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MEXCBT活用募集を考えている教育委員会・学校関係者必見? MEXCBT/学習eポータルなんでもQ&A(非公式)

憧れの人物は岩合光昭さん(あんな風にネコと仲良くなりたい)です。
町で野良猫に会ったら、岩合さんのように「いい子だね~」と呼びかけをしています。傍から見たら気持ち悪いおじさんです。岩合さんの優しい声だから成立する世界なのに。

今回はかなり長くなりそうなので、くだらない前書きはやめにして本題を(過去一番くだらなかったですが、、)。

先日11/6の夜に「MEXCBT/学習eポータルなんでも質問会」なるものを開催しました。
前日夜の周知で、かつFacebookで書きこんだだけだったのですが、学校教育×デジタルの最前線で活躍される方が40名集まる会になりました。1次会中締め(その時点で日付変更間近(苦笑))でスクショした感じだとこんなメンバです(画面に入り切っていない方も多数)。

スクショ

所属も教育委員会、学校、業界団体、事業者もサービス提供事業者、コンサルティング、教科書会社など、多種多様の会になりました。
あとは国関係者がいればコンプリートだったかも(あ、自分がパートタイムの国家公務員でした)。

この会では、11/1のMEXCBT/学習eポータル説明会ではなかなか理解しきれなかった方も多いと考え、自称事情通の私が個人的に「MEXCBT/学習eポータルについてなんでも質問できる場をつくろう」と考えて企画したものです。
あくまで個人で開催していますので、自分が所属するNTT Comやデジタル庁の立場で行ったものではないことは、予めご理解いただき、あくまで色々と裏事情を知っているつもりの個人の回答と捉えていただけたらと。

そのうえで、約2時間40分に及ぶ質問会ならぬ議論をこの場で公開することで、今、文部科学省 CBT システム(MEXCBT:メクビット)の活用募集に関し、悩まれている教育委員会・学校関係者を主とした方々に、情報を届けることを目的として開催させていただきました。

以下にて、質問・議論の模様を要約・構造化し、Q&A形式でまとめています。2時間40分の濃密な議論をさらに凝縮し、20分で読めるものにしていますので、是非、長文ですが一読いただけたらと思っています。

それでは行ってみますー。

MEXCBTや学習eポータルの構想はなぜ必要なのか?

QA形式で進めます。グレー網掛けの質問で、続くテキストが私なりの回答です。

なぜ学習eポータル構想を国として推進されているのでしょうか。

初っ端からひと言で回答するのがとても難しい質問ですね...。
学習eポータル構想の目的は、大きく3点あると考えています。

①教育・学習データを利活用しやすいようにする
自治体・事業者ごとにバラバラになっているデータの項目・形式を揃え=標準化し、自治体や事業者が違っていても相互に流通できるようにするためです。それにより、複数のアプリを使っていても統合的にデータの分析や可視化が可能となってきます。
結果、Aのドリルの回答状況からその子に適切なBの問題を推薦するような事業者を越えたアダプティブラーニングや、Cの授業支援とDのコミュニケーション機能の利用状況を分析し孤立傾向の生徒を見つけていじめや不登校の兆しを発見する、自治体全体の学習傾向から地域での学習課題をデータから発見する、などのこと=データ駆動型教育が可能になってくることが期待されています。

②システムへの重複投資を抑制し、コスト低減と利便性を高める
利用者のログイン認証や、利用者属性情報(名前や所属学校・クラスなど)の管理、時間割のようなカリキュラム管理、学習状況の可視化、利用者間のコミュニケーションなど、各学習コンテンツ・ツール提供事業者が、それぞれ独自で提供し、重複している機能があります。それを国際標準規格に則って統合できる仕組みとすることで、重複している機能の開発コスト削減が期待されます。また、複数の提供事業者の学習コンテンツ・ツールを一体的に利用できるようになり、利便性が向上することを目指しています。

③新規事業者参入による市場活性化/ベンダーロックインの打破
②の共通機能が提供されることで「なんでも入っているオールインワン」ではなく「●●に特化した超すごいサービス」を、学校が選択・利用しやすくなります。それにより、会社規模は小さいが教材の中身がとても優れているサービスが流行る、「Eの部分は最高だけどFはいらない」のようなサービスでEだけ購入・利用する、などがしやすくなります。結果、事業者は自分の得意分野のみに特化して参入することが可能になり、価値の高いサービスが増えることが期待されています。また、純粋にサービスの価値で購入選択がしやすくなることでベンダーロックインが困難になり、トータルコストの低減にも寄与することが期待されています。

MEXCBTや学習eポータル、データの標準化などがどうして必要なのか?

※以下は私が回答した方法とは違うのですが、その方の比喩が分かりやすかったので、自分なりに解釈して改めて書いてみました。

日本の学校ICT市場は、各サービス・製品の提供方式・範囲が様々な形で乱立しており、かつそれぞれのルールが統一できていない状態になっています。都市計画や区画整理ができていない町に似ていて、「町に1つだけあれば良い機能」がそれぞれのお店ごとにあって重複・無駄があったり、斜めに走る道がたくさんあるので建物が効率的に建てられていなかったり、交通ルールが区画によって違ったりしているような混沌とした状況です。それが結果として、市民=学校教育に関わる人の便益を損ない、費用も下がらない原因になっています。
今回のMEXCBTは、学校教育のデジタル町において、1つあれば良いかもしれない「公的テストセンター」を建てるような話です。同時に町の入口とデータの蓄積場所=学習eポータルをまずは設置し、そのなかでのルールの統一=データの標準化をしようとしています。
商売の競争は継続しつつも、お互い競争しなくて良いものは共通化し、ルールが統一化するので区画の往来も可能になって町の繁栄が期待できる。
実現に時間がかかる話かもしれませんが、GIGAスクールで1人1台環境になった今こそ、先を見越した整理をしておく必要があると考え、この施策が進んでいるのだと理解しています。

新市街の都市開発・区画整理をしていくことが必要というのも分かるが、学校現場はそんな先を見る余裕がないのではないか。必要な施策だと思えるが、全員がそういう思考で動けるわけではないのでは。

仰る通り、今の学校現場では将来の都市開発より、目の前の課題を解決しないといけないのなのだと、私も感じています。
そのため、将来のデータ駆動型教育実現に向けた準備をしつつ、児童生徒や先生、保護者にとって直近で便益があるサービスも提供していくことで、都市開発・区画整理を並行で実現するのでは、と考えています。
学習eポータルが民間の競争領域になっていることもその要因の1つで、各社が競争することは結果として自分が選択されるために、直近での便益での競争になるのでは、と期待されています。

教育・学習データはどこに蓄積される?誰のもの?誰が管理する?個人情報の対象法令は?

