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手癖みたいなもん

人生の数年先輩のお友達が、「それは手癖みたいなもんだよ」と言ってくれて、「手癖か!なら仕方ないな!」と一気に気楽になれた出来事がありました。

そういうものごとって、人それぞれ色々あると思うんです。

そして「私っていつもこういうことしちゃうなぁ」とか、「こういう風に思っちゃう自分が嫌だなぁ」とか、“直したいけど直せない”ようなネガティブなイメージを持ちがち。

具体的に言えば、私は役者として舞台に立ったり、振付師として振付を作ったり、その他いろいろと演劇にまつわる仕事をしているけど、例えばSNSで新しい作品の情報が公開された時、こう思うんです。

「私は呼ばれなかった」

それは、“悔しい”よりも前にやってきます。

ちゃんと考えれば、自分が望む方向とは違うところにある作品や団体だったり、そもそもスケジュール的に厳しかったり、必ずしも“悔しい”わけではなかったりもします。(実際そういうことの方が多い。)

それでもまずは、“自分は選ばれなかった”という事実にショックを受ける。

頭と心の不一致に戸惑います。

そんな話を先述の先輩(同業)としていたら、さらっと仰ったんです。

「それはもう、手癖みたいなもんやからな〜」

手癖って表現がまた秀逸で、「うわ!それなら仕方ないわ!」と思える絶妙な感じに、一気に肩の力が抜けました。

本当そうだよなぁ、これだけオーディションやらオファーやら、たくさんの中から選ばれる世界に身を置いてたら、そりゃ瞬発的に「くっ…!」となるよなぁ。

むかしむかし、年に一回しかないとあるオーディションに合格するためだけに生きていたような若かりし頃、不合格通知が届いた瞬間に「よし、また来年!」と切り替えたつもりだったけど、実際にはなかなかパワーが出なかった。

悔しい気持ちに嘘をついて平気なふりをしても、身体は正直でした。

そういう経験を大なり小なり数えきれないくらいしてきてるけど、全然慣れないし、気持ちに嘘をつくくらいなら、素直にその反応を受け止めたい。

というわけで、今でもそういう出来事があるたび一瞬は「くっ…!」となるけど、すぐに「また手癖出たわ。」と、なんならちょっとにやっとして、その先輩のことを思い出せる機会になりました。

ちなみにこの手癖、今では自分の望みを知るためのきっかけとして重宝しています。

それは本当にやりたかったことなのか?本当にやりたいことは何なのか?それを叶えるためにどんな工夫や努力が必要か?を考える。

私の手癖は“ありがたいもの”に成り上がりました。笑

大小さまざまな「悔しい!」をエネルギーにして、これからもどんどん伸びて行きたいです。

自分らしく、自分のペースで、自分の望む方向へ𓈒𓂂𓏸‪𓂃✈️

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小野村優【小野村さんの書き物】
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