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My台湾渡航マニュアル 〜防疫ホテル編〜
台湾にやってきた留学生は、まず防疫ホテルでの隔離生活を求められる。当局資料によると8日間の滞在がマスト。ただ入境日は0日目とカウントするらしいので実際には8泊9日だ。これでも以前より短くなったみたいだが、イレギュラーな措置であることには変わりない。制度自体はころころ変わるので説明を省くとして、では実際のところ、防疫ホテルでの生活というのは、どんなものなのか。
あちこちあるよ
まず大前提として。防疫ホテルは台湾当局が入境者による新型コロナウイルスの持ち込みを防ぐために設置しているもので、申し出のあった宿泊事業者が認定を受けて運営している。一覧が載っているサイトはこちら↓
台北市だけで少なくとも約140カ所が指定されている(数えた!)。市中心部のいわゆるビジネスホテルが目立つ一方、なかには郊外の、全部屋にプライベート温泉付きみたいな旅館もある。当局が認定しているとはいえ、運営主体はあくまで民間。施設やサービス内容は千差万別のようである。
ということで、これから紹介するのは「たまたま私が滞在することになった1泊2570台湾ドル(約1万1000円)のホテルの部屋はこうでした」にすぎないということだけ、ご留意を。
部屋は防疫一色
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無事に空港での入境手続きを終え、ようやくたどりついた防疫ホテル。一歩部屋に足を踏み入れてまず「よかった〜!」と安心したのは、大きな窓があって景色が良かったことだ。なんと地上101階建ての高層ビル「台北101」までみえる。
数週間前、日本国内から予約を完了した後(前じゃない、後)、部屋の詳しい説明に「窓なし」と書いてあるのを見つけて、正直かなり不安に思っていたのである。これ「窓はあるが、開けることはできない」ってことだったのか?
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防疫ホテルというだけあって、部屋はやっぱり新型コロナ対策っぽさであふれている。たとえば電話、テレビのリモコン、電気のスイッチにトイレを流すボタン(?)、金庫のナンバーキーに至るまで、すべてビニールが被せられている。宿泊客が退去したあとにふき掃除するのが大変だから、ビニールごと捨てちゃうのかな。
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ちなみに初日に部屋に置いてあった設備&生活物資はこんな感じ。
【居室】
ベッド / テレビ / 冷蔵庫 / デスク / 椅子 / 電話 / 湯沸かしポット / 金庫
【バスルーム】
シャワー / 洗面台 / トイレ(紙は流しちゃダメパターン) / バスタオル2枚 / タオル2枚 / バスマット2枚 / シャンプー&ボディーウォッシュ(コンディショナーはない)
【その他生活物資】
ミネラル(?)ウォーター 600ml × 20本 / (甘い)インスタントコーヒー2袋、ティーバッグ(ジャスミン)2袋 / 歯ブラシ2本、石鹸、シャワーキャップ、女性向けの衛生キット、くし / 消毒スプレー / 箸・スプーン・フォーク / 大きめの紙コップ3個 / ハンガー3本 / スリッパ / ティッシュ / 体温計
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とことん非接触
初日こそホテルスタッフと会話があったけれど、それ以降はまったくない。ではどうやってコミュニケーションを取るのかというと、なにからなにまで予約したときに友達追加してあったLINEである。さらに大切なのが、廊下の各部屋の前にある小さなテーブルとゴミ箱。これらを通じて、人間が生きるのに必要なものを搬入し、人間が生きることで生じる不要物を搬出するわけである。
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ちなみに搬入&搬出は毎日この時間、と決められている。
・朝ご飯:7:30〜8:00
・昼ご飯:12:00〜12:30
・夜ご飯:18:00〜18:30
・ゴミ回収:14:00(捨てる際は13:30〜14:00のあいだに出す)
食事を受け取ることができるのは、スタッフからLINEでメッセージが送られてきたのを確認してからというルールもある。隔離中の宿泊客とスタッフが鉢合わせするのを避けるためだ。部屋にいると特にやることもないので、3度の飯が楽しみになる。
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「ご飯の用意ができました」のメッセージ、最初はbotが自動で送ってきているのかと思っていたのだけれど、試しにお礼のスタンプを送ってみると、お辞儀しているスタンプが返ってきた。途中から毎回ちゃんと返信するようにした。
これは台湾とは関係ない話だが、渡航してくる直前、長男(6歳)が昆虫採集にどハマりし、あれは7月の終わりころだったか、ついに本人いわく「死ぬ前に1度はつかまえるのが夢だった」というカマキリをゲットしてきた。
