東京都復興記念館の展示より。
警視庁から出されたお触れ
警視庁が流言を発したものに処罰を下すとの通知を出したのは、震災から数日後であったとのこと。
寺田寅彦はさすがに科学者だけあって、関東大震災のことを書いた文章に於いても、他の文学者と比べて目の付け所が変わっていて面白い。
たとえばこんなところ。
朝鮮人に関わるデマについてはこんな風に書いている。
竹久夢二が震災後の東京をスケッチし、文章を添えた「東京災難画信」の中にはこんな記事がある。
「君の顔はどうも日本人じゃあないよ」という言葉はなかなか怖い。
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芥川龍之介がデマについて書いた文章。
菊池寛の、デマを歯牙にもかけないきっぱりとした感じは気持ちが良いが、
芥川の「善良な市民」に関する言葉には何かもやもやとした、はっきりしない雰囲気がある。単なる皮肉とも読めないような(もちろん皮肉ではあるのだけれど)、妙な屈折があるように感じる。
両国で育ち、震災当時は田端に一家を構えていた芥川にこの震災がどんな影響を与えたのか、というのは、まあ多分たくさんの研究者が色々研究しているのだろうから、ぼくがどうこう言うこともないのだが、なんとなく気になっている。
震災から4年後の1927年に「僕の将来に対する唯ぼんやりした不安」を一応の動機として芥川龍之介は自殺する。