというべきか。あまり近いところには目が向かなかった。行ってみると面白いところもあるだろうに。まさに灯台下暗しである。
誰かと仲良くしたり、ふと気になったりするためには、まずお互いを知ることである。それはどんな小さなきっかけでもいい。自分の足元には気が付かず、見えないことも多いから、何かをきっかけにそれに気がつくといいと思っている。そういうきっかけを与えることができればいいと思っている。もちろん、その中で、きょうだいのように見えすぎる関係になることで諍いが起こることがあるかもしれない。しかし、根っこのところで知っていると、おそらくお互いを認め合うことができるのではなかろうか。
近いもの同士プロレスができる関係。それは結構いいことなのではないかと、成長してきた子供らの冷たい反応を受けるにつけ、この頃ふとそう思う。