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筑波大学大学院 知識を混ぜ合わせ、ほのかな香りをあなたへお届け。

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マガジン

  • 【短編小説】感情を食べる怪物

    昔々あるところに、直人とえびたの若者がおったそうな。

最近の記事

「好きなことで生きていく」の罠

好きなことで生きていく。 この言葉には罠があると思います。 生きていくためには、お金を稼ぐ必要があります。できれば社会に対して何らかの良い影響を与えることでお金を稼げれば言うことないですよね。 そのためには、社会のニーズを考える必要があります。つまり、生きていくためには、所属する社会の要請を考える必要があります。 一方、人の心は現代社会に溶け込めるように最適化されていないと思います。端的に言えば、人はある日突然に何かを強烈に好きになることは少ないということです。 社

    • 【短編小説】感情を食べる怪物5

      何も見えない真っ暗な場所。そこに直人はいた。この場所へ戻ってくる時の感覚は夢から覚めるようだと直人は感じていた。 直人「さて、と。おーい!かみさまー!」 出した大声はどこにも反射せず世界の果てまで響いていく。ここには誰もいないと暗に告げていた。 直人「やっぱり誰もいいひんな」 やはり収穫はなしか。直人はため息をついた。後23時間50分の間は暇だなあと。 直人「なんじゃ。わしを呼んだか?」 直人「うお、びっくりした…………てな感じで出てきてくれないかな」 一人二役

      • 数字に変換できるものとできないもの

        こんにちは。 突然ですが、私は人が生きる上で自分なりの観点を持つことが重要だと思っています。 結局のところ、人間社会で希少価値の高いスキルは二つだと思います。雑に言えば、一つは誰も思いつかなかった本質を見抜く力で、もう一つは誰にも作れないものを作る力です。本質を見抜くには、自分で考える筋トレ的経験を積むしかないと思っています。そのために役立つのが、自分なりの観点です。 オックスフォード大学の教育社会学者、苅谷剛彦先生は著書『知的複眼思考法』で次のような旨を述べています。

        • ポケモンGOと鬼ごっこは本質が同じという話

          こんにちは。先日スポーツ庁の「Sport in Life」が、ポケモンGOを第1号の認定アプリとした。 「Sport in LIfe」とはスポーツ庁が手がける、生活にスポーツを取り入れることを促進するプロジェクトのことだ。 ポケモンGOが出たとき、このアプリは世界をどのように変えうるかその本質について私は考えた。 思うに、ポケモンGOは鬼ごっこと同じだと思うのだ。どういうことか説明していこう。 人には意志力(grit)がある。 これはドラクエやFFでいうMP(マジッ

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        • 【短編小説】感情を食べる怪物
          5本

        記事

          監獄がもたらす自然法則に捕まった人間

          こんにちは。 最近よく考えていることがあります。 それは、人はどれだけ周囲の環境に支配されているのかということです。 ある人が言っていました。人間は環境動物であると。 確かにそうかもしれません。周囲の環境を全く無視した存在だったら自然界の生存競争で生き残ることができないと思います。自らを食べようとする肉食動物の存在に気づくこともできないし、食物も見つけることができません。「強いものが生き残るのではなく、変化できるものが生き残るのだ」という名言があるように、周囲の環境に適

          監獄がもたらす自然法則に捕まった人間

          自己分析1000問に向き合って感じた、心の中を記述する力の重要性について

          こんにちは。 最近次のような観点で人をみることがとても多いなと思います。 それは、自分の心の中を記述する能力は個人差がとても大きいということです。 僕はこの能力を非常に重要視しています。それは僕の哲学というか好みのせいです。 僕は、自分を幸せにできるポテンシャルを一番持っているのは、自分自身だと思っています。 確かに、自分の力によって幸せになることが全てではなく、他者から幸せにされることもあるかもしれません。でもその他者は僕のことだけを考えてくれる存在では決してないし

          自己分析1000問に向き合って感じた、心の中を記述する力の重要性について

          ポケモンにハマる非合理性について

          こんにちは。ポケモン剣盾にハマっています。 とりあえずストーリーを好きなポケモンと旅して味わいながらサクッと殿堂入り。今作はストーリーがしっくりきませんでした。ちなみに、ここ最近だとXYのストーリーが世界観も含めて一番好きです。ポケモンのメインシリーズは全作品プレイしている僕ですが、今回のストーリーはなんかピンときませんでした。僕が大人になったからなのか、はたまたポケモンが子ども向けによりシフトしているからなのか。 今作はイギリスが舞台となっているようで、産業革命のモデル

          ポケモンにハマる非合理性について

          【短編小説】感情を食べる怪物4

          えびた「(まずい。殺される!)」 もやりと。影の進みが突然止まった。 えびた「(?)」 しゅわしゅわと音を鳴らし浮かんで停止する影。まるで生き物が考え事をしているように、えびたには見えた。 えびた「(なんで襲ってこないんだ。何を考えている?)」 そして、一瞬形を歪めて影は-- 影「…………オマエガ例ノ青年ダナ」 べとりと、粘着するような気持ち悪い声でそう告げた。 顔のないはずの影がニヤリと薄笑いしたようにえびたには見えた。 しゅわり。 それだけ言い残すと、影

