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詩まとめ

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2020年5月の記事一覧

【詩】未来

黄昏色の空 雨の跡 ざわめく知らないことばたち 灰のカーテンは立ち上がる途中 世界へかけた挑発 それでもなお見知らぬふりをして 何も知らない無垢な町へ それでもいつか其処にさえ けたたましい叫びは現れて 失くなるうた 咽せる空気 全部全部侵されていくのを 茫然と見つめるだけなのか 拡声器から声は放たれるのか 空の色は思い出せるのか 未来が眼を覚ましたら きっと解るのだろう 願わくば南十字に着く前に ほんとうのことを教えてくれ 空の瞳は閉じたまま 桜色に染まりゆく 朝焼けの

【詩】オルゴオルと三つ星ダンス

螺子が廻る時 誰もが目覚め 誰も知らない舞台が始まる 何も見えない箱の中 月と太陽だけが輝いて 私を招くの 「舞台で踊ってくれないか」 何も見えないなら躓いてもばれないね 箱の隙間から漏れ出づる闇 幕が上がる 煌めく観客達 誘人の前で静かに踊る ひとつふたつみっつで足の音 カタカタと くるくるり 不揃いのステップで 古い映画みたい 不器用な彼女は 暗闇でひとり踊り続ける どこかで見えた小さなほうきぼし 大丈夫 誰も気付きはしない 月色のパニエだけ ひら