MEXCBTや学習eポータルによって蓄積されるデータはどこにあるのか?またそれは誰が管理することになるのか?

学習データが蓄積される仕組み=Learnig Record Store(LRS)があり、そこに蓄積されます。今回の4社はLRSを学習eポータルとセットで提供する予定ですが、「学習eポータル 標準モデル」では、LRSは学習eポータル本体とは別で設置することも可能としています。

文部科学省さんが公表している図に上書きするとこんな感じ。

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学習データが誰のものなのか、については大原則は「学習者のもの」です。厳密には、日本の法令ではデータは無体物であり(民法85条)、所有権が存在しません。「学習者のもの」というのは、学習データの利用権=データを利用、管理、開示、譲渡(利用許諾を含む。)又は処分することのほか、データに係る一切の権限(経済産業省「データの利用権限に関する契約ガイドライン 」)が、学習者にあることを意味しています。
また、その学習データが蓄積されるLRSでのデータ管理は誰が行うのか、については、学習者またはその代理たる保護者から委任された学校設置者=教育委員会、または学校法人が行うことになります。
誤解されがちですが、蓄積されたデータは学習eポータル事業者が手前勝手に取り扱えるものではなく、あくまで利用者がデータの管理主体になります。

データはどこにあるのか?学習eポータルに集まるのか。また、各学習コンテンツや教材にデータは残らないのか。

前項と同じ回答になりますが、学習データが蓄積される仕組み=Learnig Record Store(LRS)があり、標準化のルールに則ったデータはそのLRSに蓄積されます。
LRSにデータが蓄積されるといっても、各学習コンテンツから送信されるものなので、当然ながら各学習コンテンツ側でもデータを残すことが可能です。
学習eポータルの仕組みでは、IMSという団体が策定しているLTIという国際標準仕様が採用されています。LTIの仕組みでは、学習コンテンツ・ツール事業者が個人情報を保持せずにコンテンツ提供も可能だったりします。個人情報の管理は大変なので、それを望む事業者もいらっしゃるのでは(特に小規模の事業者などは)、と。
その意味で、学習データについても個人情報を含む可能性が高いため、LRSに蓄積させて自分では保持せず、セキュリティリスクを回避する事業者も出てくる可能性があります。

標準化されて貯まったデータは学習eポータルのものではない、という理解で合っているか?どういう整理になりそう、またはなっているのか。

学習eポータル事業者のものではなく、前々項の通り、学習データは学校設置者=教育委員会や学校法人が管理することになります。学習eポータル事業者が不同意で勝手に扱うことはできず、また当然ながら一人占めするようなことができるものではありません。

個人情報の法令はどのように影響するのか?

前々項でも回答していますが、標準化されたデータは学習データが蓄積される仕組み=Learnig Record Store(LRS)に蓄積されます。そのLRSのデータは学校設置者=教育委員会や学校法人が管理していくことになるため、教育委員会であれば各自治体の個人情報保護条例、学校法人であれば個人情報保護法の管轄になります。
ちなみに各自治体の個人情報保護条例では「オンライン結合禁止」の条項により、クラウドサービスなどの利用が困難なケースがあったかと思いますが、令和4年の個人情報保護法の一部改正に合わせ、地方自治体向けのガイドライン等にて「オンライン結合禁止」は撤廃される方針になっています。
書いていて良かった「【自治体の首長や議員に知ってほしい】 GIGAスクールとかやっても個人情報保護条例の壁で台無しになる?」。

学習eポータルは無料なの?有料なの?MEXCBT利用には必須なの?

令和3年度は無償かと思いますが、令和4年度以降にMEXCBT利用をするとなると有償なのでしょうか。

11/1にプレゼンを行った4社は「基本機能は無料」のフリーミアムモデルでビジネスを行っているため、基本的には令和4年度以降もMEXCBTのみ利用する場合は無償となるはずです。
今後、学習eポータルは「学習eポータル 標準モデル」に準拠するなどでさらに増える可能性があり、今の制度だとMEXCBTへの接続を有料にする商売方法のサービスは出てくる可能性はあります。また、今回の4社についてもMEXCBTとの接続以外において、追加の学習コンテンツや、場合によってはオプションサービスなどでの課金が行われると想定されます。

eポータル、MEXCBTの利用は無償と考えて良いでしょうか?本日の発信では「しばらくは無料」というような表現だったように感じていまして、特にeポータルは事業者ごとに競争性があるということであれば、今後どこかで有料ということになるように思いました。有料となると、自治体、学校がなかなか利用し続けられないように思っています。

前項の回答と被りますが、11/1にプレゼンを行った4社は「基本機能は無料」のフリーミアムモデルでビジネスを行っているため、基本的には令和4年度以降もMEXCBTのみ利用する場合は無償となるはずです。
この辺りの「学習eポータルのエコシステム=ビジネスモデルはこれでないとダメ」というのは今まさに議論中の状況で、急ぎ決めていく必要があると感じています。私も事業者・国の両面の立場で急ぐよう頑張ります。

自治体によって採用クラウドサービスが異なると思いますが、クラウド間の接続や費用についてはどのような方針になるでしょうか。クラウドの囲い込みに翻弄されなければいいなと思っております。

採用クラウドサービスというのはどの辺りの意味でしょうか。
学習eポータルやMEXCBTは、パブリッククラウドサービスなのでインターネット上で提供されます。そのため、インターネットへのアクセスがあればどこからでも利用可能で、特段クラウドサービスなどを経由する必要はないため、懸念されているような事象は発生しません。(質問の理解が間違っていたらすみません...。)

学習eポータルを通さずMEXCBTは利用できないのでしょうか?

