ヨモギ編:第三話 ヨモギ、行方不明になる!
カエルを保護してから数日の間、(カエルどうしてるかな?)と頻繁に水槽を覗く。
だが、いつもカエルの姿は見当たらない。
(またいつもの隠れ家か?)と思い、岩のオブジェを持ち上げて中を覗く。
この岩のオブジェ、底面から中が空洞になっているのだ。
空洞の中にカエルはいた。
保護してから、カエルについて調べてみた。どうやらカエルは「シュレーゲルアオガエル」という種類であることが分かった。日本の固有種だが、オランダのライデン王立自然史博物館館長がシュレーゲル博士という方で、このカエルを研究していたことからその名がついたそうだ。アマガエルほどメジャーではないが、特に珍しいわけでもないらしい。
そんな種類が近くに生息していることに驚いた。アマガエルとトノサマガエル、ウシガエルくらいしか見たことがなかったからだ。
いや、もしかしたら見かけてもアマガエルと思っていたのかもしれない。
繁殖時期になると毎年カエルの大合唱が始まり、睡眠のBGMと化しているが、鳴き声が種類によって違うことも気にしたことがなかった。
せいぜいウシガエルだけ(「モーモー」言うとるなぁ・・・)程度だ。
「アマガエル」で調べても、画像に出てくるカエルは何となく違う。
今となっては何というキーワードで探し当てたかは分からないが、シュレーゲルアオガエルに行き着き(これや!!)と思った。
メスはオスよりも大きいということ(他のカエルもそうらしい)、鳴くのはオスだけということ、アマガエル・シュレーゲル等々は樹上性カエル(木の上など高いところで生活するカエル)で、ツリーフロッグと呼ばれる、など別に生涯知らなくても全く問題ない知識をつけ、(へぇ( ゚Д゚)!収穫や!)と一人興奮したものだ。
※樹上性なのでそれほど水が得意ではないらしい。
保護した時のボウルでの行動がそれを物語っている。
こういった知識をつけたことで、最初は(オブジェの空洞から出られんようになったんかも)と思い引っ張り出していたが、安全なところに隠れたい、そっとしておいてほしい(シュレーゲルは臆病で神経質ということもどこかの記事で書かれていた)ということだろうと思い、いることだけ確認してそのまま放っておくことにした。
そんなある日の夜、水皿の水を交換しようと蓋を取ると、水槽の上部に珍しく張りついていた。
隠れ家から出てきていることに喜んだものの、ストレスを与えないために触ることもせず蓋を閉めた。
翌日、起きていつものように水槽を覗く。
もちろんカエルはいない。
岩のオブジェの中を覗く。ここにもいない。
他のオブジェもくまなく探すが見当たらない。
「カエルがおらん!!?」と大声を出す。
(まさか脱走した?でも出られる隙間はなかったはず)と思いながら、近づいてきた姉・母に「昨日この上の方にはおったんや。でもこうやって蓋したんやけど・・・」と状況を説明する。
すると、どうやら蓋の位置によって水槽との間にわずかに隙間ができることが発覚。
(昨日、上の方におってそのまま逃げよったんや・・・)と思った。
近くにはルーカスの寝床もある。
嫌な考えが頭をよぎった。
(まさか食べてないやんな?)
ルーカスは何でも食べてしまう犬だった。
カエルは多かれ少なかれ、どの種類も皮膚に毒を持っているらしい。
カエルを触った後、そのまま目をこすると最悪失明することもあるのだとか。
カエルの安否に加え、もしルーカスが食べていたら・・・とルーカスの体調も心配になった。
(せめてどっかに逃げてくれてたらええけど)と思うも、季節は冬。
夜中~朝方はもちろんのこと、日によっては昼も氷点下になる地域。
気温に耐えられるか不安になった。
かれこれ1~2週間が過ぎた。
カエルは見つからない。
しばらく水槽はそのまま置いておいたが、今度の休日に片づけることにした。
カエルが脱走してから何となく気分が晴れなかった。
自分ではあまり気にしていなかったが、カエルを保護した日から少しウキウキしていたところがあったのだと気づいた。
第四話へ続く
☆今日の豆知識☆
オタマジャクシ(幼生)からカエル(成体)になることを、「変態」というよ!幼生と成体とでは全く姿が違うよね!
他の代表例としては蝶々🦋が有名だよね!
理科の授業で習ったことがある人も多いんじゃないかな(´ω`)?
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