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詩まとめ

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2021年11月の記事一覧

【詩】セレモニー

「不甲斐ない」なんて言葉が僕の口をついて宙を舞う頃、きみは今日も五線譜に書きつけたばかりの音を街中で弾き倒した。 それが聞こえたカフェのウェイターは鋭く舌を打ち、遠巻きにあれを聞いた通行人Aは、音の鳴った方へ駆け出す。野次馬心にほんの少しの希望を織り交ぜて。 そしてこんな街中に、青紫に輝く蝶。うるさいパトカーのサイレンと忙しない人の流れ。指揮者のいないオルケストラ。魑魅魍魎。 青空で閉じただけの箱庭都市で、深呼吸。不甲斐ない僕にできる数少ない行い。それは深く息を吸うことでも、

【詩】聖歌と旅路

これ(以下)の続き 長い間夢を見ていた 未来予想地図を片手に、輝く世界を掴めると 一人ではなかった 同じ夢を見る者は他にも沢山いた しかし輝くのは未来ではなく過去の栄光、偽物の太陽、ハイエナの目 世界はいつまでも闇の中で、出口も正解も何一つ見えない 冷たくて現実的、思えば太陽が偽物なのだから、あたたかい訳がなかった 人々は僕らを「夢追い人」と揶揄し、「新しいものは、変化はいらない」と叫ぶ 既に棺の準備を始めて時を待つ人々に、僕はなれなかった 書き込みだらけの地図も、やがて擦