利用できません。MEXCBTを利用するためには、必ず学習eポータル経由となります。
厳密にはMEXCBTへの問題掲載などは、MEXCBTの問題管理の仕組みを利用して行うため、その点は学習eポータル経由ではありませんが、通常のMEXCBTによるテストを行う部分は全て学習eポータル経由になります。

学習eポータルは乗り換えられるのか?IDやデータが引き継げるのか?

途中で他社の学習eポータルに切替できるのでしょうか。
切替できる場合は他社ポータルに自治体の学習ログは持っていけるのでしょうか。

少なくとも令和3年度事業のなかでは、学習eポータルの切り替えは想定されていません
また、現時点では学習eポータル間のデータの受け渡しはルールとしての議論が始まっていないのが実態です。
ただ、今後間違いなく質問いただいている内容は必要で、ルール=技術仕様と運用方法の規定が必要になると想定しています。(個人的には絶対にやらないといけないことだと思っています)
急ぎやらねば、です。これも事業者・国の両面の立場で私も急ぐよう頑張ります。

初めに申し込みした学習eポータルを他社の学習eポータルに乗り換えはできますか?乗り換えできる場合は、一度作成したアカウントはそのまま引き継げる認識でよかったでしょうか。

これも前項と同じ回答です。学習ログだけでなく、当然アカウントもですよね。引継ぎはルールとしての議論が始まりつつある、というのが実態です。
ただ、今後間違いなく質問いただいている内容は必要で、ルール=技術仕様と運用方法の規定が必要になる部分で、(個人的には絶対にやらないといけないことだと思っています。急ぎます。

学習eポータルの内容によって、大きな差異が出てくることがありえそうです。一方で学習eポータルの乗り換えが想定されていないとすると、怖くて選べないような状況になってくるのではないか。

これも角度が違いますが、結果として乗り換え議論になってくるのでは、と。
学習eポータルによって提供される機能や価値は、その違いで競争することとなるため、当然ながら差異が出てきます。
一方で、価値が高いものに乗り換えられる仕組みがないと選択がし辛い、というのは仰る通りなので、早々にアカウント情報の引継ぎやデータの受け渡しのルールの検討・策定が必要です。急ぎます。

IDは進学や引越しでも引き継げるようになるのか。データは引き継げるのか。

これも同様ですね。検討を急ぎます。
ちなみにIDについては、ログイン時に利用する「ログインID」と裏でシステムが個人を識別するための「システム用のID」が存在します。
MEXCBTでは人が記憶することが想定されていない16桁の乱数によるグローバルユニーク(全世界で重なりがない一意)な「システム用のID」が付与されます。たとえ学習eポータルが変わってログインIDが変わっても「システム用のID」を引き継ぐことで、その人であることを別システムに引き継げるような仕組みとしています。
その仕組みをどのように運用するのか、のルールが今後策定されてくる見込みです。合わせて、データの引継ぎについても議論し策定されていく見込みです。

学習者のIDのこと。ユニークなIDは付与できるのか?

MEXCBTは個人情報は持たないとのことですが、UUIDなど個人を特定する識別番号のような持つという認識で合ってますでしょうか。学習eポータル標準モデルの資料(xAPI部分?)にもそのような記載がされていたので、確認したいと思っております。

標準モデルを読み込んでいらっしゃるのはすごいですね。
仰る通り、MEXCBTでの個人識別はUUIDという規格を使い、人が見ても意味不明な16桁の個人識別子で管理されます。UUIDは技術的に、誰が発行しても必ずグローバルユニーク(全世界で重なりがない一意)なIDになる仕組みです。それを前項で回答している裏側で管理する「システム用のID」として利用することとしています。
基本的には学習eポータル側でも同様になるため、今後、他の学習コンテンツなどが利用できる場合も、UUIDによって名寄せが可能で、データの分析や流通がしやすくなります。

校務支援システムなどもあり、IDのライフサイクルを考えると学習eポータルがID発行者(IdP)にならないといけない、というのは少し違うように感じる。

なかなか専門的な質問ですね。
仰る通り、学習eポータルでIDを付与するまえに、学校教育のなかでは別の機会で個人を識別するIDが付与されるはずです。具体的には、住民基本台帳経由の学齢簿が根元のデータとなり、校務支援システムに引き渡され、さらにそれが学習eポータルに引き継がれることを想定されています。
実は既に校務支援システムの利用者属性情報(名簿情報)の受け渡しについては、IMSという団体が策定しているOne Roasterという国際規格の日本版を検討中で、その仕様に基づき、校務→学習eポータルと連携が検討されています。

校務支援システムと学習eポータルの名簿情報の連携について、根元にあるのは校務支援システム、さらに元に学齢簿や住基があるのでは。IDについてはそちらからの整理が必要では。

前項と同じ観点の質問ですね。
仰る通りで、現在、文部科学省でも学齢簿の標準化などの検討も並行で進んでいます。そこも見極めながら、でも早期に決めていく必要がありそうです。頑張ります。
学習者IDがいつ生成されいつまで使われるのか、IDのライフサイクルの整理が必要だと感じています。ただ前項の回答の通り、学習eポータルの手前である校務支援システムとは、利用者属性情報(名簿情報)については、One Roasterという国際規格の日本版を検討中で、その仕様に基づき、校務→学習eポータルと連携が検討されています。

マイナンバー、またはマイナンバーカードの利用は想定されているのか?

