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ドキュメンタリー『リンダ・ロンシュタット サウンド・オブ・マイ・ヴォイス』

ロブ・エプスタイン&ジェフリー・フリードマン『リンダ・ロンシュタット サウンド・オブ・マイ・ヴォイス』(2019、アメリカ 、93分)

Linda Ronstadtのドキュメンタリー。

素直に真っ直ぐ胸に響いてくる歌声。

本格的に活動を始めると、すぐに注目されたらしい。
そりゃそうだろうな、と誰もが納得するはず。


今まであまり聴いてこなかったことを後悔さえしている。

1970年代、ヒット曲を連発し、アリーナ・ツアーを繰り返す。
そのような活動をもし継続していたら、きっと洋楽を聴き始めた頃の自分にも届いていたはず。

ただ、聡明であり自分自身のことをよく知る彼女は、成功よりも、自分が歌いたい曲を歌うことを優先した。


憧れだったフランク・シナトラのようなジャズ・ヴォーカルを吹き込み、出自であるメキシコ音楽に真正面から取り組み、さらには母が好きだったというオペラにまで挑む。

鮮やかなソプラノを見事に響かせるのには驚かされた。

「何でも歌える」と歌手を評するときに言われることはあれど、ここまでとは。



盟友ボニー・レイット、ライ・クーダー、エミルー・ハリス、ドリー・パートンなどなど、著名な音楽家たちも次々出てくるが、みな絶賛に近い発言ばかりで、広く深く愛されているのがよく分かる。



生い立ちからして、音楽に囲まれている。

両親、兄、姉、そして祖父母に至るまで、プロではなかったにせよ、情熱を持って音楽活動に取り組んでいた人ばかり。

リンダ自身は作曲はしないが、曲を見つけ、そこに命を吹き込む才能はかなり早い段階から発揮されていた。



今作が制作されたのは数年前、本人は語りと、最後に少し歌う場面も出てくるが、健康そうで何より。

病気のため、しばらく前に活動からは身を引いている。



あの素晴らしい歌声で、数々の録音が残されている。

しかも私は、その多くをまだ聴いたこともない。

しばらくはリンダだけ聴いていたい、そんなことすら思っている。



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