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リノベーションするなら、2025年3月までに?法改正を前に具体的になった私たちの計画
こんにちは!
築100年の古民家移住を計画している家族のnote、7本目の記事です。
前回は、私たちが築100年の古民家リノベーションを考え始めたときに出会った素晴らしい専門家・事業者の方々をご紹介しました。
たくさんの人に会って相談した後、私たちはプラン作成を依頼する予算を決めて、とくに気になっている建築設計士さんや工務店さん・ハウスメーカーさんなど数社にプラン作成・見積もりを依頼することにしました。
今回は、その中で唯一のハウスメーカー・住友不動産に依頼して実施していただいた敷地調査の内容、築100年の古民家の今をまとめます。
なんと、この調査によって、以前住友林業にお願いした調査で浮上した見積金額3,000万円の接道セットバック工事が、リノベーションでも必要になるかもしれないことが分かりました。
これは私たちにとって大大大問題です!
依頼のきっかけは夫の父からの一言
「住友不動産の新築そっくりさんにも相談してみたら?」と夫の父から声をかけられたのが始まりです。「無料で調査からプラン提案、見積もりまでしてくれるそうだよ」とのことで、熱心に勧めてくれました。
「無料なら試してみようか」という軽い気持ちで依頼してみたところ、プロの視点で敷地全体をしっかり確認していただき、後日いただいたレポートには現場での測量に基づいた図面と写真付きの具体的な情報がぎっしり。自ら調査できる知識も無ければ、現状の古民家の図面も無かった私たちにとって大正解の選択でした。
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敷地調査で分かった築100年の古民家の現状
調査を通して、築100年の古民家の状態が分かってきました。とてもたくさんの項目で調査をしていただいたのですが、その中にとくに気になったポイントがいくつかありました。
屋根の状態
過去の増築で雨水の流れが悪くなり、屋根の一部に水が溜まってしまっていることが判明。それにより建材に傷みが出ているようでした。この問題を解決するための改修が必要だそうです。
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床下の状態
床下の湿度がかなり高い状態でした。しかし、基礎の無い古民家の床下はほとんど外と同じ状況になるそう。調査の日が雨だったため、仕方のない結果とのことでした。
外壁と内壁の状態
一部にヒビや劣化が見られるものの、修繕で対応可能な範囲とのことでした。
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シロアリ・害虫の被害状況
シロアリや害虫の被害は心配なポイントのひとつでしたが、幸い今回の調査結果では深刻な害虫被害は無いことが分かりました。これはうれしい報告!
耐震性の課題
長い歴史の中で増改築を繰り返してきたため、構造的にちぐはぐな箇所があることも分かりました。
とくに増築された二階部分は、母屋の隣にある納屋の上にもまたがっているという素人の私たちが見ても不安定だと分かるような状態で、残しておくことによるリスクも高く、減築するべきだというアドバイスをいただきました。
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また、この家は古民家特有の『玉石基礎』で建てられていることが分かりました。
玉石基礎は、かつては一般的な工法だったそう。日本の伝統技術の象徴ともいえる部分であり、家の歴史を感じさせるポイントでもありますが、耐震補強が必要とのことでした。
玉石基礎とは
玉石基礎(たまいしきそ)とは、石の上に柱を立てる基礎で、この玉石基礎による工法は、石場建て工法と呼ばれます。基礎と柱を固定させない独立基礎の1つです。地震などの大きな揺れがあった場合には、基礎から柱が離れることで建物の倒壊を防ぎますが、ずれた柱は戻す必要があります。
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断熱・機密性の課題
日本の古民家に共通する大きな課題のひとつに、断熱性と気密性の低さがあります。現代の住宅に比べると古民家の断熱性能は著しく低く、昨今の暑い夏や寒い冬を快適に暮らすためには断熱材の導入や気密性を高める工事は必須です。
バリアフリーの課題
現代の生活においてはバリアフリーという視点でも課題を抱えています。とくに、段差の多い床や急な階段などは改善したいポイントです。
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全体的な評価
全体を通して「比較的良い状態の物件です」と言っていただけたのがうれしかったです。現状を知ったことで、どんな改修が必要になるのかが見えてきました。
「この改修内容であれば予算内で解決できる見通しも立てられそうだ」と聞いて、と安心したところでした。
接道セットバック問題、再び
