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市販の時事問題集の使い方
10月の後半になると、本屋などで時事問題集が並ぶようになります。また、塾によっては塾が作成したもしくは塾指定の時事問題集が配られるようになります。
しかし、時事問題集といっても特徴は様々です。時間が一分一秒でも惜しい直前期、時事問題集を上手く使うことで合格を勝ち取って欲しいと思います。
1,時事問題集といっても特徴は様々
ところでみなさんは中学受験の時事問題集は年間何冊出版されていると思いますか。大きな本屋に行かなければ何冊あるか分からないと思います。また、中には受験生が通っている時事問題集しか知らないという人もいると思います。
どれを中学受験用の時事問題集に入れるかは人によって違うと思いますが、私自身の判断では去年(2019年)は8冊時事問題集が出版されています。そして当然ですが、それぞれに特徴があります。使い方を誤れば直前期の貴重な時間を有効に使うことが出来なくなります。
では市販の時事問題集はどのように分類すればよいでしょう。大きく3つの物差しで分類するといいと思います。
(1)全体の構成
こちらは大きく3つに分けられます
①概説型
写真などをカラーでふんだんに使ってニュース記事を詳しく解説しているものです。時事問題について詳しく学習できる反面、演習問題が少なく、覚えたものの定着が図りにくいです。
②演習型
時事問題について紹介していますが①の概説型に比べてカラー写真などが少ないです。その代わり演習用の問題が充実しているので覚え直しをするのに適していますが、問題集によって特徴が違うので使い方に注意が必要です。
③バランス型
概説部分も演習部分もそれなりの量で構成されています。単元の内容をある程度抑えることが出来ますが、演習問題の難易度が低く、演習による定着を効果的に図れるかは少し難しいところがあります。
(2)出版社
こちらは大きく2つに分けられます。
①塾
塾が塾生のために作成している時事問題集ですが、一般の人も購入できます。塾の個性が前面に出ているのが特徴です。
②出版社・新聞社
学習用教材を扱っている出版社や、日々ニュースを扱っている新聞社が記事を基に時事問題を紹介するものです。塾と提携して作成しているものもありますが、基本的には(1)の①、すなわち概説型に分類できるものがほとんどです。
(3)理科分野の有無
理科の時事問題を扱っているかで分類します。例えば2020年であればはやぶさ2の小惑星リュウグウの微粒子の採取などが話題にしているかです。
以上(1)~(3)の組み合わせると12通りの分類が出来ます。
それでは、それぞれの時事問題集がどれに当てはまるか見ていきたいと思います。
2,時事問題集毎の特徴
ここでは去年の時事問題集それぞれの特徴について見ていきたいと思います。時事問題集は毎年全て購入していますが、全てをしっかり吟味して押さえきれてはいないので、記憶が曖昧なところは正直に「不明」とさせて頂きます。
以上のように記憶が曖昧なところがありますので、ここからは毎年比較的熟読している時事問題集の特徴を簡単に紹介していきたいと思います。詳しい紹介はそれぞれの今年の時事問題集を購入後、書評という形でnoteに掲載していこうと思います。
(1)四谷大塚
四谷大塚の時事問題集は例年、10月実施の四谷合不合テストの試験会場で販売しています。その後10月末頃に出版されます。
四谷大塚の時事問題集の特徴は概説が分かりやすく、カラフルであることです。これは予習シリーズを意識したものでしょう。ただ、一方で問題量がやや物足りないところがあります。
(2)日能研
時事問題集は他の時事問題集と比べると出版時期が遅い方と言えます。
日能研の時事問題集の特徴は問題量の多さです。メモリーチェックの特徴を活かした多問多答式の問題が特徴です。ただ、理科分野がないこと、記述問題などの最難関校対策の教材としてはやや物足りないところがあります。
(3)SAPIX
SAPIXの時事問題集は近年概説部分をリニューアルしてわかりやすさを意識するようになりました。
SAPIXの時事問題集は、記述式問題など最難関校が求めてきそうなレベルの問題を扱うことが多いです。ただ、その難易度が高く、実際の入試本番では問われないよう細かいところを出すのが難点です。
(4)栄光ゼミナール
栄光ゼミナールの時事問題集は他の時事問題集に先駆けて理科分野をいち早く取り入れたのが特徴です。
また、全体的にバランスの取れた時事問題集で、これ1冊だけで時事問題をカバーすることが出来ますが、問題の難易度が比較的低いことなどが課題です。
(5)学研
どこよりも早く出すのが特徴です。