現時点では想定されていません。ただ、今後、そういった連携が可能になるよう拡張性を意識して仕様策定がされています。その辺りの可能性も考慮し、グローバルユニークとなるUUIDが設定されている面もあります。

データを分析する時間は学校現場にはない。やりたいとも思っていないのでは?

教育委員会や学校の先生が、データ活用をやろうとはなっていないのでは。その意識もない状態で、データ活用と号令があがっても機能しないのでは?

手厳しい、というより至極真っ当な現実的な意見・質問。仰る通り、現時点では「データ活用をやろう」という先生はごく少数で、その余裕がないというのは同じ認識です。
一方で、データが連携することによって、システム間での転記が不要になることや自動で集計されて必要な人に共有されるなど、先生方の稼働削減に寄与できることもあります。また「データを活用しよう」と意気込む必要なく、学習データから子供たちの見取りを支援してくれるなど、自然とデータ分析等の価値が届くサービスにしていくことで、データを活用した教育・学びを実感することができるようになりえると考えています。
そうなるよう頑張ります。もし「少しは付き合ってやるか」という方がいれば、将来を見据え、一緒に歩んでもらえると嬉しいです。

教員がデータを分析する時間はないのではないか。または子供に意味あるデータを返せるのか?

これまた同様の意見・質問。
教員自身がデータを分析する時間がない、というのは仰る通りですよね。私の妻も教員なので、良く分かっているつもりです。
そのため、蓄積されたデータをもとに子供の状態を予測してお知らせすることや、自分なりの学び方の探索をアシストするなど、「分析」そのものをシステム側が行い、支援していく在り方などが必要だと考えています。
私たちも模索しながら頑張ってみます。

データは誰が分析するのか?学習eポータルだけでは難しいのでは?どうすれば価値が高まるのか?

学習eポータルがデータのフィードバックをする、というのは分かるが、限界があるのでは。色んな人たちがデータを活用していくことで、より良い価値が提供されるのでは。

学習eポータル事業者しかデータを扱うことができない状態では、本当の意味でのデータ駆動型教育の実現は難しいというのは同意見です。そうではなく、オープンなプラットフォームにして、データの価値を皆で高める仕組みが必要です。
データは学習eポータル事業者のみが取り扱えるのではなく、各学習コンテンツ事業者や、コンテンツを開発しなくともデータ分析専門の事業者や、AIでデータを開発するベンチャー、当然ながら大学等の研究機関がデータを活用できるような仕組みが想定されています。
データ活用が活発になることで、教育・学習に関わる全ての人にとっての価値が、加速度的に高まってくることを期待した設計になっています(当然、誰がどのデータを扱って良いかの認可や、十分なセキュリティが担保されたうえで)。

学習eポータルにデータが集まってくることで、各学習コンテンツ・ツール事業者は、学習データから付加価値をつくる機能を全て学習eポータルに取られてしまうのではないか?学習コンテンツ・ツールを提供する事業者からするとそれは辛いのでは?

こちらも観点違いますが、同様の質問ですね。この辺りは伝え方不足で誤解を生んでしまっているように思えます。反省。
「データは誰が管理するのか」の項目でも答えていますが、データを管理するのはあくまで学校設置者=教育委員会や学校法人になります。そのため、学習データを学習eポータル事業者が独り占めをするようなことや、恣意的に誰かにしか提供しない、などは起こらないようにしていく想定です(委託契約なのでそうなる)。
前項回答同様に、学習eポータル事業者しかデータを扱うことができない状態では、データ駆動型教育の実現は困難で、オープンなプラットフォームにして、データの価値を皆で高める仕組みを想定しています。

学習eポータルがデータの蓄積や可視化、活用などの全てをやることになるのか?

こちらも同様ですね。やはり伝達がうまくいっていないので反省。
前に出てきた質問でも回答していますが、「学習eポータル 標準モデル」では、学習データが蓄積される仕組み=Learnig Record Store(LRS)は、学習eポータルとセットで提供することも、別で別で設置することも可能としています。ただ、LRS単体でサービス化している例が少ないことから、今回の学習eポータル提供の4社はLRSをセットで提供することとしています。
当然ながら学習データは学習eポータル事業者しか扱えないわけではなく、前述の通り学習コンテンツ事業者やデータ分析の事業者、大学等の研究機関などがデータ分析等を行っていくことが想定されている仕組みです。

データ分析は専門的な人員でないと難しいはず。学校レベルでそういう人員を各々配置するのは困難で、区市町村レベルでも難しい。下手したら都道府県でも。この辺りはどう考えるのか。

仰る通り、データ分析を行うのは高度な専門性=データサイエンティストなどが必要とされます。ただ、必ずしも学校や教育委員会にいないといけないとはならず、蓄積された学習データが専門性の高い人に必要なセキュリティが担保されて提供されることで、分析を行うことが可能です。また、それをデータサイエンティストを有する企業がサービスを通じて提供することも考えられます。
一方で、データの分析には「何が課題か」の問いが最も重要ともされていて、それは学校現場や教育委員会の方々にこそあると考えています。それぞれが専門性を持って分担し、かつ分析やサービスが競争されていくことで、より良い価値が提供されていくことが期待されています。

LRSのデータはAIを扱う企業などが分析し、フィードバックしていくことができるのか?

これも同様ですね...。反省、するだけではなく行動をします。このQ&Aもそのための行動のはず。
この質問は「はい」です。
「学習eポータル 標準モデル」では、学習データが蓄積される仕組み=Learnig Record Store(LRS)にデータが蓄積されます。当然ながら学習データは学習eポータル事業者しか扱えないわけではなく、前述の通り学習コンテンツ事業者やAIを扱ってデータを分析する事業者、大学等の研究機関などがデータ分析等を行っていくことが想定されています。

データ活用は学習eポータル内でAI処理されてリアルタイムで児童生徒に返っていくような仕組みにはならないものでしょうか?