          【短編小説】感情を食べる怪物4

          【短編小説】感情を食べる怪物3

          時は夕暮れ。カラスの鳴き声が聞こえ、世界がオレンジ色に染まる頃。えびたは山田商店で直人を待っていた。 --しゅぽん。 直人「待たせたな、えびた」 えびた「唐突にくる感じなのね」 消える時は光り輝いて神々しかったのに、出てくる時は一瞬か。シュールだなとえびたは思った。 直人「まあ、ええやん。そんなことより作戦、考えてきたで!」 えびた「おお!やるね直人!僕も考えてきたよ。直人から話してもらってもいいかな?」 直人「おう、俺は--」 *  *  * 直人「アカン

          【短編小説】感情を食べる怪物3

          【短編小説】感情を食べる怪物2

          街へ復活した直人には時間がなかった。神との約束では人間界に出現できるのは一日10分が限界だった。 直人「やばいやん。調子にのりすぎたわ」 直人は困っていた。威勢良く生き返ったのはいいものの、世界を変える方法が思いつかなかった。 直人「こんなときはえびたに相談しよう」 男前のえびたなら良い助言をくれるはずだ。直人は走り出す。 *  *  * えびた「え…………?なんで直人がいるんだい…………?」 えびたはひどく驚いていた。死んだはずの直人が目の前で歩いている。

          【短編小説】感情を食べる怪物2

          【短編小説】感情を食べる怪物

          昔々あるところに山田直人と名乗る商人がいたそうな。 直人は名門近江商人だったが、ある年、大きな嵐に襲われたそうな。 直人「そんな!商品全部ダメやん!街の被害はヒドイ有様やし全部売れへん!」 直人は近江商人にありがちな拙い関西弁を使いこなしていたそうな。 それでも-- 直人「っしゃ!声出して行こう!!」 手を叩いて健気に働いていたそうな。 えびた「直人!大丈夫かい?」 そこへ親友のえびたが現れたそうな。 直人「おう、えびた!うちは全然売れへんで!」 えびた「

          【短編小説】感情を食べる怪物

          軽度歯周炎以上の人は20代で3割、30代で4割の衝撃

          30代から始まり、歯が抜ける歯周病。 歯が抜けると固いものやステーキが食べられなくなります。一生自分の歯を保ちたいですよね。とはいえ、歯だけに配慮した生活を毎日送るのは難しい。では、どうやって対策をすればいいのでしょうか。 「歯周トラブルの実態」→「具体的な対策方法」の順に見ていきましょう。 歯周トラブルの実態厚生労働省が2016年に行った歯科疾患実態調査では、歯周ポケットが4mm以上の人は20代で約3割、30代で約4割ほどでした。 厚生労働省 平成28年度歯科疾患実態

          軽度歯周炎以上の人は20代で3割、30代で4割の衝撃

          めぐりあひて

          「久しぶり〜〜!!あ〜〜ごめん、これから仕事だから行かなきゃ!また今度お茶しよう!!またね!!」 予想外の再開もそこそこに、幼なじみはわたわたと走り去ってしまう。驚きと嬉しさ、寂しさと感情が忙しい。そういえば学生の頃、彼女とこの駅で電車を待っていたっけ。駅近のファストフード店で一緒に時間を潰していたな。途端に懐かしい思い出が沸いてくる。ただ昔の思い出に浸れる時間はあまりなさそうだ。 物思いにふけなくなったのはいつからだろうか。 大学を卒業してすぐに仕事につくと、働くことが

          めぐりあひて

          真理を探求することと表現することは真逆である。

          椎名林檎いいですよね。 かっこいいし、艶っぽいのに不思議と可愛い。彼女独特の世界観が好きなファンも多いと思います。 公然の秘密のPVもいいですよね。 でも、50年後ぐらいにこの映像見たら「何してんたんだろこの人たち」と我に返りそう。そんな身も蓋もない思いは言わないでおきます。 関係ないけどFFでこんな感じのボスキャラいそうですよね。左右の配下を倒さないと本体に攻撃が通らない中ボス。

          真理を探求することと表現することは真逆である。

          しのぶれど 色に出でにけり わが恋は ものや思ふと 人の問ふまで

          『しのぶれど 色に出でにけり わが恋は ものや思ふと 人の問ふまで』 現代語訳 『心に秘めてきたけれど、顔や表情に出てしまっていたようだ。私の恋は「何か考え事でもしているのですか?」と人に尋ねられるほどになって』<解説> ●しのぶれど 「しのぶ」=こらえる。つつみかくす。秘密にする。 ●色に出でにけり 「色」=表情や態度 「色に出づ」=顔やそぶりにでる。態度にでる。 「けり」=詠嘆の助動詞:〜だなあ(新たな事実に基づいた気持ちを表す) ●ものや思ふ 「もの思ふ」=物思い

          しのぶれど 色に出でにけり わが恋は ものや思ふと 人の問ふまで

          ちはやふるにみるニーチェの超人的思想

          こんにちは。 ちはやふる面白いですよね。 ちはやふるは、競技かるたのスポ根青春もの。少女漫画としても、スポ根作品としても異色の漫画です。伝えるのが難しい競技かるたの緊張感。それを余すところなく描写しきる圧倒的青春表現がちはやふるの最大の魅力ですよね。 そんなちはやふるの中で、私が一番好きな登場人物は、かるた部部長の真島太一です。 太一は、恋愛でもかるたでも新に勝てないと悟っています。新のようにかるたに対する情熱もなければ、千早に憧れられる存在でもない。 「男が女に選ば

          ちはやふるにみるニーチェの超人的思想