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「探求」授業と大学教員ができること

前回の記事で予告しましたがこちらのプレゼン大会に行ってまいりました。

“今回の発表会で各クラスの代表が選ばれ、次回は学校全体でのプレゼン大会が行われるそうです。こちらにも参加予定なので、また報告できればと思います。”


はじめに

今回は、高校のプレゼン大会に参加したので、その感想を書いてみます。  

この大会では、各クラスから選ばれた4グループ、合計28グループが体育館に集まり、ポスターセッション形式で発表を行いました。発表の持ち時間は1グループ4分。私たち大学からのアドバイザーと生徒たちは、興味のあるポスターの前に移動しながら発表を聞き、評価をつけていく形式です。ただ、全てのグループの発表を聞くことはできなかったので、私は8グループの発表を聞き、その中から学校側の希望で上位2グループを選びました。  

この授業のテーマは「社会探求」です。生徒たちは、普段の学校生活で感じる困りごとや課題を見つけ、それをどう解決するかを考えました。そして、そのアイデアをプレゼンで発表していました。  

より「探求」を深めるために社会調査の技法が役立つのでは?

プレゼン大会の後、先生からアドバイスを求められました。そのときに思ったのは、「社会調査の技法を学ぶと、もっと探求が深まるかもしれない」ということです。  

生徒たちは、設定した課題について、クラスや学校全体でアンケートを実施し、データを集めていました。ただ、調査の方法をしっかり学んだわけではないので、「とりあえずアンケートを取ってみました」という印象を受けました。  

アンケートは、数値で傾向を分析する「定量調査」の手法ですが、社会調査にはもうひとつ、「定性調査」という方法もあります。たとえば、インタビューをしたり、日常の様子をじっくり観察したりすることで、より深い情報を集めることができます。しかし、今回の発表を聞いた限りでは、定性調査を取り入れたグループは1つもありませんでした。  

実は、事前には「プレゼンの仕方についてアドバイスを求められるのでは?」と考えていました。しかし、いざ参加してみると、高校生たちはポスターを作り、しっかり発表できていました。特に1年生にとっては、初めてのプレゼンとして十分な仕上がりだったと思います。  

だからこそ、「もし事前に社会調査の技法を学んでいたら、もっと面白い課題設定や解決策が生まれたのでは?」と感じました。    

「探求」授業をさらに面白くしよう

「探求」授業の運営に、高校の先生たちは試行錯誤しながら取り組んでいます。だからこそ、社会学者として関われるのであれば、「社会調査の技法」を教えることで、生徒たちの探求がさらに深まるのではないかと思いました。  

データを集めるだけでなく、「何をどう調べるか?」という部分から考えることができると、もっと発表の内容が充実するはずです。問題設定、仮説の立案、検証のプロセスを学んだうえで探求に取り組めば、より質の高い調査活動ができるようになります。  

大学で社会学を教えている教員なら、社会調査の授業を担当したり、ゼミで調査方法を指導する機会が多いです。だからこそ、高校の先生たちも、もっと気軽に大学や大学教員へ相談してみてもいいのではないでしょうか。  

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Keitaro UCHIDA
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