ビスポーク・スーツの世界
先日ちえさん(@suzukichie30)のご紹介で、SOUTHERN CROSS(サザンクロス)代表 佐藤 一能さんのお話を伺ってきてそう感じました。
株式会社サザンクロス
サザンクロスさんは東京渋谷でオーダスーツブランドを展開、スーツ事業立ち上げ支援を行われています。
足を踏み入れてみると所狭しと並べられた布見本やボタン見本の山にまず圧倒されます。
佐藤さんがオーダースーツの会社を立ち上げられたのは2022年。
それ以前はコピー機の営業など、スーツの仕立てとは全く関係のないお仕事をされていたものの、スーツの魅力に目覚めスーツ関係の会社に転職、業務の傍猛勉強をされて今の会社を立ち上げるまでに至ったそうです。
お仕事をしながら全くの一から学び、現在は製作・提案だけでなく、オーダースーツ事業の支援まで行われている。
お話しぶりや雰囲気からは一切伺わせないものの、ひとかたならぬことであったことは想像に難くありません。ひとえにオーダースーツへの愛がなせることだと感じました。
佐藤さんを動かしたオーダースーツの魅力、拙いながらも少しでも伝われば嬉しいです。
オーダースーツ作りの第一歩はヒアリングから
オーダーメイドは実は和製英語で、英語圏では『custom-made』や『made-to-order』と表現します。また、ビスポークと言われることもありますね。
つまり、『お客様との対話』から生まれる洋服のことです。
若い人が格式を味方に装うスーツと、年齢を重ねたからこその貫禄を表現するようなスーツは違いますよね。
お仕事で着るスーツなのか、ハレの日の装いなのか。
お仕事はお仕事でも、商談でのここ一番を求めているのか、外回りの営業で丈夫で動きやすさや汚れに強いものを重視するのか。
はたまたスポーツで鍛え上げた肉体の魅力を活かすようなスーツをつくるのか。
年齢や目的によってできあがるスーツはまったく異なってくるといいます。
お話を聞いて、確かに!と手を打ちました。
個人的に、今年は阪神がアレのアレでうん年ぶりに野球熱が高まっておりますが、野球選手なんかは鍛えられた臀部から太ももにかけてが一般人とは別次元な体型。
裾野広く誰でも着られるように作られたレディメイドでは、一部のサイズに合わせて全身のサイズ感が変わってきてしまって、なんともちぐはぐです。
終始柔和な優しい雰囲気の中に、その人自身にとってのスーツの最適解を求めて、些細なヒントも逃さない垣間見えました。
一通りのヒアリングを終えたら採寸、生地やパーツ選びに進みます。
採寸
採寸は、なんと14箇所も測ります。
採寸中も軽やかなテンポでお話をされていて、なんだか楽しそう。
自分の体を事細かに測られるなんて緊張してしまいますが、こんな雰囲気でなら安心ですね。
パーツ、生地選び
生地の種類や選び方はお国柄も影響するよう。
たとえば、イギリスでは確かなものを長く愛用したいとの思いからしっかりとした生地が選ばれることが多く、イタリアなら「その瞬間美しく」あることをゴールに、数年で仕立て直すので生地の丈夫さは優先度低め、など。
そして、ここ日本では前述した地域とはまた違い、まだまだスーツは仕事や特別な日に着るというイメージの強さから、長く使えるもの、色味も落ち着いたものを選ぶ人が多いそうです。
なんと、こちらの生地には翡翠が織り込まれており、独特の色合いと光沢がなんともいえないラグジュアリーな空気を醸し出しています。
表生地はもちろん、裏地に、ボタンや刺繍糸にと、たくさんたくさん種類があって、その組み合わせはまさに無限。
迷ってしまうところですが、あらかじめインプットしているお客さんの情報と照らし合わせてポンポンと提案をしてくれ、「え、その組み合わせ?」と一瞬思うようなものも最終的にはしっくり、おしゃれに仕上がっていてさすがプロ!と感動してしまいました。
そのまま真似して作っておしゃれな人と思われたいところです(笑)
ポートレート撮影
この日は少しだけお時間をいただいて、スーツ姿でポートレート撮影にご協力いただきました。
ビスポーク・スーツの世界
私自身も身長がやや規格外で、フレームと厚みのバランスが悪いので満足な服に出会うのには本当に苦労します。
本当はこっちのサイズがいいけど、それだとミニスカートになっちゃうからワンサイズあげて、とか。
それだと全体のバランスがやっぱり悪くて、だらしなく見えたり必要以上によくない印象を与えてしまう。
ナチュラル体型特有の腕が全身のバランスと比べて長めで袖が合わなくて、とか。変に自慢っぽく聞こえちゃうので相談しにくいことも、佐藤さんなら親身になって付き合ってくれそうだし。
自分だけのぴったりの洋服を着て、妥協することなく胸を張れる自分と向き合えるなら...
まだまだ未熟な私には少しだけ遠く見えるけれど、いつか足を踏み入れてみたい世界でした。
お話を伺っている中で佐藤さんがこう仰っていました。
1回目はヒアリングを重ねてスーツの完成形が決まった時。
1ヶ月後にスーツが完成して納品した時に「すごくいいです!」と2回目の感謝をされる。
そして、3回目は出来上がったスーツを着たお客様が、お仕事に行かれた先で「営業先でスーツいいですねと褒められました。契約も決まりました!」「プライベートで新しいご縁に恵まれました。」と成果のご報告をいただいてまた感謝される。3回目がある、と。
スーツのことも、お仕事のことも本当に楽しそうにお話しされている様子が印象的で、天職とはこういうことなんだろうなと思いました。
最後に
槇本さんはなんと、サザンクロスで6、7着スーツを作られているそうです。そんなに長くお付き合いが続くお仕事、素敵ですよね。
かけてきた時間の長さが伺える仲良しそうなお二人でした。
Special Thanks
株式会社 サザンクロス
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