天下分け目の戦から幾日か過ぎた日。
旅の坊主が古びた小さな社で一夜の宿をとっていると、そこへ怪我をした若い侍が転がり込んでくる。名を康介と名のり『落ち武者』と身を明かした。
それから一時、外に新たな気配。坊主はその者を取り押さえる。
取り押さえられたものは、意外にも若い娘だった。
そのご小さな社で起こる血生臭さ。
争いの相手は自分たちの思う相手ではなく、お互いの利害と物事の基盤の違いから生まれてきた敵だった。
敵を知り動揺する坊主。心に願うことと違う結果をうむ。
血を流すだけで結果は何も変わらず、ただ不幸になるものが増えるだけだった。