当然、そういう仕組みも各社想定していると思います。AI側のリアルタイム処理はもとより、データの受け渡しがどこまでリアルタイムなのか、などの整理が今後必要になってきます。

英語の発話なども単純な正誤はAIが対応してくれているが、単純な正誤以上のものにしていくのはとても大変だが、それは可能なものか?

データの量と質によって、現状以上の価値が提供できるはずです。
それは当然ながら教育・学習分野以外の市場で前例があり、同様になってきています。そのためには、データの量が集まるプラットフォームが必要で、かつデータが玉石混合とならないよう標準化が必要となり、この施策がその解決策となってくると期待されています。

小学校低学年など、素点が5-10点開きのなかで、その中でAI分析などをするにはその他のデータが相当必要ではないか?

仰る通り、素点のみでAI分析をするにしても限界があります。「学習eポータル 標準モデル」では、細かな学習行動のデータも蓄積できるxAPIという国際標準規格でデータ蓄積されることとなっており、素点以外の学習行動のデータなども蓄積可能で、そういったデータと組み合わせAI等で分析し新しい発見や価値を創出することが想定されています。

MEXCBTや学習eポータルが提供する機能や価値について

MEXCBTを利用して自治体独自の学力調査をしようと思っています。
CSVで学習ログをDLできたりするのでしょうか。
正直、各eポータル各社が提供する可視化画面や結果確認画面にはあまり正直期待はしておらず、集計・分析はこちらで行いたいと思ってます。

MEXCBTそのものは、利用者=自治体・学校にデータを返却する機能は持っていないため、CSVでのダウンロードなども学習eポータル側の機能になってきます。そのため、ローデータをCSV等でダウンロード可能かなどは、各学習eポータルがそのような機能を提供するかどうかになります。

MEXCBTとの連携システム?学習eポータル?にたくさん機能があっても現場の先生はマニュアルを読み込む時間もないでしょうし、各社プレゼンを見た際にMEXCBTを利用して先生が疲弊する姿が目に浮かびました。
まなびポケットはCBTを先行して実施していた(きっとCBTの知見があるはず!)かと思いますが、先生に負担がかからないようなシステム設計になっているのでしょうか。

確かにまなびポケット側では国内唯一で学校向けのCBTをやっているので、酸いも甘いもかなりノウハウ溜まっていますが、、(めちゃくちゃ大変でしたがむちゃくちゃ学びがあり、改善できています) 今回はNTT Com=まなびポケットの立場ではなく、個人なのでまなびポケットのことは言及せずに回答します。
仰る通り、難しいシステムになって先生方が疲弊してしまっては元も子もないです。
学習eポータルを国がやらず、民間領域として競争させるのは、この辺りが一番の理由なのかもと思っています。本当に売れているステキなサービスや製品は、マニュアルなんて読む必要がなく、直観的に使えるものが多いはずです。それはそういう利便性が競争を勝ち抜く要因になっているからなのだと理解しています。
国が学習eポータルを1つ作る、となると果たして良いモノができるのか。私は納税をオンラインでやっていたりしますが、、、その使い勝手の悪さとについてはこのセルを埋め尽くしても全く足りないほどの罵詈雑言が(以下略)。
複数の民間サービスが競争し、そこから選べるということは、まさに先生が疲弊しないようなサービスを生じやすくさせるのでは、と思っています。

MEXCBTで収集されるデータは、UUID化で集計されるはずですが、素点のような表面的なものだけなのでしょうか?また記述問題の表記分析→評価・得点化するための、AIモジュールなどとの連携は想定されているのでしょうか?

UUIDの話が出るので詳しい方ですね。
「学習eポータル 標準モデル」の学習データ蓄積の仕様は、正誤や素点だけでなく、回答日時や設問のIDなどからどの領域の問題かなどを組み合わせて把握できる仕組みです。学習eポータル側ではそれらのデータを活かし、分析結果を表示することなどが期待されています。記述問題のAI等による自動採点などはこれから検討になります。

MEXCBT+eポータルにより、個別最適化した補充課題等が個別に指示・配信できるでしょうか?

MEXCBTだけでなく様々な学習コンテンツが繋がり、学習データが集まってくることで、学習者の状況を多面的に把握できるようになってきます。そうなると、個別最適化した補充課題等が個別に指示・配信できるようになってきます。この辺りのデータをどうやってうまく活用するかも、学習eポータルや接続する学習コンテンツ次第です。そのためデータが集まり、各々がどれぐらい価値を提供できるのかの競争が進むことで、より充実した個別最適な学びが期待できます。

現状の学習eポータルで想定されている機能については正直「物足りない」とか「この内容なら既存の他のシステムを組み合わせた方が色々できる」という声もよく聞こえてきます。また、せっかく標準化に則ってシステムやデータが構築されても、その機能が自治体の中で充分に使われていないという事態があり得そうで(特にAPPLICとかで議論されている標準はすごく良くできているのに、実際には普及と利用率の面で課題があるので)、作る側・使う側双方にとって「ほんとうに定着するんかいな」という不安があると思います。この辺り、国際標準に準拠していることや今後の発展性・可用性などをぜひお話しいただき、前に進もうとしている方達の背中を押していただけると嬉しいです。

仰る通り、現時点では学習ツールがMEXCBTのみのため、学習eポータル側の機能も充実させるのが困難な状態です。
プラットフォームの議論なので、鶏と卵の論争と同様ですが、人が集まることでプラットフォームの機能や価値が充実し、機能や価値が充実すると人が集まる、人が集まると・・・というループ構造によって、結果として価値が高まっていくのだと理解しています。
この手の仕組みは初動をどうやって転がすか、で勝負が決まるとも思っており、どうやって前に進めるのか、なぜこのような仕組みが必要か、どういう価値が提供されるのか、どうするとビジネスになりえるのか、それぞれについては戦略的に対応していかないとうまくいかないと感じています。とりわけ、公教育の世界では国の関わりの影響が大きいので、そこでどう前に進もうとしている方達の背中を押せるか、が重要だと感じています(答えになっておらずすみません)。

