"個人情報の不適切管理"報道への対応策を考えてみる
今回は前回の「"個人情報の不適切管理"報道を整理してみる」で書いた課題に関し、対応策を考えてみます。
今週は早めの夏休みでお休みをもらっており、確保できている1時間一本勝負で書いてみます!
おさらい。個人情報の不適切管理報道の整理。
改めて"個人情報の不適切管理"報道を整理したnoteは以下です。
問題と思われる部分をまとめると以下です。
アプリ事業者が、個人情報を直接取得しており、学校教育として本来は行政が監督すべき情報の管理・利用に関与できていない
事業者が利用目的を開示し同意を求めているが、全ての児童生徒が授業等で使う前提のため、実質的には同意を拒否できない
上記の組合せで、本人同意の前提に懸念があるなか、行政が関与できない状況で、海外事業者委託や学校教育以外での利用の懸念がある
突き詰めると、学校設置者とアプリ事業者の契約方法・内容に起因し、学校教育に適した情報管理ができなくなる可能性がある、ということになります。
ということは、学校設置者がアプリ事業者とどのように契約するのか、をガイドすれば良さそうです。
教育データの利活用に係る留意事項
その「学校設置者がアプリ事業者とどのように契約するのか、をガイド」については、文部科学省が「教育データの利活用に係る留意事項」としてまとめています。
詳細は上記リンクを見ていただけたらと思いますが、内容としては以下として説明されています。
まさに教育委員会や学校が、どのように個人情報を取り扱うのかをまとめたもので、契約内容についてもまとまっています。
ってことはこれで対応策はこれでOK?
仕組みで解決する手段を考えたい
個人情報の取り扱い方法の留意事項をまとめて周知徹底する、は対応策としては王道なのですが、これで万事うまく運用されるかと言うと、なかなか難しいのでは、と個人的には思います。
前回の「"個人情報の不適切管理"報道を整理してみる」では、以下のように書いていました。
学校設置者=教育委員会の方って現場先生と一緒で、やること多すぎでオーバーロードしています。
なので、仕組みで解決できる案を提示してみたいと思います。
ソフトなものからハードなものまで対策案
ソフト(規制のかけ方が弱い&仕掛けをつくるのが容易)なものから順番に、ざっと考えると
① 全国共通のチェックリストを設ける
② ①に加えて、違反者を排除できる仕組みを設ける
③ 法律で規制をかける
あたりなんかじゃないかと考えています。
それぞれ、簡単に解説してみます。
①全国共通のチェックリストを設ける
こちらは既に文部科学省が「教育データの利活用に係る留意事項」をまとめてくれているので、それを踏まえた契約時のチェックリストをつくる感じです。
こうやって書くと「じゃあ国が作ってよ」となりがちですが、叩き台なら誰でもすぐに作れたりします。
こういう時こそ生成AI。ChatGPTを使い、上記の「教育データの利活用に係る留意事項」と問題を指摘した記事を学習してもらい、チェックリストをつくってみます。
っで、20分かけて叩かれ台をつくってみましたー
ChatGPTと格闘(プロンプトを調整)すること10分、結果をスプレッドシートの形式にまとめること10分、計20分で完成です。
うーむ、1時間一本勝負で作成する記事の20分をここで消化してしまった…。
例えばこんなチェックリストを調達(契約)時に提示し、アプリ提供事業者に書いてもらうなんてのはどうでしょうか。
未チェックの場合には代替策を書いてもらい、それが自治体(学校)として受け入れ難い内容であれば、契約(入札参加を許容)しない、みたいな方法です。
これが全国共通だと、提供事業者としても個々に回答しなくて良くなるので、とても助かったりします。
② ①に加えて、違反者を排除できる仕組みを設ける
①が全国共通のもので作れたとして、あくまで事業者の宣言となっているため、虚偽の記載による問題を抑止できません。
抑止の方法として考えられるものとしては
事業者への監査を実施する(事前&定期)
問題発覚した場合の申告先を設ける(事後)
あたりがあります。
ISMS認証やプライバシーマークのようなものが前者。
フリマアプリの違反品出品の通報制度のようなものが後者。
影響範囲を考えると本来は前者でやるべき内容ですが、仕組みづくりがとても大変。個人的には、後述する罰則内容次第で後者でも一定程度機能すると思っており、コストのバランスを考えるとアリなのでは、と思っています。
もし違反が発覚した場合の罰則は、例えば一定期間ブラックリストに載る=学校教育市場での契約ができなくなる、みたいなものが考えられます。
※いきなり提供不可、とすると現場が混乱してしまうので。
この辺りは、システム屋からするとID連携によるトラストフレームワークとかでシステマチックに排除(BAN)できると現場の負荷が下げられるのですが、、
この辺も実は、学習eポータル構想の意義の1つ(でほとんど語られていない)だったりするのですが、この話題だけで1つの記事書けちゃう内容なので、いつか機会があればと。
ちなみに高等教育(≒大学)では、国立情報学研究所(NII)が運営する学認でトラストフレームワークが運用されていたりしています。
※興味がある方は以下の動画などで
③ 法律で規制をかける
最後の一番ハードな案は、法律で規制をかける、です。
前回紹介した以下の米国COPPAや、欧州のGDPRなどが例です。
法律で子どもに対するデータ保護の規定を設け、違反した場合は多額の罰金を支払う仕組み。
世の中的には「法を作ってしまえー」的な声も多いですが、原則やベースとなる内容・方向性を示す法をつくることは賛成ですが、実態の運用を考えると法だけでは不足しているように思えます。
日々、技術などの外的要因が変わる中で、法のみで対処してもイタチごっこのスピードに法では追いつけない可能性が高いためです。
なので、法の議論を行いつつ、①やできれば②まで含めて考えていくのが良いのでは、と感じています。
おわりに
っとここで、1時間経ってしまったのでタイムオーバー(実態は65分なので5分オーバー)。
時間制限ありの一気書きなので、誤字脱字や書き漏れなどあった場合もご容赦ください。
タイトル画像はこの後、この記事を読み込ませて良い感じの画像つくって、と生成AIに依頼した1つ目を雑に埋め込んでおきますw
私見ですが、この手の対策って「そういうのは国がやれー」ってなりがちだと感じています。
でも、良い仕組みって誰かにつくってもらうものではなく、自分からつくりにいくこともできるはず。
多くの人が当事者になって仕組みづくりに参画する、そうなると実運用時に最も適切に運用できる、と自分は信じています。
今回の内容がその一助になれば幸いですー
ではまた!
来週こそは夏休みにして、再来週の日曜日に。書けたらですが(言い訳)