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【詩】ナイトモラトリアム

眠らない街を眠らせる冒涜。無音の夜を煌々と照らすネオン。
愉しみを失い、滅びゆく街に一人立ってみる。青い月が美しい。
星は見えねどそんなことはどうでもいい。俺にはギラギラした目障りなまでにうるさいネオンの灯りと、賑わう人間共の声だけでよかった。星明かりなぞそんな綺麗過ぎるものは不夜城に似合わない。月のお姫様ひとつで十分。しかしもてなしが俺一人というのはあまりに貧相だ。ばつが悪くなり、目を合わせないままふらふらと歩き出す。
星の光さえ恋しい。今更そんな都合のいいことが言えるわけもなく、ただ、朝を待つ。朝に見る翠の空だけが、今の俺を救う唯一の世界だから。

なんてことはなく、微かに笑う。俺の愛する夜は必ず帰ってくる。連れ戻せる。それができないほど腰抜けではないと、姫様に見せつけてやるのだ。
それを告げるべく、今日日ここに立ちたる我が身に月の光は降りそそぐ。

作家修行中。第二十九回文学フリマ東京で「宇宙ラジオ」を出していた人。