地域にある良質なコンテンツなどが、なかなかデジタル化できていない現状がある。全てこれをやれば大丈夫、というよな資本力ある事業者が作るオールインパッケージのようなものが多数を占める状況だと、それらの地域のコンテンツや小さな会社の尖ったコンテンツが日の目を見れず消えて行ってしまう危機感がある。この辺りは学習eポータルなどの標準化などの仕組みで対応策となりえるのか。

「なぜ学習eポータル構想を国として推進されているのでしょうか。」の問いでも答えましたが、従来は各学習コンテンツ・ツールが提供していた共通的な機能を学習eポータルが国際規格に則って提供することが想定されています。そうなると、学習コンテンツ提供事業者は、自社の教材部分等に集中して開発が可能となります。結果、教材づくりは上手いがシステムを開発するのが困難な事業者や、地域のコンテンツなども小さい労力で学習コンテンツを提供することができるようになりえます。
市場を活性化したり、地域のこのままでは埋もれてしまうコンテンツを残らせる手段にもなりえると考えています。

ポータルが統合する機能のうち、カリキュラム設計・スケジューリングなどが想定されているようだが、今の初等中等教育では誰が・いつ・何を学ぶのかがほぼ固定化されている。そのなかでその価値はあるのか?

仰る通り、誰が・いつ・何を学ぶかが決まっていると、カリキュラムを個々人に組み直すようなことは無いと思っています。ただ、同一時間・内容だとしても、この時間はこの教材を使う、というのがトップ画面に出てくるなど、一定の利便性向上はあると想定しています。また、特別支援や不登校などでは、個別支援計画や個別のカリキュラムなどの需要があり、場合によってはその辺りで便益があり、結果として将来の個々の児童生徒が個別に学習計画を策定する世界に繋がる可能性がある、と期待しています。

既に現状では学習eポータルなしで学習コンテンツ・ツールが使われているなかで、現場では「もっとこんなアプリが欲しい」なのではないか。なかなか、全体構想を理解して「じゃあ学習eポータルを」にはなり辛いのでは。

仰る通り、なかなか学習eポータルの良さを想像することなどは難しい面もあると思います。
一方で、今後の全国学調のCBT化も意識し、MEXCBTを活用していくことも重要だと感じています。また、学習eポータルについても各社競争のなかで、無償提供している機能や学習コンテンツなどもあり、まずは実証参加によって価値を体験してもらえたらと思っています。

みんな気になるデジタル教科書のこと

デジタル教科書がeポータルと接続しても国庫負担にはデジタル教科書はならないのでしょうか。
この質問会で質問する内容ではないかもしれませんが、デジタル教科書と学習eポータルが接続しても国としての支援がない(要するにデジタル教科書の購入費は自治体負担のまま)のであれば、全くデジタル教科書とeポータルが接続する意味もないのではと思ってしまいます。

学習eポータルが提供されることと、デジタル教科書が国庫負担になること=無償供与になることは、直接的な関係はありません。
一方で、審議会やそれ以外の場でも、無償供与に向けた議論は継続して行われています。
既に令和4年度事業では、デジタル教科書と学習eポータルとの連携は実証として範囲に入っています。
無償供与でなかったとしても、学習eポータルと接続することで、各デジタル教科書のアカウント管理が容易になることや、学習データの統合的な管理など利便性が高まることは期待できます。
今後、もし無償供与となっていくのだとしても、利用者のログイン認証や利用者属性情報管理、その他機能が共通化される学習eポータルがありそれが利用できると、デジタル教科書の提供コストを抑制する一因になります。結果として無償供与の可能性が高まる・早まることにもつながるのだと理解しています。

デジタル教科書は各社動くようになるのか?

気になる部分ですよね。
デジタル教科書と学習eポータルとの連携仕様は当然射程に入っており、これから策定されることになります。令和4年度事業では学習者用デジタル教科書との連携についての実証が予定されており、今後は各社対応していくことになると想定されています。また、それは学習eポータルごとに差異が出ることなく、どの学習eポータルでもどのデジタル教科書が連携するような仕組みになってくるはずです。

デジタル教科書については、生徒や教員の利便性のためにも、各社で共通化した方がいい部分は最初から共通化に向かってくれることを願っています。デジタル教科書のプラットフォーム争いのようなことが起こらないように。

なかなか厳しいご意見を。でも利用者の立場としては完全同意です。
一定の競争は必要だと思いますが、共通化した方が利用者の利便性が高まり、コストが下がる部分は共通化するべきだと考えています。学習eポータルの発想は、まさにこの意見の答えになる仕組みだと感じています。

デジタル教科書については、教科書改訂のタイミングでないと大きなシステム改修はできないのではないか。タイミングの制限がありそう。

教科書改訂のタイミングが、システム全体を見直ししやすいため、そのような制約はあると思います。一方で、教科書出版社がシステムのどこまでを提供するのか、の区分も今後議論になってくる可能性があり、提供範囲次第では制約が厳しくなくなる可能性もあります。

MEXCBTのテスト結果の取り扱い。評価のこと。

学習eポータル内で実施したテストは、評価に含めても良いのでしょうか?

MEXCBTや学習eポータルはあくまでシステムですので、その内容を評価に含める/含めないを判別するものではないです。原則は各学校での判断になります。
全国学調のように制度的に成績=評価として利用することがそもそも想定されな施策もあり、それがMEXCBTを通じて実施される可能性はあります。

MEXCBTはサマティブ(総括的評価)に使うのか、フォーマティブ(形成的評価)に使うのか、どちらになってくるのか?