中学受験・高校受験を対象にした時事問題集であることから幅広い内容を扱っているという印象です。一方で問題量が少なく、一問一答式の問題が中心であり、演習部分では物足りなさを感じます。
以上のように、時事問題集はそれぞれに一長一短があり、それが受験生にプラスにもマイナスにも働きます。つまり、時事問題集選びが最後の1点を生み、合格につながる可能性があるのです。
それではどのように時事問題集を選べばよいか。私なりの考え方を紹介します。
3,時事問題集の効果的な使い方
これまで時事問題集の分類とそれぞれの時事問題集の特徴をまとめました。それらを踏まえて、時事問題集をどのように扱えばよいか紹介したいと思います。
私自身が考える時事問題集の使い方は以下の通りです。
(1)時事問題集は2冊以上購入する
(2)1冊は概説型、もう1冊は演習型が望ましい
(3)概説型は保護者が持ち、演習型は受験生が持つ
(4)保護者は時事問題の細かいところを読んで理解する。受験生は演習問題に取り組む
(5)時事問題の細かい部分で分からないところは保護者が簡単に説明する
(1)ですが、私自身が作っている時事問題集もそうですが、「完璧な時事問題集は存在しない」ということです。先述の通り時事問題集はそれぞれに一長一短があります。短所をカバーすると量や価格が高くなりそれが短所に変わります。であれば、1冊の時事問題集にこだわるのではなく、2冊以上買えばよいのです。
そして(2)の2冊以上の買い方ですが、1冊は説明が充実している概説型、もう1冊は受験生が問題演習に取り組む演習型が望ましいです。塾で時事問題集を配っている場合はその時事問題集の特徴を参考にもう1冊購入するといいでしょう。もちろん予算に問題なければ塾の時事問題集とは別に2冊購入してもよいでしょう。
それでは2冊以上購入した時事問題集をどう使うかですが、それが(3)~(5)です。
1冊は保護者が読んで下さい。これは以前時事問題の考え方についてまとめた記事
「2021年入試の時事問題を考える」
でも紹介していますが、時事問題はそのニュースを基に授業で習った単元を出すのが特徴です。言い換えれば時事問題自体をそれほど深く学ぶ必要はないのです。
ただでさえ志望校の過去問演習に時間が割かれる中、入試でそれほど詳細に出題されないニュースを真面目に受験生が学習する必要はありません。その時間を演習に使えばよいのです。
では、ニュース自体は誰が学習すればよいのか。それは保護者です。当然ですが保護者は大人であり、受験生に比べて社会経験が豊富でありニュースへの親しみも近いです。そうした時事問題に取り組みやすい保護者が概説型の時事問題集を読んで学習すればよいのです。その間に受験生は問題を取り組みながら時事問題にも触れればいいのです。その上で詳しいことを知りたければ保護者が学習したことを受験生に教えればよいのです。
時事問題は合格につながる最後の1点を生むものですが、その1点のために多くの時間を割かずに効率良く取り組んでほしいと思います。
4,自作『中学受験社会演習用時事問題集2020』について~「終わりに」に変えて~
以上、市販の時事問題集の使い方について紹介しましたが、最後に私が作っている『中学受験社会演習用時事問題集2020』の位置づけを紹介したいと思います。
私が作っている『中学受験社会演習用時事問題集2020』は演習に特化した問題集です。市販の時事問題集のようにニュース解説を詳しくしていません。せいぜい、問題のリード文程度です。また、理科を専門にしていないこともあり、理科分野の問題も一問一答で数問載せている程度です。
しかし、社会科の問題集としては他の時事問題集よりも遙かに上だと自負しています。それだけの問題量を載せていますし、近年注目されているAL(アクティブラーニング)型の問題を載せています。当然一問一答も載せていてその数は100問です。そして解説も市販の時事問題集よりも充実していると思っています。
ではどのように使えばよいでしょう。演習型に特化していますので使うのは受験生です。興味本位で保護者が利用してもよいですが、受験生が何度も取り組むようにして下さい。PDFのデータ販売で何度も印刷が出来ます。そのため気兼ねなく何度も取り組むことが出来ます(印刷については保証しません。また、コンビニの印刷は60枚が限界のところが多いですので、その点も気をつけて下さい)。
現在(10/17)はTwitterで問題を紹介していますが、以下のサイトで販売します。もしよろしかったらご購入下さい。
BASE
https://tyuukisya.thebase.in/
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