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【詩】春告花
空一面に白雲 地上は銀世界
雪が降る中、傘も差さず世界を見ていた
月や星は当然見える筈もなく、人間さえも存在しない 在るのは白 それのみ
ふと水面に浮かぶ白椿を見つけた 息はまだある
掬い上げて雪に還し、春を祈る
澄んだ空気を身に受けながら歩き、やがて袖からいつかもらった髪飾りを出してみた それもまた、白椿であった
髪に着けて、また歩く 彷徨っていると言った方が正しい
当てもなく、果てもない
強いて言えば、花々を弔う旅路だったのかもしれない
やがて白銀の泉に辿り着き、花の如く浮いてみた
目を閉じる
花飾りは、雪兎に渡した
白銀に咲く幻想の終わりを、春の夢に託す
花うさぎの跳ねる姿を想いながら
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