MEXCBTを考えるうえで、本件は日々議論になっているようです。全国学調の話がでているのでサマティブ(総括的評価)な活用のみに見られがちですが、必ずしもそうではなく、フォーマティブ(形成的評価)な活用も視野に検討・開発が進められています。

フォーマティブ(総括的評価)となると、単元テストのような日々のテストも含めるのか?その場合、事業者のテストがMEXCBTに掲載されるようなことはありえるのか。そうなるとMEXCBTと民間が作るテストが競合するのではないか。

前項回答の通り、日々のテストでの活用も想定されています。
事業者のテストがMEXCBTに掲載されるか、については現時点では想定はされていません。
区分けとしては、MEXCBTが取り扱うテストは「公的機関や教職員が作成した問題」となり、事業者の問題等は事業者自身がCBTシステムを提供していくことを想定しています。民業との棲み分けが意識されているのだと思います。

MEXCBTのテスト制作・評価には国立教育政策研究所が入っているのか?また学習eポータルでのテスト評価には国立教育政策研究所が入っているのか?

MEXCBTで提供される、国が提供する問題については、国立教育政策研究所が作問や評価に関わるものがあります。
学習eポータルでどのようにテスト結果がフィードバックされるかについては、学習eポータル事業者に任されています。ただ、国が行うテストなどでは評価の観点などを示す場合などもあり、そういった場合はどのように結果をフィードバックしていくのかなどは、今後検討の理解です。

文部科学省が進めている指導用要コードのこと。学びの地図に繋がるか?

指導要領のコードが、電子教科書・MEXCBT内の評価テストの各設問にリンクしているでしょうか?また、それをCBT設問作成時に出題者が設計できる仕様になっているでしょうか?

MEXCBTでは、学習指導要領コードと紐づけ、学習データとして記録・返却する機能を具備していくことなります。教科書を始めとした学習コンテンツにおいても同様の対応ができるよう検討されています。また、CBT設問作成者がその設定ができるようになることを想定し、開発を進めています。

指導用要領コードが全ての学習コンテンツ・ツールに振られていくことで、先生の指導漏れや生徒が何を学習したのか、などが見えてくるのではないか。ここを急ぎ対応する必要があるのでは?

文部科学省側で指導要領コードの策定が行われており、MEXCBTでも提供するテストに対し、コードを付与することが想定されています。また、各学習コンテンツに対しても、コード付与が可能となるよな仕組みを検討しています。ここも急がないとですね。急ぐことが多い汗

各教材・問題と、今の学習指導要領のコードを一意に振るのは現実的ではないのではないか。

各問題に対し、1つのみの学習指導要領コードしか付与できないとはなっておらず、各問題に複数のコード付与されるこtが想定されています。

学習指導要領コードなどの活用で、海外で知識習得=コンテンツベースではなく、コンピテンシーベースでの活用などはあるのか?

「学習eポータル 標準モデル」では、細かな学習行動のデータも蓄積できるxAPIという国際標準規格でデータ蓄積されることとなっています。学習行動のデータなども蓄積可能なため、コンピテンシーの測定なども想定されてきます。
この辺りは世界的にもあまり例がなく、世界的にデジタル化は2周遅れと言われていた状況を、GIGAスクール以降で一気に先頭に立とうという心意気なのだと理解しています。

Google Workspaceとの棲み分け、校務支援システムとの連携、ネットワーク負荷のことなど

現在Google Workspace for Educationを活用しています。これらのサービスと競合していくものなのか、併用していくのか、それとも一体化する予定があるのか知りたいです。

しばらくは「併用」が実態だと想定されます。
学習eポータルによっては、一部機能が被る可能性がありますが、完全に競合するわけでもなく補完し合い供用していくことになると思います。
そのうえで、一体化できるかはGoogleさん次第の部分もあります。「学習eポータル標準モデル」ではIMSという団体が策定しているLTIという国際標準規格で連携することが標準ですが、現時点では一部サービスを除き、Google WorkspaceはLTIに対応していません。この対応がなされると、MEXCBTのように一体的な利用ができる可能性があります。
また、もしそうでなくても、シングルサインオンについては「学習eポータル標準モデル」でも「OS やさまざまな学習ツールとシングルサインオン
できること (形式は問わない)」という推奨要件があるため、学習eポータルによってはGoogle Workspaceとのシングルサインオンが提供
されます。

MEXCBTと校務システムのデータ連携は可能でしょうか?

MEXCBTと校務支援システムとの直接のデータ連携は想定されていません。一方で、学習eポータルを介しての連携は想定されています。
例えば、別で回答していますが、校務支援システムの利用者属性情報(名簿情報)については、IMSという団体が策定しているOne Roasterという国際規格の日本版を検討中で、その仕様に基づき、校務→学習eポータルと連携が検討されています。
また、MEXCBTでのテスト結果は学習eポータルにデータ連携されるため、学習eポータルと校務支援システムが連携することで、テスト結果を評価の素点として自動反映される、ということは想定されています。
そのほかにも、出欠状況と学習状況のクロス分析など、学習eポータルというハブを介することで、データが連携していく姿を想定しています。

学習eポータルを取り入れた際のネットワーク負荷の想定はございますでしょうか。現在のネットワーク環境でも、対応できるのでしょうか。

学習eポータルを取り入れる、と言っても今回の4社のサービスであれば、今も学校に提供中で、そこにMEXCBTが接続されるだけなので、大きな変更があるわけではありません。そのため、今回の4社が既に利用できている状況であれば、そのネットワーク環境で問題はないということになります。
実態として、MEXCBTは動画が提供されるサービスや授業支援システムなどよりも相対的には軽い類です。
当然、環境がどうかと一斉利用などの使い方次第の部分もありますが、他のアプリとの相対的には、ネットワーク負荷が大きいものではありません。

学習eポータルを選択するポイント、どうやって組織内に説明していく?

各教育委員会が議会等に説明するとき、MEXCBTは「全国学調のため使う」というので通しやすいように思えるが、学習eポータルは「なぜ」がとても説明しにくいのでは?

