山村浩二アニメーション2本
以前から気になっていたアニメーション作家の短編を2つ観てみた。
まず『カフカ 田舎医者』は題名通り、フランツ・カフカの小説を映像化したもの。
原作は読んだはずだが、こんな話だったか?と困惑するぐらい整合性の取れない展開。
たまに見てしまう悪い夢で、逃げようとしているのに足が重く緩慢にしか動けない種類のものがあるが、それに近い焦燥感だ。
魚眼レンズで覗いているように、形状はひしゃげていく。
さらには誇張された遠近法のような、自在に伸縮する身体で動きを表現する。
降りしきる雪の美しさと、書き込んだ線を意図的に露わにした人物像、強い光彩と、独自の表現が溢れている。
別の作品も観てみようと、YouTubeにあったので『年をとった鰐』を。
こちらも原作があり、レオポルド・ショヴォーというフランスの児童文学者によるもの。
語りが日本語、英語とそれぞれあるが、両方ともピーター・バラカン氏が吹き込んでいる。
子ども向けに優しく書き直す前の童話といった趣で、受けとめようによっては残酷に見えるところも。
抑えがたい衝動に駆られる哀しみがある。
黒く塗りつぶしたキャラクターたちや、川など敢えて簡素化した背景が特徴。
山村浩二監督は、今月27日からの新作公開が迫っており、観に行きたいと思っている。