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【詩】未来


黄昏色の空 雨の跡
ざわめく知らないことばたち
灰のカーテンは立ち上がる途中
世界へかけた挑発
それでもなお見知らぬふりをして
何も知らない無垢な町へ
それでもいつか其処にさえ
けたたましい叫びは現れて
失くなるうた 咽せる空気
全部全部侵されていくのを
茫然と見つめるだけなのか
拡声器から声は放たれるのか
空の色は思い出せるのか
未来が眼を覚ましたら
きっと解るのだろう
願わくば南十字に着く前に
ほんとうのことを教えてくれ

空の瞳は閉じたまま
桜色に染まりゆく
朝焼けの夢を見た

作家修行中。第二十九回文学フリマ東京で「宇宙ラジオ」を出していた人。