データが連携・分析され新しい価値を創出する、という今ない話での予算化は、なかなか困難なのだと想像します。
そのため、今回学習eポータルを提供する4社は基本機能を無料とするフリーミアムモデルでの提供を行っているのだと思います。学習コンテンツそのものの予算はあると思いますので、フリーミアムモデルであることを活かし、その予算の範囲で学習eポータルを導入していくことが考えられます。

どうやって学習eポータルを選べば良いのか?あまり4社で差別化ができていないようにも思えるので。

これは良く聞かれて、かつ自分の立場では中立的に答えづらい部分です...。
私なりにはそれぞれ特徴があると思っていますが、確かに選択はなかなか難しいと思います。
個人的な見解で、かつ質問会にも参加してくださった教育委員会の方と同意見だったのですが、自分なら現時点だと「将来性」と「既存の運用に対し変更影響が小さいこと」の2点が選択の観点になるのでは、と感じています。特に後者の「既存の運用に対し変更影響が小さいこと」は、各学校で実践していくうえでは重要なポイントで、GIGAスクールで準備した環境や設定などにどこまで影響が出るのか、は直近では重要な要素になるのだと感じています(参加してくださった教育委員会の方は「運用影響が大きい場合は足きりせざるを得ない」とも仰っていました)。
ここのアカウント=ログインIDの管理については、実は2次会でも大きく議論になっていのたで、時間があれば急ぎ、シングルサイオン方式の違いによる影響などはまとめたいと思っています。

学習eポータルは学校単位で選ぶのか、それとも自治体単位なのか。

令和3年度の実証では、自治体単位で選択することになっています。

施策を広めていく方法。課題など。

CBTについては実態とは違うのかもしれないが「うまく動かない」イメージが残っているのではないか。なのでなかなか手が出しずらいのではないか。

CBTについて、今のネットワーク環境や端末環境では動作が難しいのでは、という想像をしている方も多いと理解しています。
これらもMEXCBTでの実証の範囲になっており、順次、動作状態の改善に努めているはずです。また、海外では既に実用されており、実証によって改修等をしていくことで、解決可能な問題だと捉えています。

まず何をやるのか、というなかでは学力調査を軸にやるのが良いのでは、と感じている。保護者にもフィードバックがなされ、学習指導への関連も多い。その辺りをターゲットにするめると良いではないか?

学力調査のような「総括的評価」は1つの重要なデータだと考えていますし、MEXCBTで提供される機能によって実現しやすいものだと感じています。一方で、今回の「学習eポータル 標準モデル」で対象としているのは日々の学習データも対象としており、日々の評価=形成的評価に繋がるデータも蓄積される想定です。コンテンツからコンピテンシーとも言われており、様々な可能性があり、学力調査も有力な1つですが、他にもデータ活用の可能性はあると感じています。
各々が競争や協調のなかで、様々な実証が行われることが期待されているのだと考えています。

データ活用のステップ、モデルとなるユースケースの提示が求められているのでは?特に学習者にとって何がメリットがあるのかが示されていないように感じる。

これは本当にその通り。データ活用のステップ、モデルとなるユースケースの提示が足りていない。そしてそれが大事なのも仰る通り。国も事業者も、そこをちゃんと示せるようにしないといけないです。また「学習eポータル」なので、学習者のメリットが示せて然るべき、というのも仰る通り。頑張ります。頑張ることも多い汗

2時間半しっかり議論してやっと理解が進んだ感じなので、なかなかこれを皆さんが理解して進めていくのは困難ではないか。

ホント、そうですよね...。
教育政策・制度、学校現場、テクノロジー、ビジネスなどなどの背景を知らないと、全体像が把握できない難解な施策なのだと思います。一方で、だからこそ世界的にも先行している部分で、かつとても重要な施策なのだと感じています。
何か皆さんに伝わる良い方法があれば、是非、教えていただきたいです!

おわりに。今回は疲れた!

とりあえずは以上です。
文字も2万字を超えて過去最長になってしまいました。長文過ぎてすみません。

正直なところ、11/1のプレゼンの準備や通常の業務、デジタル庁との兼業もあって、人生トップクラスにスケジュールが厳しい状況だったりします。
でも、MEXCBT/学習eポータルの施策、というより教育・学習データの標準化と普及は、恐らく将来の国の在り方に大きな影響を及ぼすだろうと感じており、その施策が進むなかで、肝心要の教育委員会や学校関係者に情報が伝わりきっていないことに超絶大きな危機感を抱いたので、寝る間を惜しんで緊急質問会とこのテキスト化をやってみました。

データの標準化とその普及は何のために行うのか。
それは教育・学校に関わる人・仕組み・モノが相互に連携し、価値を高めていくためです。そしてそれは、子どもたち、学ぶ人は子どもだけでないので全ての学ぶ人、学習者が「自分らしく豊かに学ぶこと」を実現するためです。

GIGAスクールによる現場の混乱、それ以前から課題も山積となっている。
ただ、先進国のなかでも1人1台を整備しきった国はほとんどありません。今回のデータの標準化や学習eポータルのような取組も、義務教育の分野でも世界的に前例がないチャレンジです。
拙速な部分、場所によっては歪なところ、検討や伝達が不足している部分が多々ありますが、それでも価値あるチャレンジなのだと感じています。
伝達が不足している部分で自分にできることがないか、と考え、なんでも質問会を開催し、このQ&Aに書き起こしています。

どうか、この情報を必要としている人、特に今、MEXCBT活用募集で悩み、情報が足りていないと思っている教育委員会や学校関係者に届けばと願っています。
もし読まれた方で「これは読む価値アリ」と思った方は、シェアをいただけないでしょうか。

長くなってしまったので、取り急ぎ以上です。


ちなみに今回は個人として書きましたので、まなびポケットとしての学習eポータルについて知りたい方は、こちらをご覧ください。
また、以下の通り11/19にこれは会社主催のなんでも質問会をやっていて、当然ながら私がメインで答える役なので、そこで答えにくい質問を放りこんでもらえたらと。泣きがながら、でも人の迷惑にならない範囲で、なんでも答えるようにしますので。

ではまた!

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