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【詩】聖歌と旅路

これ(以下)の続き

長い間夢を見ていた
未来予想地図を片手に、輝く世界を掴めると
一人ではなかった 同じ夢を見る者は他にも沢山いた
しかし輝くのは未来ではなく過去の栄光、偽物の太陽、ハイエナの目
世界はいつまでも闇の中で、出口も正解も何一つ見えない
冷たくて現実的、思えば太陽が偽物なのだから、あたたかい訳がなかった
人々は僕らを「夢追い人」と揶揄し、「新しいものは、変化はいらない」と叫ぶ
既に棺の準備を始めて時を待つ人々に、僕はなれなかった
書き込みだらけの地図も、やがて擦り切れ腐り出した
「終焉がいずれ来るのならば、その間に起きうるすべてが無駄」だとのたまう空気で息をしながら、目を開いた
夢に、追われる恐怖を見せてやる
同じ夢を見る者達と分けたうてなの小舟に乗りながら、新しい羊皮紙に次の地図を描く
悪魔も猫も逆手に取り、拡声器の代わりにマイクを持った
祈りを込めて今一度、闇夜の中で再起の歌を歌う

作家修行中。第二十九回文学フリマ東京で「宇宙ラジオ」を出していた人。