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#きゅうかいのおばけ 非公式プレイリスト

「熊谷悠一アワー」では11/24放送回のゲストに今井楓さん(メディアディレクター / 渋谷のラジオ「BOOK READING CLUB」パーソナリティ)をお迎えして、初となるエッセイ集『九階のオバケとラジオと文学 / Ghost in the ninth-floor, radio, and literature.』を特集しました。
そのときは私が本から着想を得て自由な解釈で選曲しましたが、候補曲は他にもあって、せっかくなので一つのプレイリストにまとめてみました(放送時に紹介した楽曲は下記の3、7、8、15曲目)。
本に登場する楽曲ではなく、あくまでインスピレーションをもらって思いつくまま選出したものです。突拍子もない選び方かもしれませんが、一ファンが思い込みで作った非公式プレイリストとして、よければお楽しみください。

映画の世界では、本編で使われているわけではないけれど、この曲が似合うよね、イメージに合うよねと編まれた「インスパイア・アルバム」なるものがあります。
ここでは著作に刺激されて組んだプレイリストとして、英語題と絡めて
Inspired by “Ghost in the ninth-floor, radio, and literature.”
と名付けました。要するに『九階のオバケとラジオと文学』のファンアートならぬファンプレイリストです。同時に、11/24 熊谷悠一アワーNo.346 のプレイリスト完全版でもあります。


【Tracklist】

  1. Laura Nyro “Sweet Blindness”『Eli and the Thirteenth Confession』(1968)

  2. Jellyfish “The Ghost At Number One”『Spilt Milk』(1993)

  3. The Beach Boys "Cabinessence”『20/20』(1969)

  4. Bill Monroe and His Bluegrass Boys “Blue Moon of Kentucky”(1947)『The Essential Bill Monroe (1945-1949)』(1992)

  5. Elvis Presley “Blue Moon of Kentucky” (1954)『A Boy From Tupelo: The Complete 1953-1955 Recordings』(2017)

  6. Courtney Marie Andrews “May Your Kindness Remain”『May Your Kindness Remain』(2018)

  7. John Prine “Speed of the Sound of Loneliness”『German Afternoons』(1986)

  8. Phoebe Bridgers “Funeral”『Stranger in the Alps』(2017)

  9. Phoebe Bridgers “Motion Sickness”『Stranger in the Alps』(2017)

  10. June Tabor “I Want to Vanish”『Against the Streams』(1994)

  11. Bob Dylan “Just Like a Woman”『Blonde On Blonde』(1966)

  12. Nina Simone “Little Girl Blue”『Little Girl Blue』(1958)

  13. Hania Rani “Dancing with Ghosts”『Ghosts』(2023)

  14. Hania Rani “Ghosts - from Pradziady”『Music for Film and Theatre』(2021)

  15. Nitin Sawhney “Sunset”『OneZero: Past, Present, Future Unplugged』(2013)

  16. Eric Dolphy “Miss Ann”『Last Date』(1964)



選曲理由:

明るく弾ける1.は著者の一側面を表しているかなと、イメージで。ローラ・ニーロも早熟で、このアルバムを出した頃はまだ21歳ほど。

英語題の“Ghost”から探した曲は複数あって、最初に思いついたのが2.。売れた音楽家への皮肉と取れる歌詞が、今回の主旨と少し違うと思い惜しくも却下。

大胆に場面が展開していく3.は構成力と発想に共通項を見出して。リクエストも込みで。

4.と5.は同じ曲でも全く違う歌い方で、聴き比べる予定だった。もちろん元曲の4.も素晴らしいけど、5.エルヴィスの躍動する歌は聴くたびにアスリートのしなやかなバネを思い起こさせる。

6.はウンウン悩んで最後の最後に思い当たった曲。「もしお金が尽きても 美しさが衰えていっても あなたの優しさは残るだろう その優しさは消えないだろう」という繰り返しが胸に沁みる。

本書の鍵となるであろう「寂しさ」という言葉から自然と思い浮かんだ7.。孤独や寂しさをこのように表現した人はかつていなかった。

8.はジャケットがオバケだったことから。儚げで寂しげな歌声はこの人独自のもの。このアルバムで一番好きな9.も追加。

10.詩的でやや難解な歌詞だが、これも「寂しさ」に繋がる曲。エルヴィス・コステロ作、素晴らしい歌い手のジューン・テイバーによるカヴァー。

11.は数多あるディランの中でも屈指の名曲で、「彼女は大人の女性のように振る舞い、愛を交わし、苦しむ。けれど、まるで小さな女の子のように泣き崩れてしまう」という歌詞を贈りたいと思った。

12.その“Little Girl”に関連して、ニナ・シモーンが取り上げたものを。こちらも「寂しさ」や「悲しさ」に通じる歌唱で、イントロのピアノから引き込まれてしまう。

13.14.は再び“Ghost”に戻って、ポーランドの作曲家/ピアニストのハニャ・ラニがテーマ的に作っていたものから。タイトルが重なるだけだと少し捻りがないかな?と採用しなかったけど、雰囲気はそこまでかけ離れていないと思う。

15.は最終章で引用されていた『星の王子さま』の夕陽が沈む場面から連想して。

16.は演奏も良いけど、最後に喋りがあって、”When you hear music after it’s over, it’s gone in the air, you can never capture it again. (音楽は終わってしまえば消えてしまい、二度ととらえることはできない)”という言葉はまさに作中の「オバケ」に通じるなと思い、そのセリフ部分だけ放送に乗せようと準備していた。



今井楓『九階のオバケとラジオと文学』(2024、よはく舎)


11/24「熊谷悠一アワー」(渋谷のラジオ) No.346 アーカイヴ
楽曲は省いてありますが、トークは本放送で乗せられなかった部分を多く含む「ほぼノーカット版」です。


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