年の暮れ・大井競馬場
新馬場(しんばんば)
青物横丁(あおものよこちょう)
鮫洲(さめず)
ここらへんの駅名の並びが良い。
いつも使っている路線だったら慣れてしまってそんな感じも受けないかもしれないが、京急はごくまれにしか使わないので、乗るたびに面白いな、と思う。
鮫洲の次が立会川で、立会川から10分ちょっと歩くと大井競馬場だ。
立会川も歴史のある名前で、江戸時代、鈴ヶ森刑場に送られる罪人を親族が立ち会って見送る場所だったという(諸説あるらしいが)。
坂本龍馬ゆかりの地、でもあるらしい。
坂本龍馬はあんまり好きじゃないので、どんなゆかりがあるのか調べる気はない。
(正確に言うと坂本龍馬について熱く語る人がどうも苦手)。
到着。
いまのところ大井競馬場も入場は抽選制。
やはり人が少ない。
以前の年末開催だと、この辺りにいろいろな種類のキッチンカーが並んでお祭りみたいだったのだが・・・。
考えたら大井に来るのは3年ぶりか。
ここで少し地方競馬について書いておく。
どんな趣味でもそうかもしれないが、それをやっている人には当たり前で、今さら説明するまでもないことでも、やっていない人にはあまり知られていないこともある。
日本でやっている競馬には二つの系統がある。
中央競馬と地方競馬である。
中央競馬の馬・騎手・調教師・競馬場と、地方競馬の馬・騎手・調教師・競馬場とは、はっきりと分かれている。(レース等で交流することはあるが)
中央競馬と地方競馬とは何が違うのか、というと、一言で言えば主催者が違う。
ごく大雑把に言うと「国がやってる」のが中央競馬で、「地方自治体がやってる」のが地方競馬だ。
「国がやっている」といっても国営というわけではなくJRA という法人がやっていて、とか、地方自治体と言っても大井競馬場の主催者は東京都ではなくて特別区(23区)だとか、細かく言い出すときりがないのだが、ま、「国がやってる」中央競馬と「地方自治体がやってる」地方競馬といった区別でだいたい間違ってはいないと思う。
「中央と地方」というと、大都市圏の近くにあるのが中央競馬で、地方都市でやっているのは地方競馬と思いがちだが、そういうわけではない。
主催者がどこなのか、が問題であって競馬場がどこにあるかは関係ない。
福島、新潟、小倉などにもJRAの競馬場があり、そこでの開催は「ローカル開催」なんて呼ばれることもあるが、これはあくまでも「中央競馬」。
逆に東京都心に一番近い競馬場は大井競馬場だが、これは「地方競馬」である。
東京都の大井競馬場
千葉県の船橋競馬場
神奈川県の川崎競馬場
埼玉県の浦和競馬場
この4つの地方競馬は連携して持ち回りで開催していて、「南関東公営競馬」略して「南関競馬(なんかんけいば)」と呼ばれる。
中央競馬(JRA)の開催は基本的に土曜日と日曜日。
南関競馬はこれと競合しないように基本的に平日に開催されている。
というわけで土日が休みの仕事をしている時は、なかなか平日にやっている南関の地方競馬には行く機会がなかった。
平日に会社帰りの人にも来てもらえるように、ということで大井、川崎、船橋ではナイター競馬も行われているが、それでも仕事終わりに行くのはなかなかキツイ。
だから、ぼくが地方競馬に行くのは年末年始の休みの時くらいだった。
年末は大井競馬
年始は川崎競馬
いつの頃からかこれが年末年始の恒例になった。
去年はコロナで、一昨年は個人的にバタバタして行けなかったので3年ぶり。
ボンネビルレコード号が誘導場をやっていた。
現役時代には非常に息の長い活躍をした馬。
非常にのどか。
(よく見ると遠くで馬が走っています)
天気も良かった。
しかし年末の大井競馬場はなんとなく物悲しい雰囲気がある。
大井競馬場の男性用トイレの個室の壁に、赤ペンで
「お馬で人生アウト」
と書き残して首を吊った男の話を思い出す。
これが実話なのか都市伝説なのかは知らないが、とても滑稽で、とても物悲しい。
そんなことにならないように、早めに適当なところで切り上げて、立会川の駅へと歩く。
立会川駅の近くの天祖諏訪神社。
どうも参拝する気分じゃなかったので、写真だけ。
またの機会に。
京急も山手線もそこそこ混んでいる。
年の暮れの、ざわざわした街の雰囲気は苦手だ。
何かを責められているような気持ちになる。
近所のスーパーで屠蘇散と、おもちゃみたいな鏡餅を買って帰った。
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