カマキリは肉食なので、世話をするにはエサになる別の昆虫を定期的につかまえてくる必要がある。バッタでもトンボでも蝶々でも、とにかくカマ太郎(名前です)のために飼い主がつかまえてきて、彼の住処に入れてやるのだ。
カマ太郎は囚われの身になっているとはいえ、ご主人様がいろんなエサをつかまえてきてくれる。選り好みはできないから、とにかく与えられたものを黙々と食べるしかない。なにを言いたいかというと、そう、この防疫ホテルで、私はカマ太郎になったような気分になっていた。
カマ太郎の話おしまい。
ドアを開けてお弁当を取ったりゴミを捨てたりするときは、かならずマスクを着用するのがルール。廊下を誰かが歩いているという状況はレアなので、正直そこまで厳密に守る必要があるようには思えないが……。ちなみにゴミは配布された袋を二重にして置いておくように指示されている。
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食事は多種多様
数日前から本noteの投稿の最後に「◯日の日記」という欄をつくって食事の写真を投稿しているが、基本的に出されるものはすべておいしい(カマ太郎もそう感じてくれていただろうか)。このあたりはさすが台湾という感じ。
朝はパン食が基本で、フルーツジュースなどの飲み物がつく。昼と夜はお弁当。白いご飯のうえにチキンなど大きめのメインの肉料理がでーんと乗っていて、そのまわりに野菜炒めなど副菜が盛り付けてある感じ(ただし本日24日の夜は初めてスープが出ました。本投稿の最後参照)である。
この投稿を書いている時点で朝ご飯を4回、昼ご飯を3回、夜ご飯を4回を食べたが、いまのところ同じメニューは一つとしてなかったように思う。これは当局が指定しているものなのだろうか? 不思議に思ってLINEで聞いてみると、すぐ答えがかえってきた。
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そもそもこっちの質問が中国語として成立しているのか疑問だが、一応「(メニューは)私たちが自分で選んでいます。近所の飲食店と連携しています」とのこと。だとしたらメニューがかぶらないように管理するの大変だろうな。本当にありがたい(そして忙しいのにこんな質問に答えてくれるのも優しい)。
デリバリーOK
部屋に置いてあった注意書きによると、Uber Eatsなどのフードデリバリーを頼むのはOKらしい。台湾版のUber Eatsにアクセスしてみると飲食店だけじゃなくてセブンイレブンなどの小売店もある。ただし! 買っちゃいけないものも決められていて、
・生鮮食品
・薬(処方箋があればOKだが要確認)
・たばこ
・アルコール類
・ライター
・ナイフ
・高出力?の家電
はダメだそうです。
体調報告3種類
隔離というのは手段であって目的ではない。ではなにが目的かというと、海外からの入境者が万が一ウイルスを持ち込んでも、そのウイルスを隔離期間中に抑え込んでしまうこと。よって隔離期間中に発症がないか、健康状態の観察と報告が求められる。これがやや面倒。
というのも報告先が疾病管制署(?)のLINE BOT、大学、ホテルの3つあるから。疾病管制署は最初の登録作業でパスポート番号を入力するも「あなたは隔離者リストに入っていません」と跳ね返され、入居2日目の午後まで機能しなかった。大学は午前と午後の1日2回なのがちょっと大変。ホテルは初日に渡された紙に記入して退居日に提出するみたい。
ま、けどこれはしょうがない。
物資は補給OK
初日に置いてあったお茶とコーヒーだとさすがに少なかったし、そもそもトイレットペーパーは1個しか備え付けられていなくて、もう絶対的に足りない。そこで聞いてみた。
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私「お茶とかインスタントコーヒーとか、追加してもらうことはできますか? ルール上の問題がなければ、多ければ多いほどありがたいです」
ホテルの人「いいですよ、まずちょっとだけお持ちしますので、足りなくなったらまたまた言ってください」
と、LINEを送ってから20分たらずで物資が届いた。もちろん追加料金の請求はない。やっぱり言ってみるものですね。ちなみにお願いしていない紙コップも届いた。気がきく!
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昔だったら海外のホテルでフロントにこういうことを頼むとしたら、電話するしかなかっただろう。電話しないといけないとなったら、お茶もコーヒーも我慢していたかも。便利な時代になりました。
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【2022/08/24の日記】
前日で北京の大学のオンライン留学が終わってしまったので、初めての完全フリーな1日となった。いまいちよく分かっていなかった「“把”構文」を基礎から復習した。台湾留学しているひとのTwitterやnoteをたくさん眺めた。初めて部屋で洗濯した(持参したウタマロを使った)。渡航以来初めて雨が降った気がする。
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