しかし、その後のやりとりから、2025年4月に施行される法改正によって、リノベーションでも新築と同様に接道のセットバック工事が必要になる可能性があることを教えていただきました。
以前見積もり金額が約3,000万円だった接道セットバック工事。てっきり新築を選ばないことで回避できるのだろうと思っていた私たちは、それを聞いて青ざめました。
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この法改正は『4号特例の縮小』と呼ばれているもので、木造建築物の建築確認手続きが見直されることになったそうです。しかし、調査を依頼した当時のタイミングではまだ法整備が進んでいなかったため、細かい内容が決まっていませんでした。
自治体や担当者ごとに解釈が異なる不透明な部分もあり、建築設計をする事業者さんにとっても向き合い方が難しいもののようです。
接道セットバック工事が必要になるかどうか、2025年4月に法律が施行されてみないと厳密には分からないという状況に、私たちはどんどん不安に…
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そんな中、住友不動産からは「2025年3月までに竣工(工事が完了して建造物ができあがること)すれば、新しい法規制から確実に外れることができる」と説明がありました。法律が施行される前に家を完成できれば、現行法の適用下で家づくりができるということです。
住友不動産との初めての打ち合わせが2024年7月。当時「まだ何も決まっていない状態から、あと8ヶ月で家を完成させるのは本当に可能なのだろうか…?」と不安になりましたが「住友不動産なら実現可能です」と回答をいただき、とても驚きました。
大手ならではの圧倒的なスピード感だと感じました。
同時に、ここまでの道のりがあと1ヶ月でも遅れていたら、この土地に住むことはできなかったかもしれないということにもなんだかドキドキしたことを覚えています。
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プラン提案と、私たちの決断
敷地調査の後、住友不動産からは現状図面とともに具体的なプラン提案をいただきました。CGを使ったビジュアルや詳細な説明もあって非常に分かりやすく、見積もりも予算内で収まり、とく夫の父はこの提案に大満足。
「これがベストだ!」と何度も繰り返していました。
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「新築そっくりさんであれば、プランと見積もりが一度確定したら、その後の解体で想定外の改修箇所が出てきたとしても金額が上がらない」という説明もありました。リノベーションでは解体後の追加費用が発生しがちという話をよく耳にしていたので、この安心感は大きかったです。
しかし、最終的に私たちは住友不動産の『新築そっくりさん』を選びませんでした。その理由は、提案が新築のような仕上がりを目指した内容だったからです。
私たちは、リノベーションをするのであれば古民家特有の趣を活かしつつ、『あの土地で、私たちだからこそできる家』をつくりたいと考えていました。大手ハウスメーカーだからこその安定した家づくりやサポートは魅力に感じることもある一方で、『私たちがこの土地に住む理由』を形にした家づくりをするには、別の選択肢も考えてみたいなという気持ちが芽生えていました。
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不安だったセットバック工事については、色々な方に話を聞いていくうちに2025年3月時点で『竣工』しているべきなのか、『着工』でも問題ないのかという部分は解釈にばらつきがあることが分かりました。私たちは、なんとか2025年3月に『着工』する方向で計画を進めることに賭けてみることにしました。
リノベーション計画が一歩前進
今回の調査と提案を通して、また一歩私たちの家づくりが前進しました。一度具体的なプランを考える体験をしたことで、私たちがどんな家で暮らしたいのかを深める機会になりました。
今後のプロジェクトの進行も、このnoteでシェアしていきます。引き続き、私たちの家づくりの過程を楽しんでいただけたらうれしいです。
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SNSでも、古民家リノベーション計画の進捗や私たち家族の日常についてゆるやかに発信しています。はじめたばかりのアカウントですが、noteには掲載しきれない写真なども投稿しているので、よかったらフォローしてみてください。
建築設計士さんから「収納のイメージを具体的にしてください」という宿題をもらって、友人のおすすめで『片づけの解剖図鑑』という本を読んでいます。読み始めたばかりですが、冒頭の玄関収納の話からすでに参考にしたい情報ばかりで期待大…!📖https://t.co/h441KRZDUn
— 3人家族の移住計画|築100年古民家リノベーション🍊 (@u_313_87) December 5, 2024