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ルネ・ラリック リミックス/東京都庭園美術館

24年間勤めた会社を、精神的に限界になって辞めてから、そろそろ2年半が経とうとしているが、今頃になって自分がどれくらいすり減っていたのか、どれくらい精神的にマヒしていたのか、ようやくわかって来た気がする。
ずいぶん時間がかかったが。

目黒にある東京都庭園美術館の「ルネ・ラリック リミックス」を見に行って来た。
今はだいたいどこでも時間指定の事前予約制。
その日は仕事が昼までだったので、13時からの「ルネ・ラリック リミックス」のチケットを取り、それから15時30分からの、これも目黒にある百段階段(目黒雅叙園)のチケットを取った。

12時20分ごろに目黒駅に着く。
庭園美術館は目黒駅から歩いて5分ちょっとくらいだが、ひどく暑い日だったのでふらふらになりながら到着。

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(東京都庭園美術館)

美術について詳しいわけでもなく、自分で何か創作するわけでもないのに、昔から美術館に行くのは好きだった。
若い頃は「アートがわかる俺、カッコイイ」みたいな気取りも多分にあったと思うが、そういう年でなくなった今でもいろいろ見に行っているところをみると、やはり何か自分にとって意味があるんだろう。

東京都庭園美術館は、朝香宮夫妻の邸宅として1933年に建てられた建物を美術館として使用している。
建物自体が重要文化財に指定されているこの旧朝香宮邸はWikipediaによれば
「内装には当時流行のアール・デコ様式の粋を尽くした瀟洒な建物である」

この旧朝香宮邸が本館で、これに2013年に建てられた新館が併設されている。

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(新館へのアプローチ)

美術館に行ったり映画を観たりした後に、時々、頭の中が少しだけ風通しが良くなったような感じがした。
それを感じるために美術館へ行ったり映画を観たりしていた、と言ってもいいかもしれない。
しかしこの10年くらいは、そんなふうに感じることが無かった。
頭の中に、もやがかかったようで、映画を観ても美術館に行っても自分に何も届いてこなかった。
でもまあ、そんなものなのかな、と思っていた。
もう年も年だし、と。

今回の「ルネ・ラリック リミックス」は、フランスの宝石装飾家/ガラス工芸家であるルネ・ラリックの展覧会。
朝香宮邸が作られた際に、玄関のガラスレリーフや、大食堂の照明器具などにこの人の作品が使われた、ということで、この建物とゆかりの深い人。

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(えーと、これはネックレスかな)

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(香水の瓶、というかこれはテスターってやつか)

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(花瓶)

建物自体が美術品であるような美術館なので、展示される作品によっては、美術館の内装と展示される作品がそぐわないような印象を受けることもあるのだが、今回はこの建物とかかわりの深い作り手の展覧会ということもあってか、非常に相性が良い感じがした。

最近になってやっと、頭の中のもやが少し薄れてきた気がする。

長い間正座をしていて立ち上がった時のように、しばらくは足がしびれて歩けないが、だんだんと歩けるようになるような感じ。

庭園美術館は多分一番よく行っている美術館で、あまり心が動かないのはもう飽きてしまったからかな、と思っていたが、どうもそうではなかったらしい。

装飾品には全く縁がない人間なので、「ふーん、きれいなもんだな」ぐらいの感想しか出てこなかったりするけれども、建物の中の雰囲気全体を楽しむことができた。

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(庭園に面した廊下、こんな邸宅で日常生活を送っていた人がいた、というのがなかなか想像しづらい)

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(作品そのもの、というよりは、それを含めた空間が展示されている、という感じ)

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(このバスルームは冬場は少し寒そうだが・・・)

作品をひとつひとつじっくり鑑賞する、というよりは、建物の中をのんびりと、ただぶらぶらした。
少しだけ、頭の中が風通しが良くなったような気がした。


少しマシな気分になって庭園美術館を後にした。
つぎは百段階段へ。



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